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第16話 ヤマネのアルバム その2

 

 

 

アルバムの写真に写った、幼い女の子。

 

 

…よく見りゃ誰かなんてすぐわかるよ。

間違えようがないじゃん…。

 

 

 この子はママだ。

 

 

 

 

「……キミのお母さんがこの国に来た時ね…何枚か撮っておいたんだぁ。」 

 

ヤマネがぼんやりと呟いた。

 

「キミは本当にお母さん似だよぉ。

他のみんなも…"アリス"が帰って来たんだと思って、ビックリしてたでしょ…?」

 

 

「そうなんだ…」

 

 

不意に、アルバムの上に(しずく)が落ちる。

 

あれ…

 

あたし……泣いてる?

 

 

「アリス?

  …だいじょうぶ?」

「う、うん。

  ごめんね…」

 

 

頬をつたって落ちる涙。猫くんが、優しくすり寄ってくれた。

 

 

 

「なんか…嬉しいの。

 

ママ…あたしが小さい頃に死んじゃったから…

ホントはね、あんまりママの事、よく知らなくって…。」

 

 

だから、嬉しい。

 

ママの事が……あたしの知らないママの事が、また一つわかったんだもん。

 

女王様や白うさぎに囲まれて、ピースしてるママの写真。

 

ママはこの国で、こんな風に笑ってたんだね…。 

 

 

 

「…あれ?でもなんか変じゃない?

このちっちゃい女王様が 18年前で……でも、このママだってまだ子供じゃない?

あたしがもうすぐ16才なんだから、18年前には大人になってるハズじゃ……。

あ〜なんかややこしい!」 

「あのねっ

アリス達の国と不思議の国ってね、時間の流れ方が違うんだって。

こっちでは18年だけど、アリスの国ではもっと経ってるんだろうね」

 

子猫くんが説明してくれた。

なるほど、だから時差があるんだね。

 

 

 

「…"アリス"が迷い込んだ頃ね、女王様は本当におてんばで……

気に入らない事があるとすぐに『首をはねておしまい』って叫んでたんだぁ。

いったいどこで覚えたんだかねぇ。」

 

「え……

じゃあ女王様が情緒不安定で、キレっ早くてなにかと処刑しようとしてたのって……子供の頃の話なの!?」

 

コクリと頷くヤマネ。

 

「もちろん本当に処刑された人なんていないし、本人も本気で言ってたんしゃないけどねぇ。」

 

マジですか!?

 

それって…今までの女王様の全イメージをくつがえす超重要機密じゃないですか!!

 

 

「オマケに"アリス"には凄く懐いててね…

態度が素直じゃないから、"アリス"は気づかなかったかもしれないけど」

 

そ、それも初耳!

 

 

「そんなに懐いててたの?

その…女王様が!?」

 

 「そぉだよ?

クロッケーだってやらしてあげてたし。

貴族の集まるような大会に、ただの子供が飛び入り参加させてもらった事の方が不思議でしょ?」

 

 

…な、なんか驚きの連続っていうか……

 

「あ、女王様がアリスに優しかったのって、

もしかしたら"アリス"の子供だからじゃない?

懐かしかったのかも」

 

猫くんが思いついたように言った。

そっか…だからあんなに優しくしてくれたんだ。 

 

「そうだったんだ…。

なんか女王様の秘密、たくさん分かっちゃった!」 

『…私の秘密がどうしたのだ?』

 

 

 

……あちゃあ。

 

 

振り向けば、女王様が後ろに立ってました。

 右手には帽子屋……だったらしいボロボロを掴んでらっしゃいます。

 

 

「ヤマネ……貴様、まだそんな物を隠し持っていたのか…っ!?」

「あ、

いやコレはぁ……

帽子屋に命令されて。」

 

すごいぞヤマネ!

コロッと責任転換だ!!

 

 

 

「…アリスと子猫」

「「は、はいっ!?」」

 

 

「み……見たのか?」

「…す、すいません」

 

 

あら…女王様ったら顔を紅くして。

 

 

 

「と…とにかく!

これは没収だ!!」

 

怒ったように叫ぶと、女王様はテーブルの上からアルバムをひったくる。 

 

 

ヤマネは残念そう。 

 

「うぅ、わかりましたぁ…。

(予備があと三万冊くらいあるんだけどね)」  

 

 

ああ……

ヤマネは案外たくましいみたいです。

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