第9話 仕事とアタシどっちが大事!?
いや〜忙しいなぁ。
とか弱音を吐いてみたり。
申し訳ないです!!
なんせ忙しいのが仕事みたいな年頃なので…。
いや、まだ子供だけどさ。
そんなこんなで本編へ
GO−♪
ちなみに皆さんは仕事と恋人どっちが大事?
原っぱに囲まれた道をゆっくり通り過ぎて、車はお城の方へと走っていく。
ハートの女王のお城は、静かな森の奥にありました。
木漏れ日の差し込む明るい森の道。
ガタゴトと音をたてながら、クラシックカーはお城の門の前までやって来た。
「うはぁー!
スゴいおっき〜!!」
車の中で思わず叫んでしまいましたよ。だってホントにスゴいんだもん。
まさに一国の主の城!ってカンジだね。
「さて…到着です。」
白ウサギが車を止めて、みんなは緑の芝の上に降り立った。
あたし達の目の前には巨大な門。
その両端に、スペードの3と、クラブの7のカードで出来た兵隊が2人。
おおっ、トランプの兵隊だ!
白ウサギが近づいていくと、トランプの兵隊はピシッと敬礼した。
「白兎殿!お勤めご苦労様であります!」
「へぇ〜さすが白ウサギさん!お城でも顔がきくんだね〜」
「うん、バンチョーは国務大臣もやってるから」
………だ…大臣ですと?
「猫君それマジですか」
「え?
うん本当だよ。結構重役だよね」
いやいや結構なんてもんじゃないよそれ。
何気にめっちゃ偉い人じゃん白ウサギ!?
「みなさーん、そんなとこに突っ立ってないで早く来て下さーい」
きぎぃ〜、と音がして、お城の門が左右に開かれた。
どうやら入ってもイイみたい!!
門をくぐった向こうにあったのは、広大な薔薇の華園だった。
真っ赤な薔薇に埋め尽くされた庭園。その一番奥に、あの巨大なお城がどっしり構えていた。
こんなに沢山の薔薇、今まで見たことない…。
「おや、女王様の薔薇がお気に召しましたか?」
思わず庭園に引き込まれていくあたしに、白ウサギが声をかけた。
「う、うん!
とってもお気に召しました!!」
うん?感動しすぎて言葉が変だ。
でも、ホントに綺麗だよここ。
こんな場所でのんびり暮らせたら、幸せだろ〜なぁ。
…それにしても、お城に来てどうすればいいんだろ?
姉さんの病気を治す薬はここには無いみたいだし、誰かに聞きに行くんじゃなかったんだっけ。
「ね、ねえ白ウサギさんっ次はどこに行くの?
やっぱり女王様に挨拶とか……」
「え?
いえ私は仕事があるのでここで失礼します。」
はい?
「…えと、薬探すのを手伝ってくれるんでは…」
「いや〜そのつもりだったんですけど仕事しなきゃいけないですし♪」
…ちょっと待て。
そりゃ仕事は大事ですよ?何せ大臣なワケですしね。でもここまで来て仕事を優先しなくても…
ってなんでさっさと城の中に逃げてくのよ!?
「コラァ白ウサギィィ!?あんだけ優しい事言っといて今更何なのよ!
逃げんなこの薄情ものぉっ!!」
それを聞くと、白ウサギはピタッと動きを止めた。
「……アリス、貴女どうやら大変な事を忘れているようですねぇ」
「へ?」
大変な事を忘れてる?
…アタシがですか?
いったい何の事よ……………あ。
「…あ、あの…思い出しました」
「やれやれ。人の家を破壊しておいて完全に忘れてるなんて…」
そうです。
あたしはついさっき、巨大化して白ウサギの屋敷をぶっ壊してしまったんでした。
「いやワザとじゃないよ!?不可抗力だし!
あのドアノブが異常にキモかったから家ごとうっかり…」
「嬢ちゃん、言い訳はいけねぇなあ。
悪気は無くてもアンタがやったのは立派な犯罪」
出たぁぁあ!?
