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第8話 ハートの城

 

《不思議の国》は、人から生まれ出た。

 

そして、《物語》は愛情を食べて育った。

 

 

幾百という時が、人の思いを葬り去ろうとも…

 

世界は廻る。

…そこに人がいる限り。 

 

 

≡≡≡≡≡≡≡≡≡ 

 

 

 

     

「……で?

貴女は何故あんなに困っていたんです?

この《不思議の国》に来ようとしたのにも訳があるんですか?」

 

クラシックカーのエンジンをかけながら、白ウサギが聞いた。  

 

「う…うん、実は…」

 

「まぁその年で理由も無しにウサギ追いかけて穴に落ちるとか正直ありえませんものねぇ。

…ドン引きです。」

   

「キミの母さんはあの時まだ小さな子供だったから許されるんだよなぁ。…キミと違って。」

     

   

…くっ

おのれウサギと猫め。

何が言いたい…っ!!

   

  

「まぁまぁそんな怖い顔しないで。

それでは聞かせて頂けますか?

貴女が、この国へ来た訳を…。」 

「あ…うん。

   実は昨日ね…」

   

   

    

あたしは、昨日姉さんが倒れたこと。病気が治るか分からないこと。

そして、姉さんの病気を治せる薬を探しにこの国に来たことを、みんなに説明した。   

  

「…なるほど、そんな事が…。」

シロウサギは話を聞くと、車を運転士ながら首をひねった。

  

「ど、どうかなっ

何でも直せるようなスゴい薬って無いの?」

「う〜ん…

城の図書館に医学書がいくらかあるはずですが」   

「こ〜ゆうのは誰か専門家に聞いてみるのがいいんじゃないかな?」

チェシャ猫が言う。

  

「専門家?」

「この国じゃ滅多に病人が出ないからねぇ〜。

余り訪ねる者はいないんだが〜」

「医者は一応いるんです。森の奥に住んでます」   

      

「へ〜、病気少ないんだこの国。

なんかスゴいね!!」

「あ、ハイ。

殆どの国民が健康そのものなんです。

怪我人が出たとしても、たまに医者に見て貰っても治しようがないくらいの重傷者がでるだけで」 

  

治しようがないって…

  

「…どんな殺伐ライフ送ってんのよ?」

  

  

  

ところで、あたし達は今シロウサギの車の中。

  

木が高く生い茂った小道を、緑のクラシックカーが木漏れ日を浴びて走っている。

  

運転席はウサギさん、助手席にチェシャ猫が乗り込んでる。 

そしてあたしは後部座席で猫君は……

  

もちろんあたしの膝の上〜♪

    

「ね〜、僕はお姉さんの隣に座ればいいんじゃないの…?」 

「いーの!

猫君の特等席はアタシの膝の上なの!!」 

「…なんだかなぁ」   

    

猫君は少し納得がいかない様子だった。

  

「…猫君、あたしの膝の上は嫌なの……?」

「えっ!?」

   

「そうだよね……

猫君は男の子なのに、こんなかわいいかわいいばっかり言う女なんて、鬱陶しいだけだよね…。

ごめんね…?

あたし…猫君の飼い主になれたと思って…グスッ…勝手に…舞い上がっちゃって……。」    

「お、おねーさん?

ごごごめんね!?

僕そんな風に思ってないからね?」

   

「おやおや。

いつの間にか1人前にレディーを泣かせるようになっていたのか…」

「ちょっ、父さん!

変なこと言わないでよ」   

よし……かなり動揺してるわね。

乙女の涙作戦は使える、っと。

あとはもう一押しで…   

「猫くん……」

「な、何おねーさん?」「そのお姉さんって言うのやめて……アリス、って呼んでくれないかな」   

「え?

う、うん。

……アリス?」

  

くは〜来たぁ〜っ!!

  

「も、もう一回…

今度はもっと可愛く!」

「?

わかったよ、…アリス」   

……やば、鼻血でそう。   

猫好きでないと理解出来ますまい。

このクリクリのおめめで見つめられながら、あどけない口元から自分の名前が囁かれているのを聞けるだなんて…っ!!

  

神様アリガトウ////!

  

「じゃ、じゃあ////!

今度は耳元でご主人様〜って『猫好きの人間でも理解不能だと思うがね』 ………。」

  

…ちょっとチェシャ猫、いくら父親とはいえこのタイミングで邪魔するとかありえな……

  

…てか心読まれたぁ!?

  

  

「ほらアリス?

子猫君をからかうのはその辺にしておいて下さい。

もう着きますからね」

  

…そういえば、あたし達今どこに向かってるんだろ。

行き先も知らずに乗ってるあたしもアレだけどさ、先に教えてくれたっていいのに。

  

「ねぇ、着くってどこに?」

  

シロウサギは、黙って顔を右に向けた。

  

「…?」

その意味はすぐに分かりました。

  

緑の並木道が途絶えて、周りの景色がよく見えるようになった。

そのとたん……

   

「…うわぁ〜っ…!!!」

   

あたしの目に飛び込んできたのは、森の中にそびえ立っ、大きなお城だった。

 

「うわ…きれい……」

  

右方向に現れた豪華なお城は、日の光を浴びて白く輝いてる。

でもやっぱり女王様がハートの女王だもんね、壁のところどころにハートの紋章が描かれた垂れ幕が吊してある。

それに屋根も真っ赤な薔薇色。

   

「この国の最高権力者、ハートの女王陛下の城です。

お母様からお話を聞いていらっしゃるかと思いますが…」

「うん、聞いたことあるよ!!」

   

…あれ?

そういやハートの女王ってたしか…。

  

「…何かというとすぐ、首を跳ねろって叫ぶ人だとか…」

「跳ねられないように気を付けて下さいね。」

  

もしかしてさ…そんな人の城に行くの?

命がいくつあっても足りない気がするんだけど…

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