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5-10 かくかくしかじか、というより魔剣から聞いた方が早いかも

‥‥‥ミルガンド帝国の、魔剣士や騎士を含む一団。


 そんな者たちがなぜ、重傷を負っていたのか気になっていたがすぐに聞かずにまずは大丈夫な状態になるまで治療を施し、回復を待った。


「そしてようやくはっきり話せるようになったっぽいけど…‥‥大丈夫なのか?」

「ええ、大丈夫そうデス。なかなか回復も良好で、問題ないでしょウ」


 医療施設から容態も安定したので村の宿泊所へ移動してもらいつつ、本日は事情を聴くために村長たちが彼らの話を聞くために向かっている。


 俺の方も聞きたいが、どう考えても面倒事の類になりそうなので、ここはしっかりと上の人たちに処理をお願いしたいのである。


‥‥‥聞いたところで、何かできるって訳でもないし、大人しく様子を見るだけだ。



「一応、村長には魔剣の方から聞き込んだ情報を手渡してますので、ある程度の整合性を取れれば問題ないでしょウ」

「まぁ、その情報を先に聞いたから大人たちに任せることにしたんだけどね‥‥‥」


 忘れがちだが、ゼナは魔剣と会話が可能だ。と言うかそもそも、魔剣自体に意志が存在しているらしく、事細かい情報を魔剣の方が所有者である魔剣士以上にしっかりと記憶しているのだ。


 まぁ、その細かい情報の中には魔剣を所有している魔剣士自身が知りたくなかったものもあって、色々な悲劇喜劇が産まれたりもするのだが、その特性を生かして今回は、事前に魔剣士の持っていた魔剣の方にゼナが話しかけ、物凄く詳細な説明をしてもらったのである。


「ですが、内容的にしばらく警戒するに越したことは無いデスネ…‥‥正体不明の化け物の情報は、聞きたくなかったデス」

「どう考えても、またあの狂気の学者野郎関係になりそうだからな‥‥‥違ったとしても、それはそれで大ごとな気がするし、ちょっと離れたほうがいいよな」


 魔剣たちから聞き出した話によれば、あの一団は確かにミルガンド帝国の者たちではある。


 だが、ただの魔剣士や騎士たちが集まった衆ではなく、護衛も兼ねていた一団で…‥‥その中心には、何と帝国の姫がいるのだとか。皇女というべきなのか、姫様というべきなのか、そのあたりは魔剣ごとにちょっと呼び方が変わっており、少々統一させにくかったがそれだけ人気なのだろうか。


 その姫様の名前は「ルルシア・ハールド・グラニア・ミルガンド」。ミルガンド帝国の第1皇女にして螺旋の魔剣『リガールド』を持つ、異名として「暴風雷撃の姫」とも呼ばれている人らしい。


 螺旋の魔剣のどこに暴風雷撃の意味があるのか…‥‥このドルマリア王国の第3王女、生徒会長にして魔剣ボンバードを所有する爆撃の姫といい、お姫様にはこういう過激そうな人しかいないのだろうかと疑問に思えてしまう。いや、でも生徒会長はまだしっかりとして‥‥‥いるのかな、アレ?生徒会長の座にいるだけあって、強さ自体も並外れているし、まともじゃなかったかもしれない。


 なお、誰がその姫なのかと言うと、どうもあの一団を引きずっていた人らしく、鎧を着こなしていたので全部見ていなかったが‥‥そっか、あれ姫様だったのか。ドラゴンの姿で気絶させてしまったが、不敬罪とかはないと思いたい。




 とにもかくにも、そんな帝国の姫と護衛の一団が何故大怪我を負った状態で動いていたのかと言うと、ある事情があった。


 今の時期、帝国の方の学園も冬季休暇に入っており、第1皇女も通う者としてしっかり休みの時期にあった。俺と同学年のようで、休みならば城で皇族としての学びなどをしていそうなものなのだが、話を聞くと民を守ることに意欲を注いでいるそうで、冬季休暇を利用し自己研鑽も兼ねて、帝国で把握しきれないような悪も討ち取る目的で、世直し旅とも言えるような帝国の各地の見回りを行っていたらしい。


