7話
7話
引っ越しも半ばの深夜二時過ぎにシャワールームの曇りガラスから見える女の身体は見ていても何も感じないほど、彼は真剣にしかも科学的には「幽霊もシャワーは気持ちいいんだな~」と、考えつつ「困った… 着替えの下着が無い… 取り敢えずスウェットの上下でいいか」と、幽霊の入ったシャワールームの前にバスタオルとスウェット上下を置いてリビングに来て「何で怖くないんだ!?」と、自問自答した。すると程なくしてシャワーの音が消え幽霊はバスタオルで全身を拭いてスウェットを着ると「ああ… 気持ち良かったあぁ~」と、彼の前に現れると「足… 足は有るんだなあ~」と、幽霊の下半身を見た。
シャワーから出て来た幽霊に「取敢えずカップラーメンでも食うか?」と、聞くと「えっ!?」と、驚いた幽霊が「貴方みたいな人も居るんだな~」と、血の取れた顔して驚いていた。そして「明日、下着とか服とか買いに行くから今夜はここで寝ろ」と、ソファーを指さして自分は床に腰を下ろすと「お前、中々の美人さんだな~」と、一人で照れる彼は幽霊にカップラーメンにお湯を入れて割り箸を渡した。すると「何で私を怖がらないの?」と、真顔で喋る幽霊に「お前ら幽霊は科学で割り切れるからな~♪」と、彼はカップ麺を啜る幽霊に「取敢えず幽霊じゃ困るから名前と年齢に何でここに居付いているのか聞かせてくれ」と、彼が口を開いた。
すると幽霊は「名前は木村優子・年齢は止まった頃は18歳で、この部屋で殺されたのよ強盗に… でも、もう20年は経ってるからね~ でも幽霊を怖がらない人って初めてだわ、うふふふふふふ♪」と、初めて笑顔を見せた優子は何処かホッとしているように見えた。だが犯人は捕まったのかと聞くと優子は小さくコクリと無言で頷いた。そして優子は「もう思い出したくないから…」と、静かな声で言った。すると一つだけ質問「何で犯人に仕返ししないんだよ?」と、言うとここで殺されたからここからは出られないんだよ。犯人の家には行けないものの外には出れるんだよねと、静かに答えた。
私達幽霊は太陽の光が苦痛で昼間は隠れていて夜になったら行動するのだと言う優子はボソっと話しているうちに朝を迎えた。朝の5時、優子は無言で見えなくなった。呼びかけても返事すらない状態に彼は愕然とした。昼間は見えないだけで太陽の光から逃げるように消える幽霊てのは難儀だなと考えながら学生は大学へ向かった。優子の話しによれば幽霊は昼間でも人間に見えないだけで実際には存在しているのだと心霊科学のノートに記した。そして再び太陽が沈むと引っ越しの片づけに追われた彼は「優子ー 居るなら出て来いよ~」と、声を部屋に響かせると壁の中から「スゥー」と、出て来た優子は元気そのものだった。