表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

第11話 収拾のつかないお茶会。

 

「"アリス"の娘?お嬢ちゃんが!?」

 

シルクハットを被りなおしながら、お兄さんがあたしを見る。

 

「あ、はい。

あたしもアリスって名前なんですけどね」

 

 

 

あたしは今、三月ウサギっていうウサギさんの家にいます。

彼の庭園でお茶会をやってるんだとか。

 

 

 じ〜〜〜〜〜

 

…あれぇ?

なんか、ウサギがやたらこっち見てるんだけど。 

「…ん〜〜、ホントに"アリス"の子供なのかなぁ?」

 

 めっちゃ疑ってるよ。 

「ほ、本当だよ!

信じてくれない?」

 

 

「むむぅ〜。

だって"アリス"って、前あった時はボクくらいの身長だったよ?」 

 

ティーカップをカチャカチャいわせながら、茶色い毛並みを震わせる。 

 

「そりゃ"アリス"がまだ子供だったからだろ〜」 

のんびりとお茶を啜りながら帽子屋が言った。

「あれから何年も経ってるんだよ、"向こう側"は。

"アリス"もとっくに大人になって、子供の1人や2人くらい…」

「ふ〜ん、そっか。

子供の1人や2人3人4人……総勢18人か」

 

「いや多いよっ!?

何人産んでるのよ鼠じゃあるまいしっ!!」 

 

こ、このウサギ…かわいい顔してとんでもない事を……。

 

 

 

「およ?

子供はサッカーチームが2つ出来るぐらいが賑やかでイイかなって」

「…三月、お前は色々と間違ってるよ」

 

そ、その通りです!

ズバッと言ってやって下さい帽子屋さん!

 

「サッカーは1チーム11人だから22人じゃないと2チーム出来ないだろ?

18人なら野球だよ。

ベースボール」

 

…そこですか?

 

「そっかぁ!

じゃあメジャーリーグ目指すんだねアリスは」

「……目指してないし家族内ベースボールもやってないわよ!!

人の家庭を何だと思ってんですかアンタらはっ!?」 

 

「………怖いねぇ。」 

「………怖いなぁ。

なるほど、娘なだけあって"アリス"にそっくりだ!」

 

 

そっくりって……

ママもこんな風に怒ったって事か。

そりゃ誰でも怒鳴りたくなるってのこんな……? 

 

…あ〜、なるほど。

 

 

「…こりゃ確かに、"イかれたお茶会"だね。」 

 

「ふふっ。

この程度は前菜にもならないよ。」

片眼鏡を輝かせて、ニヤリと笑うMad-Hatter。

 

「何はともあれ、俺達のお茶会へようこそ!

アリスも紅茶を楽しんでいってくれ。」

 

 

…楽しめって言われても、あたし急いでるんだけどなぁ。

子猫君ともはぐれちゃったし。 

 

「…まぁ、せっかくだしね。

紅茶の一杯でもご馳走にならなきゃ失礼かな?」 

 

「そーだよっ!!

さぁアリスじゃんじゃん飲んでってね!おかわりイーッパイあるからね〜」

 

「あのね……

一杯だけでイイんだけどな〜?」

 

あたしのツッコミも聞かずに、三月ウサギは目に映るカップすべてに紅茶を注ぎ始めた。

だからそんなに飲めないってば!!

 

それにしても、お茶注ぐの上手いな〜。

両手にティーポットを構えて、一滴もこぼさずカップにお茶を注ぎまくる三月ウサギ。

まさに二刀流か……。

 

 

 

「あ〜……

…ところで帽子屋さん、子猫くん見てませんか? 

途中ではぐれちゃったみたいで…」

 

なんだかんだで、まずは子猫君に会いたい。

今頃どうしてるんだろ?あたしを探し回ってたりしてたら、申し訳ないなぁ……。

 

「子猫?

…あぁ、チェシャ猫んとこのおチビさんか!」

 

ぽんっ!

と手のひらを打つと、帽子屋は唇に指を当てる。 

「ちょっと待ってろよ〜」

 

…何するんだろ?

 なんだか口笛を吹いてるみたいだけど……音が聞こえないよ?

 

 

「…あ!

もしかして犬笛!?」

 

それを聞くと、帽子屋さんはにっこり笑って頷いた。

「そのとおり!

これですぐに来てくれるはずだよ」

 

……ドドドドドドドド…とたんに地面が小刻みに揺れ出した。

地震…じゃなくて、これって…? 

 

「あ、ほら来た来……」

 

ドッカァアアアアンッ! 

 

 

 

「……あ…あわわ…」

 

…轟く地響き。

帽子屋さんの言った通り、すぐにあの巨大な子犬がすっ飛んできた。

 

 

…帽子屋さんの真上に。 

 

 

 「わふっ」

 

あぁ、お利口だねパピー。呼ばれたらちゃんと来たもんね。

 よーしよし。

ただ、駐車場所にはもうちっと気を使おうよ…。 

 

「…ぼ、帽子屋さ〜ん……?

ご無事ですか…??」

 

普通ご無事じゃないだろうけどさ…。

 

 恐る恐る、パピーの足の下に呼びかけてみると…… 

わずかに

「平気だよ〜ヤッホーイ」と声がする。

よかった生きてたぁ…。 

 

 

てか「ヤッホーイ」って!

何でそんなに元気そうなの!?

タフだな〜で済む耐久レベルじゃないでしょ今のは!!