 一国の姫をそんなものに出して良いのかと思いたいが、実力自体は本物で並の魔獣なら楽々倒せるほどらしい。護衛も念のためについているとはいえ、実力は姫様の方がすごいのだとか。実際に、見逃しかけていた悪徳商人の一団を発見し、そいつの手先を一人で全滅させたとか言われているようだ。




 だがしかし、そんな帝国安全見回り悪ぶち潰しの旅の中で、ある日変なものに遭遇した。


 ある村から届いた怪しい化け物の目撃情報。それを聞いた一団は、魔獣かもしれないという事ですぐに現場へ向かったそうだが…‥‥既に遅かったらしい。


 民を守れなかったことに嘆きたかったが、そうはいかない。現地にはまだ、その魔獣が‥‥‥いや、魔獣と言って良いのかどうか、分からない者がいたのだから。


「…‥‥話を聞くと、生存者かと思って近づいたら、突然筋肉ムキムキのゴリマッチョの姿になった化け物だったそうだな」

「爆発するかのように膨らみ、あっと言う間に変貌したそうですからネ。変身や擬態をする魔獣はいますが、そんな変化をする魔獣の情報に関してはデータに無いデス」


 そしてすぐに戦闘となったが、その魔獣のような化け物は桁違いの強さを誇っており、全滅したようだ。


 だが、魔獣ならば命まで確実に奪うはずだが…‥‥全員に大怪我を負わせた後、奇妙な行動をとった。



「懐から、何か変な道具を取り出し、全員どこかに飛ばされた‥‥‥か。そして気が付いたら、王国の近くに倒れていたのか」

「地理学などもしっかり学んでいたようで、自分達のいる場所をすぐに割り出せたようデス。その上で全員の容態を見て、一番近いここを目指したそうですネ」


 治療を受けるために、そして魔獣のその怪しい行動などの情報を失わないように、引きずってまで全員ここまでたどり着いた。


 とは言え、皇女様以外は足腰もかなりひどい状態だったようで、まともに動くことすら難しかったが、そこは魔剣で創意工夫して引きずり、そして成しとげたようだ。


「何にしても、後は村長の方で話を聞いてもらって、国の方に報告しないとなぁ‥‥‥化け物の話も気になるが、今はここを守らないとな。この近くまで飛ばされたという事は、逆に言えばその化け物自身もここに来る可能性もあるしね」

「念のために、魔剣たちから生体反応のデータも入手しておきまシタ。近づいてくればすぐに反応できマス」

「そんなことできるのか?」

「ハイ。魔剣の中には相手の呼吸や体温、その他色々と感じ取れる剣がありますからネ。しかも、帝国での訓練でかなり精度も高くなっているようで、十分なデータをいただきまシタ」


 魔剣には魔剣で、何か色々と分かるようで、ならば頼もしい事なのかもしれない。


 ひとまず、俺たちとしてはしばらく警戒に意識を向けるのであった…‥‥












「‥‥‥ほうほう、ほほぅ。では、大体整合性も取れたし、間違いないようじゃな…‥‥帝国の姫様と他の方々、今はゆっくりとここでお休みになられて、気力を養ってくださいませ」

「ありがとうございますわ、村長さん。お言葉に甘えて、少し滞在させてもらいますわ」


…‥‥フィーがゼナと話していた丁度その頃、村長は全員から話を聞き終え、事前にゼナから手渡されていた詳しい事情に目を通し、情報の整合性を確認し終えていた。


「しかし、我々の魔剣の話を聞き取るとは‥‥‥噂には聞いていたとはいえ、魔剣としてはすごいな‥‥‥」

「おや、あなた方は彼についての話をご存じで?このドップルン地方の教会で育った彼の名が帝国まで届いているとは、村長としては誇らしい事でございますな。院長の方も、話を聞けば喜ぶでしょう」

「ああ、かなりな。珍しい、生きた魔剣というか人と変わらぬメイドの魔剣を持ち‥‥‥」

「幻の、物語の中でしか見ぬようなドラゴンの血を引き‥‥‥」

「「「「「あの恐怖の、青薔薇姫様のお子様だという事を…‥‥おおぉう」」」」」


「…‥‥皆さま、凄い震えてらっしゃりますな」

「わたくしは話を聞いたことしかないですけれども、それぞれ過去に何かとあったようでして、話に出るだけで震えてますわ」

「無理もないかもしれませんな。青薔薇姫に関しては、話に出すだけでも護身用にもなると言われるそうですからな」


 がくがくぶるぶると、震え出した他の者たちに対して村長と皇女は同情の目を向ける。


 どれだけの恐怖があったのかは分からないが、それでもここまで恐れられているという事は、それだけ過去に何かあったという事なのだろう。



「‥‥‥それはともかく、しばらくゆっくりさせてもらいつつ、帝国にも連絡を取っておきますわ。王国領内のここに、ミルガンド帝国からの迎えが来ますが、心配なさらないでくださいませ」