「ななな…何でソイツがここに!?
ってか、何でウサギさんが持ってんの!?」
「いやぁ…貴女を車で迎えに行った時に拾っておいたんです。こんなんでも一応我が家の家宝ですから。」
金色に輝くドアノブを摘み上げて、苦笑いする白ウサギ。
「か…家宝??
そのキモいのが!?」
「キモい言ぅなブスがっ!嬢ちゃんあんま調子こいとると痛いめぇあわせるでぇぇゲブハッ」
お、白ウサギがドアノブを地面に叩きつけた。
「痛いめを見るのは貴方です。
女性に向かって何ですかその言葉遣いは…」
はぁ…とため息をつく。
「あ、あの…
白ウサギさん、お家壊しちゃってゴメンナサイ!!
ど、どうしようこのままじゃウサギさんホームレスになっちゃ…」
「なりませんよ。
…というか、そもそもあの屋敷はそろそろ取り壊す予定でしたし」
…はい?
「と、取り壊す?」
「はい。
老朽化が進んでいたので引っ越したんです。
新家は東の森の中にもう出来てるんです」
な…何よそれ!
「じゃあ心配する必要無かったじゃん!」
「心配なんかしてなかったじゃないですか。
忘れてたんでしょう今の今まで」
う…その通りです。
「グスン…面目ないです…」
「まあ反省してるようだからイイです。
ところでアリス、手を出してください。」
手?
よく分かんないけど、あたしは言われるままにウサギさんに向かって右手を突き出した。
「これでいい?」
すると、ウサギさんはチョッキのポケットから何かを取り出した。
「え、なになに?
……カギ?」
ウサギさんが持っていたのは、綺麗に装飾された、古びた金の鍵だった。
「我が家の家宝の一つなのです。…このノブとセットになってるいのですが」
うんざりした顔で地面のドアノブを見つめると、ウサギさんは鍵をあたしの方に差し出した。
「これ、あげちゃいますね」
「え、いいの?
大事な家宝なんじゃ…」
いきなりのプレゼントに、あたしは少し焦る。
だって家宝なんでしょ?貰っちゃっていいの?
「アリスに持っていて欲しいんです。
私は仕事がありますのでこれ以上お手伝い出来ません…
ですが、せめてこれだけでも。」
そう言いながら、ウサギさんは、あたしの手の平に鍵を置いた。
うわぁ…近くで見ると超綺麗じゃん。
「…コレは喋ったりしないよね?」
「喋りませんのでご安心下さい」
長ーい耳を揺らして、ウサギさんはあたしを見つめる。
そして、にっこりと微笑んだ。
「その鍵はお守りです。
私だと思って大切にして下さいね♪」
「…は、はいっ////」
か…可愛い。
図らずも悩殺されちゃうとこだったよ……
だ、ダメよアリス!!
あなたにはもう子猫君という心に決めた相手が…
…そういえば子猫君、さっきからヤケに静かじゃない?
「子猫君……?」
あたしは庭園の中を見渡して見る。
あれ?いないし。
どこ行っちゃったんだろ…?
「それじゃ私はこれで。薬探し、頑張って下さいね」
ウサギさんはいつの間にやらお城の扉の前に。
「あ、うん!
鍵ありがと、絶対大事にするね!!」
「アリス、この城から北に進んで下さい。
野道を通って森の中まで!そこに私の友人がいます。
きっと手を貸してくれますので!」
白ウサギさんの友達?
誰だろ。
詳しく聞こうとした時にはウサギさんはもうお城の奥に入っちゃってた。
「…1人になっちゃったなぁ……」
ウサギさんも猫くんもいなくなっちゃったし。
…あれそういえば、
「チェシャ猫はどこ行っちゃったんだろ?」
「お呼びかね?」
「わきゃあああっ!?」
なにに驚いてんのかって…チェシャ猫がいきなりあたしの顔の前5センチ先に出てきたんだよっ!
