6話
6話
深夜… 何時ごろだろうか。彼は額にポタポタと落ちる水に目が覚めた。天井からひた落ちる何かが気になって「ちくしょう!」と、起き上がると右手で額を触って部屋の灯りを点けた。時計を見ると針は2時を少し過ぎたようだった。そして額を触った指を見て仰天した。それは水では無く血だったことに「ヒイィィー!」と、頭を抱えて布団のなかに頭から入って全身を震わせて教授の話しを思い出した。「幽霊が出て暴力を振るわれた訳では無いのだから慌てる必要は無い」と、彼は布団の中で抱えた頭から両手を放した。
そしておそるおそる布団から顔を出すと額に落ちた物は血ではなく水でも無く言わば何もついては居なかった。と、その瞬間に部屋のカーテンが勝手にユラユラしているのを彼は見て「ふんっ! カーテンが揺れたからどうしたってんだ!」と、半ば開き直った。そして布団から出た彼は台所にある冷蔵庫の扉をあけ冷水の蓋を開けると「ゴクゴク」と、飲んで辺りを見回した。すると今度は部屋中の壁が「ドンドン」と、叩く音に驚いて「気のせいだ何も怖がる必要は無い」と、自分に言い聞かせると音は突然とまった。
そして暫くしてソファの布団に座ると突然後ろから「トントン」と、左肩を叩かれ振り向くと顔を血で染まっている長い髪の毛の女が「ジィー」っと見つめていた。そして咄嗟に「お前は何だ! 幽霊か! 残念だったな幽霊は科学的に考えれば蜃気楼のような物だ!」と、自分を睨む幽霊に彼は毅然として言い放った。すると突然彼は首を締め上げられたが「これは思い込みだ現実じゃない!」と、右手で絞める首の腕を振りはらっうと「こうして何人もの人間を怖がらせたんだろう!」と、咄嗟に後ろに身体の向きを変えた。
すると幽霊は「ニヤリ」と、笑むと今度は部屋の灯りを消して見せた。そして「あるある! 幽霊の得意技の部屋の灯りを消して驚かせる手法!」と、少し強い口調で目の前に居る女に声高に言い放った。とその瞬間「お前は私が怖くは無いのか!」と、低い声で血に染まった口で話しかけて来た。そんな彼は首に掛かった別の腕も振り払い「幽霊は科学的には認められてはいないが、現実に俺の前に居て俺に暴力を振るってはいないから実際は無害だ!」と、そして彼はソファーに掛けてあったバスタオルを取ると幽霊に「取敢えず血で染まった顔を拭くかシャワーを浴びて来い!」と、落ち着いて言い放った。