表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/297

21

 路地を駆け、路地裏の抜け道を潜り、二人は逃げていく。

 途中一度見失ったものの、二人の特徴的な匂い、というか魔力の痕跡のおかげで、俺は追いかけることができた。

 やがて二人がたどり着いたのは、一軒の古ぼけた民家だった。

 廃屋紛いの薄汚れた雰囲気の家に、二人が入っていく。


 さて、どうしたもんかな?

 家の周囲を探ると、朽ちかけた屋根に這い入れそうな隙間を見つけた。

 あそこからなら、忍び込めそうだ。


 屋根に転移した俺は、気配を隠しつつ侵入し、天井に張り渡された梁木の上で、下の様子を伺う。

 下には先程の二人の他に、四人程の男たちがいた。


「何しくじってんだ、ガキい!」

 罵声とともに、一人の男が男の子の方を蹴り飛ばした。

「ち、違うんだ、変な猫がいて……」

「たかが猫にビビッて、仕事を放り出したってのか! 舐めてんじゃねえぞ! 飼ってやってる恩を忘れやがって、この妖精もどきが!」

 男が蹴りを何度も叩き込む。

「や、やめて下さい……お兄ちゃんに、ひどいことしないで」

 別の男に抱きすくめられながら、女の子の方が泣きながら訴える。

「それじゃあ、お前が、あいつの代わりに、俺たちに誠意を見せてくれるのか? この間みたいに、さぁ?」

 女の子を後ろから抱きしめている男は、下卑た笑みを浮かべて少女の足や顔を撫でまわしている。

「ひ……」

 女の子の目に、嫌悪と恐怖が浮かんだのを見て、男の子が声を荒らげた。

「やめろ! 妹に手を出すな!」

「うるせえ!」


 男が手にした棒状の『何か』を振りかざすと、男の子が苦痛で身をよじった。

 腕を伸ばしてのたうつ男の子の腕には、奇妙な腕輪がつけられていた。


 男の手元の『何か』と、男の子の腕輪が魔力で同調し、苦痛を齎しているようだ。

「お前らはそいつで縛られてるって、まだ分かってねえのか? もう一度、躾すっか? 面倒くせえ!」

 男のつま先が男の子の体に突き刺さり、悲痛な叫びが上がる。


 ……ああ、胸糞悪いものを見ちゃったな。

 ほんと、やだやだ。


 腹の底に、どろどろとした怒りが沸き上がるのを感じる。

 あまり、目立った行動はしたくないけど、流石にこれは見過ごせねえわ。


 梁木を蹴って、俺は下へと飛び降りた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