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5-15 準備を進め、やってみるのは

‥‥‥春風も吹き、新入生も入学した今日この頃。


 もう少し日にちが経過したら留学する国へ向かって旅立つことが決定したのだが、それと同時に留学先がどこの国なのか、留学予定の生徒たちに発表された。


 物凄く遠すぎず、かといって近すぎもしないほどほどのところが多いようだが、まぁ遠くてもいざとなったら空を一気に飛翔して向かう手段があるので、どこの国であろうとも問題はない。


「でも、まさかここが選ばれるとはな‥‥‥ミルガンド帝国って、最近知り合いが帰国した国じゃん」

「別れて早々、再会できそうですよネ」


 二年の方に留学していたカイゼルや、先日のルルシア皇女と早い再会を予感させられる行先。


 とは言え、直ぐに向かうことも無いので、二年に進学したことで出来た後輩たちに忘れられないようにしてもらいたいのだが…‥‥その部分の心配はすでに無くなっていた。


 いや、やらかしたというべきかもしれない。生徒会の一員として影が薄くならないようにと思ったんだが、新入生を向かえる時にやった生徒会の紹介のインパクトが強すぎたのかもしれない。



「…‥‥各部の予算申請や、その他学園内で動くお金の流れが、物凄く事細かになっているのはありがたいけど、なんでこうなった」

「ご主人様がドラゴンの姿になって、不正をやらかした場合どうなるのか見せたせいでしょうネ」


 うん、絵本とかでドラゴンには宝をため込むという話もあるので、それをかけての印象付けのつもりだったのだが、不正したら食い殺されるとでも思ったのかこれまで出てきた金の流れが洗練されてしまい、仕事が助かるのだけれどもなんか悪い事をした気分になる。


 



 何にしても留学の準備に向け、色々とやっておくことは多い。


 帝国での暮らしとなると当然この王国とは違うことも多くなるだろうし、流通している品物なども変わるので、こっちでしか得られないものがあるならばしっかりと持っていく必要がある。


「でもまぁ、そんなに不便でもないかな?いざとなれば飛んでくればいいけど、そこまで必要なものも多くないなぁ‥‥‥」

「帝国の方にも店はありますし、最近知り合いで店を開いた人もいるらしいですからネ。何も問題無いデス。しいていうならば、私自身のメンテナンスというかカスタムを変えておきたいぐらいですカネ」

「カスタム?」

「ハイ。今までのガトリングやウイングなどで、帝国に合わせた仕様にちょっと変えてみようと思ったのデス。いつも同じ形態だと飽きることもありますし、少々形状を変えてみたのデス」


 そんな変形機能とはちょっと異なる仕様があったのかと驚きつつも、このメイドの事だから他にも何かやっていそうな気がするので、深く聞きはしない。


 帝国仕様のモードとなると、何かこう、攻撃的な感じになる気がしなくもないけどね‥‥‥王国とは違って軍事面も強いらしいし、何かと強化する必要があるのだろう。



 そう思いつつ、仕様変更で新しい見た目のモードになることはちょっと期待している自分がいる。


 俺だって男の子だし、ロマンを感じそうで楽しみにはなるものだ。


「あとは、帝国のパンフレットなども読んでどういう所なのか頭に叩き込んでおきたいけど‥‥‥ゼナ、用意してもらっておいてなんだけど、何でこんなに種類があるんだよ」

「帝国に抱く印象は、人によって多々あるようですからネ」


 一つの面から見る事ばかりではなく、他の方面からも見るという意味で用意してくれたのは良いけど、流石に数十冊の山になるとは思わなかった。


 どれだけ帝国に対して情報を集めている人が多いんだよとツッコミをいれつつ、とりあえず適当に目についたものから読み進めることにしたのであった‥‥‥


「帝国の歴史、魔剣利用での大失敗‥‥‥戦争関連が多いな」

「何かと戦が多い国のようですからネ。とは言え近年は学を深めることに重きを置いているようデス。こうした体制を取るようになった説の一つには、領地が肥大過ぎて不自由になったから、治められる人材づくりに集中したくなったようですネ」

