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クッキングシンフォニー  作者: 双鶴


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12/12

エピローグ

部室の改修工事が終わり、料理部はまたいつもの調理室に戻ってきた。ステンレスの調理台は新しく磨かれ、窓から差し込む冬の光を反射してきらめいている。湊と美咲にとって、この二週間と再会の抱擁は、もう「青春の一場面」ではなく、心に刻まれた確かな記憶になっていた。


調理室に漂う香り――焼きたてのパンの甘さ、スパイスの刺激、だしの温もり。二人は並んで包丁を握り、笑い合いながら料理を作る。湊が玉ねぎを刻む音、美咲がフライパンを振る音が重なり、部室全体にリズムが生まれる。互いの視線が交わるたび、あの日の告白が胸の奥で静かに響いていた。


その様子を見ていたのは、二年生の女子先輩たち。三年生はすでに引退し、後輩もまだいない。だからこそ、彼女たちは自然と「妹や弟を見守るような眼差し」で二人を見ていた。


「ねえ、湊くん。やっと言ったんだ?」

「美咲ちゃんも、めっちゃ顔ほころんでるじゃん。青春してるね〜」


先輩たちはニヤニヤしながらも、どこか優しい声色だった。からかい半分、応援半分の言葉が飛んでくる。美咲は「やめてくださいよ〜」と笑いながら顔を赤くし、湊は耳まで真っ赤になって「いや、そんな…でも、ありがとうございます!」と慌てて返す。先輩たちは笑いながら「かわいいなあ」と囁き合い、調理室は料理の香りと笑い声で満ちていった。


片付けの合間、二人だけになった瞬間。

「……なんか、先輩たちに見られると余計恥ずかしいね」

「ほんとだよ。でも、ちょっと嬉しいかも」


窓の外には冬の光が差し込み、ステンレスの調理台に反射してきらめく。湊は「この光景をずっと覚えていたい」と思い、美咲は「この時間が続いてほしい」と感じていた。青春の時間はまだ続いていく。けれど、二人の心にはもう確かな約束があった。


――香りが導いた出会いと、料理が育んだ絆。

そのすべてが、女子先輩たちの祝福に包まれながら、未来へと続いていく。

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