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5-22 後悔は、与えた後に

‥‥‥ゼナ用の部屋が女子寮に作られ、彼女と過ごす時間が少々減った。


 まぁ、入浴時などで四六時中一緒ということも無いので特に気にすることも無く、魔剣とは言え自分で考えて動くことが出来る存在だからこそ、彼女だけの時間と場所も必要だと思ってもいたので特に問題はないだろう。



「そう考えていた時期が、あったけど…‥‥ルルシア、その話って本当か?」

「ええ、間違いないですわ。帝国各地で賞金首が次々に狩られたようですわ」


 午前の授業も終えて昼の時間、ルルシアに誘われて一緒に昼食をとっていたのだが、彼女と話す中でそんな話題が出てきてしまった。


 なんでもここ数日程、ミルガンド帝国各地で賞金首として懸賞金がかけられていた悪党たちが次々に捕縛され、御用となることが続出。


 帝国としては物資の行き来に欠かせない商人たちの安全の確保や、捕縛のために回していた分を別の方に回せるので悪い事はないのだが、少々捕縛ペースが例年の比ではないことに驚いているのだとか。


 でも、どう考えても原因は‥‥‥‥


「ゼナ、絶対にお前の仕業だろう?」

「ハイ。折角私室を得られたので、色々とやろうと思い、資金稼ぎとして狩りまシタ」


 王国の方でお風呂場の改装に引き続き、今回も賞金首たちが彼女に手によって哀れな犠牲になってしまったようである。


 いや、懸賞金がかかるほどの悪党だからこそ納得のいく末路かもしれないが、それでもこうもあっさり次々に捕縛されてしまうのはどうなのか‥‥‥‥捕まえられて嬉しい反面、たった一人のメイド魔剣によって簡単に済んでしまったことに関して、複雑な想いを抱く兵士などもいるようだ。



 とにもかくにも、大量に捕縛したことによって潤沢な資金が彼女に舞い込み、ここ数日程は捕縛に合わせて自室の改装も行ったようである。


 留学している間限定の私室で、退寮時にはしっかり後片付けが必要になるのだが、それも考えてきちんと設計しているようで問題はないのだとか。


「ですが、それでもまだ納得いく仕上がりにならないのですよね…‥‥むぅ、建築の才能は姉妹で持っている人がいるのですガ、あの人に任せると‥‥‥いえ、やめておきましょウ。私一人で、しっかりやっておきマス」

「何今の間」

「色々とあるのですヨ。例えで言うなら犬小屋を作ってと言われたはずなのに、どこをどう拡大解釈したのか大迷宮を作り上げる人ですからネ」


 呆れたように肩をすくめてそう説明するゼナ。


 彼女の姉妹は血縁を思いっきり感じさせるレベルで突出した人が多いようだが、それはそれでどういう人なのかとツッコミをいれたくなった。でも、聞くのも怖いなぁ‥‥‥犬小屋で大迷宮って、本当にどう解釈して作ったのだろうか。



「何にしても、資金が集まるのは良いのですガ‥‥‥残念なことに、材料が今一つ集まらないのデス」

「それ以上何を求めていると」

「すでに数十人ほど捕縛して、まだキリがないのですの?」

「いえ、資金自体は良いのデス。納得のいくものにしたいのに、中々ならないのがもどかしいのデス」


 そう言えば、お風呂にこだわりを持って徹底的にやっていたことがあったが、ゼナはどうも一つの物事に強くこだわることがあるようだ。


 というか、こだわりのために犠牲になる賞金首たち…‥‥その内、絶滅しないかな?いや、したほうが社会的には良いのかもしれないけど、無くなったら次は何を使うのか想像したくない。


 恐ろしい未来が来ないように、別の資金稼ぎ手段を見つけてもらうべきかと思うのであった…‥‥










…‥‥犠牲になる獲物の悲鳴が今夜も響き渡っていた夜中。


 その獲物とは違う種類の者たちの悲鳴が、こちらでも響き渡っていた。


【ギャウグガァァァァァァ!!】

【ゴンギャァァァァア!!】


 帝国から少し距離を置いた山間部にて、悲鳴を上げているのは魔獣たち。


 生きとし生けるものたちを根絶やしにするために動いていた魔獣たちは今、狩られる立場となっていた。


 いや、正確には違うだろう。魔剣によって絶命される魔獣たちであり、この狩りでは絶命していない。


 だが、この世から跡形もなく消えるよりも悲惨な目に合っていたのである。


ごぎぼごぼうぎぃぃ、ぐしゃざぁぁぁ・・・・・・


 骨がねじ曲がり、筋繊維が千切れとび、無理やりねじり合わされる音が同時になり、魔獣たちの身体は一つの怪物に取り込まれていく。


「…‥‥ふむふむ、やはり魔剣でないとやれないねぇ。難しいが、これはこれでいい具合に食えるのであれば、問題ないかもねぇ」


 その様子を見ながら、怪物の出来具合にニヤリと笑みを浮かべる人物。


「でも、まだまだ取り込める魔獣は多いかなぁ?他のやつらも必要だし、もうちょっと魔獣探索に幅を広げつつ…‥おぅ?」


 魔獣たちを取り込んでいる怪物を見てつぶやく中、一体の怪物がこっそりとこの場から離れていくのを目にする。


「あれはまだ、ギリギリ残っているのかなぁ?ま、良いか。十分に力を得たと判断したら、その後はもう野となれ山となれ、データとなって役立ってしまえば良いだけかもねぇ。そう言えば、そろそろこの辺りに巨人のような魔獣が出そうだし、それを取り込んでくれたら、より面白いことになるかもねぇ」


 にやぁっと笑みを浮かべつつ、自ら動かずとも勝手にやってくれる都合のいい手駒を思い、そうつぶやく。


 ひとまず今は、貴重なデータを取り逃さないように記録に集中して、この後に起こるであろう面白そうなことに関して、楽しみに待つのであった‥‥‥‥




「…‥‥聞いた話だと、今あの国には彼らもいるようだしねぇ。あの愚物は知る由もないけど、これはこれで面白いことになりそうだし、ゆっくり観察しようねぇ」


密かに育っていた、大きな欲望。

歯止めも聞かず、それは暴走を行うだろう。

その末路が何であれ‥‥‥利用されているということには、気が付かない。

次回に続く!!




‥‥‥桜も咲き、時々眠くなってきました。

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