「おかしな人に頼んだらどうなるのか予想しやすいもんな」

「あと、青薔薇姫によって悪事を働いていた方々が殲滅、根絶されたので治める人不足になって、解消のためにやらざるを得なかったともありマス」


‥‥‥亡き母よ、あなたはなにをやっているのでしょうか。











 思いっきり削られている内容だと思わず、フィーが母の所業の一部を垣間見て遠い目になっていた丁度その頃。


 ミルガンド帝国にもある、裏社会の人達が集まるとある場所では、会合が開かれていた。


「‥‥‥では、間違いなく青薔薇姫の子が、留学しに来るのか」

「ああ、学園の方に来るようだが、この情報を手に入れた家は多いそうだ」

「ドラゴンの力も有しており、気になる家も多いようだが、大半は静観を決めているぞ」

「そりゃ、うかつに突けばどこからともなくぼわっと、青薔薇姫が出かねないからなぁ…‥‥」


 その言葉に対して、集まっていた青薔薇姫を知る裏社会の者たちは同意して頷き合う。


 過去にあった様々な所業を思い出し、中には身を震わせておびえたり、トラウマスイッチが入って体育座りをして動かなくなる者が出るほどであった。


「だが、そんな事も考えない馬鹿も混ざっているが‥‥‥そっちは大丈夫だろうな?」

「問題ない。やらかしたが最後の危険性を十分に承知しているからこそ、全力で止めまくっている」

「知らぬから、自分だけは大丈夫、誇張表現に過ぎない、と思う輩がいるのが問題だなぁ」

「無知は罪で、触れてはいけないものとして分かっているはずだが、それでもやるやつはいるからな」

「愚か者がどうしても出るのは、防ぎようがないが‥‥‥悲劇が起きるのが防ぎたいからな」


 雇っている家や組織の対立などで敵対している者たちも多いが、青薔薇姫に関しては全員手を取り合い、最悪の事態を避けるために動き合う。


 知っているからこそ動きつつ、知らない者には丁寧に当時の記録が残っている貴重なものを見せて分からせつつ、どうしようもないものにはもう全力で手を回すしかない。


「経験無き者、知らぬ者、慢心する者、手を触れてしまう者‥‥‥様々な者がいるとはいえ、下手なことを起こさないでほしい」

「そうそう、それで全員にとばっちりが来るからな…‥‥偉い人ならば、何故わからないのか」

「いや、そうでないからわからないのかもしれない。爵位や人脈、功績などがあったとしてもそれが必ずしもその本人に結びつくとは限らないからな」


 できることは、もう色々と手を尽くした。


 あとは何事も起きないように、全身全霊で祈るしかない世界に、裏社会の者たちは乗り切るために一丸となって挑み続ける。



「…‥‥ああ、願わくば何事もなく、嵐が過ぎ去ってほしいものだ」

「嵐どころか天災だが、平穏無事でありたいなぁ」


‥‥‥ミルガンド帝国の皇帝には3人ほど過労死した皇帝がいると聞くが、裏社会の方ではより桁数が違っているのは、また別のお話でも合った。


 清濁併せ呑むともいうが、そんな事が出来る人ほどため込みやすいのである‥‥‥‥



「そう言えば噂で聞いたが、帝国の姫が彼と既に遭遇しているらしいな」

「そうそう、聞いたよ見たよ。帝国に帰国してからも話に出しているが‥‥‥ありゃ、無自覚だけど自覚したら面倒なことになるとしか思えないぞ」

「…‥‥いっそ、こんな事を考えるぐらいなら裏社会からでて、何処か秘境で隠居したいなぁ」


何事もなければ悪人は長生きしそうなイメージもある。

けれども、現実は深く理解している者ほど、余計に心労が積み重なりやすい。

苦労人はどこからでも増殖するのだ‥‥‥

次回に続く!!




‥‥‥なお、過労死皇帝たちに関しては、出す予定あったりする。

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