「問題ない、問題ない。何せこの村は何かとあったからのぅ。既に何かしらの出来事が起きても、十分慣れておる」

「そ、そうですの」


 遠い目をして答える村長に、察した皇女。


 無理もない。こんな田舎のところだというのに、例に無いような魔剣だとか、ドラゴンだとか‥‥‥情報の洪水はとっくの前にあり、慣れてしまったのだろう。



 そしてすぐに、村長がその場を去り‥‥‥後には、皇女含め帝国の者たちだけが室内に残された。


「では姫様、回復の頃合いを見計らい、帝国の迎えをよこしてくれるように連絡を取っておきます」

「ええ、そうしてくださいませ。幸い、治療をしてくれた方の腕前が良かったようで、新学期前には全快できますわね」

「よかったですな。それにしても、この治療技術も優れているとは‥‥‥千切れかけていた腕や折れた骨も、既にくっ付いております」

「それを考えると、この治療をしてくれた方の技術は凄まじいのですが‥‥‥これも、あのメイド魔剣なんですよね?」

「そのようですわね。話を聞く限り、村の医者や治療向きの魔剣士は手伝った程度で、主にその方がやったそうですわ」


 その事実に対して、色々とツッコミどころが多くともしきれない空気が漂う。


 帝国のツッコミ技術は実は王国よりもやや低いのだが、それは関係ないだろう。


「…‥‥噂に聞いていた程度とは言え、偶然出くわしたはいいものの、凄すぎませんかね?」

「そもそも、目の前であのドラゴンになられた時、正直言って敵対行動をしていなくて良かったと心の底から思えました」


 うんうんと、首を頷いて全員が同意する。


 それぞれが騎士として魔剣士として己の実力に関して自信はあったが、ドラゴンを目の前にさせられてはあっけなく砕かれたような思いを抱く。


「ちょっと前まで、軍部の方が他国へそろそろ攻めてみるべきではとかふざけ抜かしていた輩もいたが、あれをみては確実に敗北しかあるまい」

「魔剣士が戦場に出ると、魔獣の被害などもあるのでおそらく出ないかもしれませんが、それでもドラゴンがいるというだけで攻めたくはないですよ」


 魔獣討伐ならばまだ良いのだが、幻のような存在、強大すぎる生物に関しては覚悟し切れない。


 そのうえ青薔薇姫の血や、魔剣士でもあるので魔剣を保有し、その魔剣も飛びぬけた性能をしているのであれば、挑む気を失せさせられるだろう。


「知らぬ馬鹿なら挑むだろうが、その後始末は拭いたくないなぁ‥‥‥」

「姫様、ひとまず帝国に噂はほぼ真実だったと伝えつつ、馬鹿の駆逐要請もしておくべきでしょうか」

「しておいたほうが良いですわね。いるだけでしでかす輩は、早いうちに摘んでおいたほうが良いですわ」


 今後のトラブル回避も考えて、動く一同。


 無事に全員生還して辿り着いたとはいえ、余計な心労を背負った気がしてならないのであった。


「‥‥‥それにしても、優しそうな方でしたけれども、どことなく苦労しているような気がするわね」

「そうですか?色々と出てくるものがすごい分、そう悩むこともなさそうなのですが」

「そうでもなさそうなのよ。なんとなく、お兄様の一人と同じような感じがしたのですわ…‥‥」



苦労人はどこにでも生えてくる。

万年ツッコミ業界不足なのに、それでも出てくることが多いのだ。

そんな香りが、どうも帝国の内部の方でもあるようだが、それはまた別のお話。

次回に続く!!



‥‥‥絡ませたいけど、トラブルの予感しかないんだよなぁ。

あと最近、PCのお気に入りタブが勝手に消えていることが多いのも問題。書く環境変えるために、買い替えるべきなのだろうか。

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