「近い近いっ!!
あんたねぇ、人に心臓発作起こさせたいの?」
あたしが怒るのも気にとめないで、チェシャ猫はニタニタ笑っている。
三日月形に裂けた口には、結構鋭い牙の行列。
何なんだろなぁこの猫。
ホントに子猫君の父親?性格は全っ然似てませんけど。
「…まあチェシャ猫は一緒に来てくれるんだよね?よろしくね。
あたしまだこの国のこと良く分かんないし…」
「ああ〜そういえば私も用事があったんだった」
は?
「というワケで後は1人で頑張りたまえ小さき友よ〜はっはっは♪」
「は……?
え、いやちょっと待ってよアンタは絶対用事とかじゃないでしょ?
ってこら!?
悠々と姿消してんじゃないわよんでもってニヤニヤだけ残すのもヤメロ腹立……」
全部言い終わる前に、チェシャ猫の野郎は完全にその場から消えていた。
「……はぁ」
ダメだ、怒る気力すらないよ。
これから1人かぁ…
車も無いからずっと歩き出し。
ガッカリして俯くと、スカートの端が破れてた。 あぁ、白ウサギのお屋敷で聞いた"ビリッ"ってのはコレの音ね。
どっかに引っ掛けて破いちゃったんだ。
姉さんが作ってくれたエプロンドレス。
こんなトコで立ち尽くしてちゃダメだ。早く姉さんの薬を見つけないと……。
でもどっちに行けばいいんだろ?
白ウサギは北に行けとか言ってたけど…あたし、どの方向が北なのかなんて知らないし。
お城の周りは森ばっかりだし。
……どうしよう?
もしこのまま薬が見つからなかったら…。
急に心細くなってきた。
1人だけで門をくぐって、お城の外に出る。
後ろでバタンッと音がする。
門が閉められたんだ。
…これでもう、白ウサギさんに助けてもらうことも出来ない…。
「お姉ちゃん……」
あれ…?なんだか怖くなってきてる。
なんで?
さっきまであんなにワクワクしてたのに。
あんなに明るかった森は、いつの間にか薄暗い影に包まれてる。
…どうしよう。
これからどうすればいいんだろう。
「アリス〜」
…今なんか聞こえた?
俯いていた顔を上げたら、森の奥から小さな陰が飛び出してきた。
「アリス〜っ!!」
「…猫くん…?」
小さな、チェシャ猫と同じ模様の子猫は、あたしの方に大急ぎで走ってきた。
「ごめんね?
探し物してたら遅くなっちゃって……」
足下で笑う子猫を、あたしは思いっきり抱き締めた。
「…アリス?」
「………。」
「…寂しかった?」
優しく微笑む子猫を見て、あたしは、ゆっくり頷いた。
「ごめんね…これからはずっと一緒にいるね。」
「……いいの?」
涙声しか出てこないのはなんでだろ?
猫君が帰ってきてくれた事が、嬉しくてたまらない。
「いいよ!
だって、アリスは僕の飼い主だもん」
ヒゲをピクピクさせて、子猫は言った。
「…ありがとぉ…////」
「あ、そうだ!
どうせバンチョーは仕事しに行っちゃうと思って、乗り物探してきたんだ!
車は運転できないし。」
……乗り物?
その時、目の前の茂みがガサガサと揺れた。
「パピーって言うんだ。僕の友達!」
「…………え、
………あ……その……
……乗り物ですか?」
茂みの奥から出てきた、巨大な体。
白地に黒いぶちの模様。
全長5メートルはある巨体を揺らして、その生き物は姿を表した。
「…………っ。」
驚愕のあまり石化してます、ハイ。
「…………わふっ」
あたし達の前でお座りをして、可愛らしく鳴き声をあげた………デッカい Puppy(子犬)。
「いやデカすぎるだろ」
やっとお城に着いた〜
それじゃ次回は少〜し
雰囲気変えてみます。
どんな風になるかはお楽しみに〜♪