 

よく見ると、パピーの足の下から手を振ってる。…ご存命でなにより。  

 

 

「アリスみてみて〜

全部のティーカップにお茶注げたよー☆」

 

振り返れば、三月ウサギがテーブルの前で「エッヘン」って顔をしてた。 

 

白いテーブルクロスの隅々まで紅茶入りのカップで埋め尽くされてるし…アンタは相方が踏み潰されてんのにそれでいいんかい? 

 

 

「…あ〜もう、ツッコミばっかりだと疲れる…」 

別に普段のあたしがボケやってるって意味じゃないからね☆

 

 

「これじゃウサギさんの友達に会いに行けないじゃん……。

うー、とにかく!

まずは子猫くんに会わなきゃ!」

 

そう、重要なのは子猫くんなのだ!

あの子がいなきゃ道がわかんないし…

 

「ぁぁ可愛いアタシの子猫くん、今すぐ抱き締めないと禁断症状が…。」というのが主な理由。

 

 

 

さて、そうと決まれば… 

 

「パピー!

子猫君が背中に乗ってるでしょ?

早く降ろしてあげて!!」 

 

あたしはお座りしている(帽子屋の上で)パピーに向かって叫ぶ。

 

「……わふ?」 

"わふ?"って……

 

「ちょっと…なによその "ぼくは知りませ〜ん"みたいな態度は…?」

 

……まさか。

 

 

「…ちょ、ちょっとパピー背中見せなさい!

お座り…はもうしてるから……

ふせっ!」

 

 

「わうっ!」

 

子犬は素直にいう事を聞いてくれた。

 

「よーしいい子だねパピー」

と言いながらあたしはパピーによじ登る。

 

「子猫くーん?どこ〜!?どこ行っちゃったの!?」

 

あれ〜?

やっぱりいないし!

 

「パピー……?

もしかしてあなた、子猫くんまで途中で落としてきたんじゃないでしょーね!?」

 

「う〜〜わんっ♪」 

肯定か!?

その返事は肯定なのか? 

「チクショーこのダメわんこめっ!

今度プロのブリーダーにしつけてもらえー!!!」 

 

 

とにかく子猫くんを探しに行かないと!

 

パピーから飛び降りると、あたしは森の中に突撃する。

 

「うわーん!

子猫くんどこだよーっ

出てきてよ〜っ?」

 

 

 

 

 

バスンッ

 

「あいたっ!!」

 

突然、なにかにぶつかって、あたしは地面に倒れ込む。

 

「いったぁ〜。

もーなんなのよ今度はぁっ!?」

 

 

 

 

ジャキンッ

 

 

「…………………へ?」 

 

顔を上げると…目の前で光る……緋い刃。

首筋にも、冷たい金属の感触が……?

 

「この小娘が…。女王陛下のお身体に体当たりとは無礼千万!!

貴様、覚悟は出来ておろうな……?」

 

「ひゃ…ひゃい?」

 

気づけば、あたしは数人のトランプの兵隊に取り囲まれてました。 

お城の門番とは…なんか雰囲気が違うなぁ?

全員が緋く輝く鎧で武装して、馬鹿みたいにでっかい斧を構えてます。

 

「あ…あはは…

おっきな斧ですね〜。

みなさん、これから薪割りにでも…?」

 

「我々が切断するのは木ではない。

貴様の首だ」

 

 マジですかーっっっ  

 

「きゃぁぁぁあああ殺されるぅぅううっ!!??」

 

 

「ま、待って!!」

 

不意に、あどけない声が響く。

あぁ…この声は〜っ!!

 

「猫くんっ!?」

「アリス〜っ!!」

 

トランプ兵の間をぬって、子猫くんがあたしの胸に飛び込んできた!

 

「探したよー!

どこ行ってたの!?」

「うぇーんごめんね猫くんっ」

 

 

「…なんか猫が出てきたな。」

トランプの兵隊達が、なんか相談を始めた…。

 

「どうする?斬ってしまっていいのか?」

「構わんだろたかが猫の一匹や二匹」

 

……ああ゛?

 

 

「ぬ…?ぐべはっ!?」

 

突然、トランプ兵の1人が宙を飛ぶ。

 

…えぇ、あたくしです。 

やってやりました。

 

 

「アンタら……言うに事欠いて"たかが猫の一匹や二匹"だぁ…?

ふざけんじゃないわよ。…世界で最も尊い生物はねぇ、子猫だって相場が決まってんのよ!!

さぁ次はどいつだまとめで燃えるゴミに出してやらぁっ!!」

 

 

 

 

 

ジャキンッ

 

「………降伏します。」 

 

…すいませんやっぱり無理です。

何かする前にねじ伏せられてしまいました。

しょうがないよね。あたし女の子だもん。

 

だいたいあいつら武器持ってるし勝てっこないですねー!! 

 

「うわぁぁん

離せこんちくしょー!」 

「この小娘…!

おい、見せしめに猫を叩き斬れっ」

 

 

 

 

「………は?」

 

え?

ちょっと…なに言ってんの?

 

本気……です…か……!? 

 「……っ!!」

子猫が怯えたように息を呑んだ。

 

 

 

 

ヤバい。

 

どうしよう……コイツら本気だ。

 

 

 

「っ………猫くん逃げてぇ!!」

 

 

そう叫んだときにはもう遅かった。

 

…子猫の小さな体には、すでに斧が振り下ろされた後だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