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第22話 トレモロ

お久しぶりですーッ


…ってかこんだけ間をあけてたらもう誰も見に来てないんじゃないんですかね?

一応最後まで続ける気はあります!

…すごい時間かかりそうだけど。


とりあえず、新キャラ達を中心としたストーリーで話の本筋へ入っていこうと思います。


それではどうぞー!



月が、まるい。


今夜の舞台にはなんとも似合いな空の演出。

金色に輝く月は、空に開いた巨大な天窓となって下界を照らしていた。


そして、月明かりの下で待つ女性。

あの緋い髪を風になびかせ、携帯の時計をじっと見つめている。


もうすぐ……彼女がくる。


そう胸の内で唱えるように思いながら、デジタル表記の数字を見つめ続ける。

2と3と5と、そして9が仲良くならんだ携帯の画面。


刻一刻と過ぎていく時間。

あと45秒、あと44秒、あと……


女性はふと視線をずらすと、少し離れた路地の暗闇を横目で見た。

どうやら相手方も待っているらしい。

ほんの数秒後に訪れる、試合開始のゴングを。



全てはその時、動き出す許可を得る。



「……あらあら、ずいぶんと落ち着きの無い人ね」


街のどこかにいる相手方へ、不敵な笑みを送る。赤い唇がわずかに歪んだ。


そのとき。



「…!」


それはほんの一瞬の事だったが、女性はなんの雑作もなくそれに気づいた。


"穴"が開いた。





少女がどこかに辿り着いたに違いない。

あの暗闇のトンネルを抜けて、この国のどこかに。


予定通りならば「D−2」に。


携帯を見れば、いつのまにか0が三つ並んでいる。

深夜0時0分。



試合開始だ。




ざわっと空気が揺れて、街の城壁から何かが飛び出した。

黒い影が脇目もふらずに"穴"の開いた地点へと走り出す。


「あら、抜け駆けなんてさせないわよ?」


そう呟いた時にはすでに、女性は単車にまたがっていた。

エンジン音が鳴り響き、マフラーが唸る。

そして赤い車体がきらめいた刹那。

女性を乗せた赤い騎馬(バイク)は黒い影を追い抜いて、あっというまにネルトリンゲンをあとにする。


国道を失踪する彼女が向かう場所は……



「D−2」。







そして、…日付が変わってから12時間後……。







◆◇◆◇◆◇◆








"差し込む陽光。

暖かな日だまり。


乱雑に敷き詰められた石畳が、どこまでも広がる国……



……ドイツ。

そこは魅惑の古都。


深き森林に覆われた平野、野原を切って流れる穏やかな大河。

野には草花が咲き乱れ、静寂に包まれた自然が神秘を語る。

森の奥深くにひっそりと眠るは騎士達の古城。

未だ中世の面影を色濃く残す旧市街の街並は、まるで御伽話の中へ迷い込んだかのような幻想の彼方へ人々の心を導き……



そう。

そこはまさに、現実となった”メルヘンの世界………"








「ってなわけあるかボケぇええ!」


少女はかなきり声をあげると、手にした雑誌をぶち破った。



「あ〜ぁ……

ちょっとやめてよ、ゴミになるでしょ……」


机の向かいに座った青年が、静かにため息をつく。

バラバラになったガイドブックのページがヒラリヒラリ。紙吹雪になって図書館の床に散った。



「詐欺だぁあこんなの嘘っぱちだ訴えてやるうぅうっ」


「詐欺って……そんなまた大袈裟な。」



呆れ顔の青年を見て、少女は涙ぐんだ目をキッとつり上げる。



「大袈裟ちゃうわ!

そりゃあたしだってねぇ、昔はそう信じてたわよ!

メルヘンな情景、ドールハウスのような家が連なる街並………はぁあぁぁ」


今度は少女の方がため息をついた。

大きくて陰鬱な吐息は、途中であくびに変わった。


「ふあぁああ。

んも〜やだやだやってらんないわよぉこんな生活〜」



椅子にもたれたまま上を向くと、明るい茶色に染まった髪がふわりとゆれる。

彼女がエバーハルト・カール大学へ留学してから、早3年の歳月が流れていた。



「時の流れって残酷よねぇ。

メルヘンの国で暮らすだなんて……純粋無垢な夢を見れてたあの頃が懐かしいわぁ」



「…今もそれなりに夢見がちだけどね」


気怠そうに腰をあげて、青年は床の紙切れを片付けにかかった。



「フランツはいいわよもともとこっち育ちなんだから。

こちとらワザワザ東の島国から飛行機に乗って飛んできてんだよ?

