第21話 脱出
アリスが登場。
狼達に追われて穴に落ちた後…アリスとテトは……?
……一人じゃない。
口に出せば…どうしようもなく些細なこと……
でも、今のあたしを支えてくれているのは、間違いなくその事実一つだった。
テトは私の腕の中。
すやすやと寝息をたててる。
疲れて眠っちゃったんだね。
普段が頼もしいけど…なんだかんだいってもまだちっちゃいし。
周りに絡みつく闇のせいで、寝顔は全然見えない……くそう。
見えたら絶対可愛いのにっ
このまま……
どこまで
落ちていくの?
落ち着こうと頑張ってみる。
冷静になろうとするほど震える指先。
最悪のケースが次々と頭に浮かんでは、あたしを闇に引きずり込む。
”もしこのまま出口が見つからなかったら?”
”もしうっかりテトとはぐれてしまったら?”
やめて。
こんな闇の中でひとりぼっちだなんて、考えたくも無い。
”狼に襲われたときに、テトがケガでもしていたら?”
暗すぎてそんなことわかんない。
でも、とっても苦しそうだったし……眠ったまま起きてこないし……
”…このまま死んでしまうんじゃないの?”
「やめて……」
そんなこと言わないで。
怖い事を考えさせないで。
語りかけてくるのが自分の心だってコトくらい分かってる。
闇の中で繰り返される自問自答。
…くだらない。
…くだらなくて恐ろしい。
”お姉さんはどうするの?”
”薬を届けるんじゃないの?”
それぐらいわかってる。
でもここから出られないのに、どうすればいいの?
”…もう死んでるかもね”
「…いやぁ……っ」
考えたくない。
何も考えたくない。
闇が、静寂が、あたしをおかしくする。
気が狂いそう。
”血を吐くぐらいの酷い病気だもの、間に合わなくっても不思議じゃないでしょう”
”この穴から出られたとしても、お姉さんを助けるのは無理かもね”
違う。
そんなことない、そんな……
こんなコトを、本当にあたしが考えているの?
頭の中に浮かんでは消えていく、最悪のケース。
…ううん、最悪なんてありはしない。
悪い状況はいくらでも思いつく。
心の中の不安が、どんどん膨れ上がってくる。
”また……助けられない”
そうだよ…これは間違いなくあたしの声。
あたしの考えてること。
あたしの……心の底にしまってた恐怖が、溢れ出す。
”…ママの時といっしょだね”
「っ………!?」
…いやだ。
いやだもうこんなトコロいやだ。
出して。
ここから出してよ、だれか……
出してだしてだして
「ここから…出してぇ……っ」
「……むにゃ……ありすぅ………zzzz」
「………え」
…びっくりした。
テト…いきなり寝言だよ。
しかもあたしの名前よんでた…
うふふ////
驚いた拍子に、ネガティブな考えはどこかに蹴散らされたみたい。
あきれるほどあっけなく。
ああ、やっぱりテトはすごいや。
あたしの不安なんかあっというまに消してくれるんだもの。
腕の中に微かに見える、テトの姿。
……あったかい。
「……ありがと、テト。」
この闇の中にいたら、いつかかならず……気が狂ってしまう。
心が壊れる前に、穴から出ないと。
このコを、ここから出してあげないと。
くよくよするのはやめよう。
さっきからずっと思っていたことを、やっとのコトで実行できた。
暗いことは考えない。
ここから脱出することだけ考えるの。
あたしにはテトがいるんだから。
とはいっても、いったいどうしよう。
そう簡単に上手い考えなんて浮かぶはずもないし…。
ん?
今きづいたんだけど……
あたしの服の中で、なんか光ってる?
エプロンのポケットから漏れる、金色の光。
……まさか。
ポケットに手をつっこんで、中のモノを引っ張りだすと、
あたり一面がまぶしい光に包まれた。
「……なに…?」
急に明るくなったもんだから、目がしばしばしてよく見えない。けど…
この光ってるのって、もしかして…
「白ウサギさんがくれた……?」
テトを起こそうと思ったけど、そんな間もない。
金色の鍵はあたしの手から飛び出すと、どんどん輝きを増していって……
爆発した。
闇が切り裂かれる。
茨の壁はぶち破られて、大きな穴があいた。
常闇の穴の中にあいた、光の出口………
出口だ!!
いや、出口ができたのはね、すごく嬉しいんだけど……
なんか…体が吸い出される!?
「え!?
あ、いやちょっとまって待っ……きゃわっ」
すごい吸引力……なんて言ってる場合じゃないですね!
縦穴の側面に開いた出口は、問答無用であたしとテトを引きずり込んだ。
その穴をくぐった途端。
目に映ったのは…広い夜空と、そこに浮かぶ大きな満月。
久しぶりに見た外の世界……とってもキレイ。
そして、
空中に放り出される感覚。
え?
あの、もしかして、
落ちるんですか?
「…………〜〜〜〜ッ!?」
この瞬間について一応感想を述べておきますと…人間って本当に怖い時は悲鳴なんて出ないんですね!
そんなカンジで悲鳴の一つどころか息もつかないままあたしはテトを強く抱きしめてああ今日はあたし落ちてばっかりだなぁなんて思いながら考えたんですけどたぶんこのままいくと地面に激突して気絶するんだよねあた……
ドスンっ
……よかった……あんがい…地面が近くて……
たぶん死んでは…いないとおもう……
薄れゆく意識の中……
誰かの怒鳴り声と……悲鳴が聞こえて……
最後の瞬間……ぼんやりした、あたしの目に映ったのは……
黒い……………
ひとまずアリスはこれでオッケー!
気絶しちゃったみたいですけど…まぁ大丈夫でしょう♪
…たぶんねっ
次回は第1章の中で重要な方々の登場でーす。