ちったあ夢見させろや〜コンチキショウめっ!」


少女がわめくたびに、木製の椅子がギシギシきしむ。

ヘタすると今にも壊れそうな勢いだ。



「さんざんお勉強させられてさぁ何が義務教育だっつのまったく、そんでもって受験の修羅場をどうにか制覇して後はゆったりまったりとしたキャンパスライフを送って余生を楽しむつもりだったのに……

もぉぉおお嫌だ何がゲルマニアだ何がロマンチック街道だ…!!」



バンッと机を叩いて、椅子の上に立ち上がるなり彼女は言った。



「レポートの書き方なんてわかんないよぉ〜っ!」



「……今更なに言ってんですか。

レナ、今年で3回生でしょ?」


青年はテーブルの下から麗奈を見上げて言った。

鈍いアッシュの瞳はなんとも眠そうである。



「……うぅうそりゃそうだけど……

パソコンの使い方なんて何年経とうが分かんないもん……」



(機械音痴…)と頭のなかで思いながら、フランツはゴミ箱へ紙くずを放り込んだ。





フランツ・アウフレヒト と綾崎 麗奈、ふたりは大学生。


日本人の麗奈は小さい頃からドイツのメルヘンな雰囲気に憧れていたらしく、中学、高校のころから猛勉強して留学の切符を見事勝ち取った。

だがしかし、ドイツにくればもうメルヘン率500%間違い無しな夢の暮らしが出来ると思い込んでいた麗奈は、知る由もなかった。


留学した後だって結構勉強しなくちゃいけない事を。



「もういやだ〜!大学なんて入んなきゃよかったぁ〜」



ドイツ暮らしという目的をかなえた今、麗奈に学習意欲を湧かせる動機などなにも残っていなかったのである。

私欲のために高校を主席で卒業した彼女は今やその面影すらない。




(…ど〜せ、どっかの魔法学校にでも入学できるとか、ファンシーなこと思ってたんだろなぁ。)


眠い目をしぱしぱさせながら、フランツは席に戻る。

麗奈を見ると、少しやる気が出たらしくノートパソコンの画面とにらめっこしていた。


「どう?なんとか書けそう?」


フランツが麗奈の顔を覗き込むと……

彼女は頭から煙を出していた。


「こ、こここのフォントとかシフトキーとかってなんですか……?」

「それ先週も教えたよ」


確かな話、麗奈は完全に、誰がどう見ても、かなりディープな機械音痴少女だった。

いまだにキーを右手の人差し指一本でうっている……その様子を見て、フランツは思わずあくびをした。


「うっがぁーーー!

だいたいなんでパソコンなんか使わなきゃいけないワケ!?

こんなの手書きだったらもっと早く出来るのにぃい」


「今時、どこの大学もパソコン限定だと思うけど…

日本の学校には、パソコン使う授業ってなかったの?」



「あ、あるには………あった……けどぉ」


たちまち麗奈の顔が曇っていった。


フランツには容易に想像出来た。

ほぼ全教科が"5"であるなか、情報系の教科だけが"1"の珍妙な通信簿が…。



「……今なんか想像したわよね?」

「えっ……」


ぎくっとして我に返ると、麗奈にものすごい剣幕で睨まれていた。


「そ……そんなこと、ないよ…」


「ホントに?

日本じゃ嘘つくと舌抜かれるのよ?」


「えぇえ!?」



生まれも育ちも欧州ドイツのフランツには、この話は刺激が強かった。


(さすがにサムライやニンジャはもういないんだろうけど、日本にはまだそんな残酷な刑罰が残ってたのか……

やっぱり怖いとこだな……ニッポン。)



多くの日本人が知らない今現在、フランツが地獄の閻魔様の伝説など知るはずも無かった。



「…はぁ。

そんなことより問題はレポートなのよ!

提出期限明日だよ〜?

あぁ、今学期の単位どうしよ……」


「……一回留年してみたら?」



フランツは小声でぽそっと言ったのだが、なかなかどうして、麗奈は地獄耳だったらしい。


「…ふぅらぁあんつぅううっ……!!」

「あっ、いや…

今の無し、僕なにも言ってませ……」



「フランツのばかあああああああああああああああああああっっっ!!」



どんがらがっしゃぁあん



椅子が倒れる音と本がテーブルから落ちる音、続いて麗奈の怒声と泣き声に追い立てられてそそくさ逃げるフランツ。


そして二人は……



案の定 図書館から追い出された。



…それにしても間が空いた。

自分でも冒頭部分どんなだったか忘れてたくらいだもの(オィコラ)


ここ最近でイメージがだいぶはっきりしたので、しばらくはスムーズに更新出来そうな気分!


…あくまで気分です。

きっとたぶんもしかしたら〜…ってカンジなので、また遅くなったらゴメンナサイッ!


あぁ…ガンバレ自分。


というわけで、久しぶりに読みに来てくださった方々、ありがとうございました!

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