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5-9 事情と言うのは、後から色々と

―――ぱちぱちと、何かが聞こえて目を開ければ、そこは何処かの室内だった。


 音の正体を探ると奥の方に暖炉があり、室内に暖気を巡らせているようだ。


 そしてかなり広い室内には他にもベッドがあり、その上には‥‥‥


「よかった‥‥‥皆、手当をされたようですわね」


 重傷だった部下たちが眠っており、包帯が厳重にまかれていたりするものの寝息を立てているようだ。


 ふと窓があったので見ると、どうやら今は真夜中のようで真っ暗になっているようだが、室内には手当をしやすいようになのかうっすらと明かりもつけられている。



「そう言えば、ここは‥‥‥ああ、運ばれたのでしたわね」


 ある程度皆の容態の落ち着きを見てほっと安堵の息を吐いたところで、今のこの状況がどういったものなのかすぐに理解する。


 重傷者ばかりで危ない所だったが、ここの村の人に救われたというべきか‥‥‥いや、人?



「そもそも、ドラゴンになる人と言う時点で、どう考えればいいのかしら…‥‥そう言えば、聞いたことがありましたわね。確か、青薔薇姫の子が見つかって、その血にはドラゴンもあるとかなんとか‥‥‥」

「ふむ、ご主人様についての情報は知っていたようですネ」

「!?」


 突然横から出てきた声にびっくりして顔を向ければ、ここに来る時に出会った侍女の服装をした女性が横に立っていた。


「え、ええ一応。疲労で頭が働かなかったですけれども、今ようやく‥‥‥となると、確か貴女に関しても今、思い出しましたわ。魔剣としては見たことが無いような、生きて動くメイドの魔剣‥‥‥眉唾物の話と思ってましたが、本当にいたのですわね」

「人は自分の目で見ないと、信じないこともありますからネ。話だけを聞いてもすぐに結び付けられないのは仕方がない事だと思われマス。それはそうと、まだ寝ていたほうが良いデス。他の方々の治療は既に終わってますが、貴女の場合は内臓の方にもダメージがあるようでしたからネ。何か強い打撃などを受けたようですので、もうしばらく安静にしてくだサイ」


 そう言われ、わたくしはそっと横にさせられる。


 侍女が治療技術をもってそう診断するのは聞いたことはないのだが‥‥‥話に聞いた動く魔剣のメイドとやらの場合、そんな事が出来てもおかしくはないとも聞いている。


 と言うかそもそも、魔剣なのに人にほぼ近い見た目なのも驚きでもある。


「ああ、考えていたらなんか疲れて眠気が…‥‥事情説明は、起きたらで良いかしら…‥?」

「それで大丈夫デス。一応、そちらの方々の持ち物などでどこの国のかたなのかと言うのも分かってますが、詳しい話しはちゃんと休んでからにしてくだサイ。私はメイドでもあり魔剣でもあるのですが、医師の友人の言葉を借りるなら『さっさと寝て治せ!』というでしょうカ?」


 それは医師としての発言の割にはちょっと乱暴な様な、それでいて間違ってもないような言葉に、ツッコミをいれる気もなくそのままゆっくりと眠気に負けるのであった…‥‥












 ぱたんと扉が閉じ、ゼナが出てきた。


「どうだったゼナ?治療は全員、済んだか?」

「大丈夫デス。酷い重傷を負われていたようですが、全員無事に治療完了しまシタ。後は本人の自然治癒と体力回復を待つだけデス」

「そっか」


 村の中でも、魔獣被害に備えて用意されている建物の一つで、俺は確認を取った。


 結構な人数の治療には村中の医師や癒せる魔剣を持つ人たちが総動員して治療にあたり、何とか全員の命は助かったらしい。


「とは言え、彼らの装備品の何割かは魔剣‥‥‥魔剣士なのは間違いないけど、これだけの人数が大怪我を負うようなことってあるか?」

「鍛え方も確認しましたが、全員実力はあるようで、通常時であればそう負うことはないでしょウ。また、持っていた持ち物などから国籍はおそらくミルガンド帝国‥‥‥軍事面で言えば周辺他国よりも強固な国のもののようだと考えられるので、そうやすやすと負けることも無いはずデス」


 国籍を調べたところ、どうやらあの集団はミルガンド帝国の魔剣士及び騎士たちらしい。


 そんな人たちが何故、田舎とは言えドルマリア王国のこの村の近くにまで来ており、その上大怪我を負っていたのか気になるところだ。


「近くで、かなり凶悪な魔獣でも出たっけな?」

「不明ですネ。他国であっても、強力な魔獣が出た場合、自国で対処仕切れないならすぐさま連絡するようにされているはずですし、どの様な手段であれ情報がすぐに出回るようになっているはずなのデス」


 魔剣士の持つ魔剣で魔獣を屠る事が出来るとはいえ、非常に厄介な魔獣などに関してはすぐに要請などが出てもおかしくはない。


 というか、放置していたらさらに被害が拡大するのが目に見えており、どんな馬鹿な国であっても対処仕切れないならすぐに情報を回してきてもおかしくはないのだ。


「となると、情報が無かったのは何か魔獣とは違う要因なのか、あるいは連絡がどこかで途切れたのか」

「その他色々と考えられますが、回復を待ってから事情を聞いた方が良さそうデス。見た目以上に内臓部分までやられているかたもいましたし、しばらくは警戒するに越したことはないでしょウ」


 何があったのかは不明だが、それでも油断できない状況。


 救助したのは良いのだが、何かこう、もっと大きな厄介事に首を突っ込んだ気がしなくもないのであった…‥‥


「それにしても、帝国の魔剣士で、女性の方もいたようですが‥‥‥ふむ、何処かで聞いたようナ」

「あれ?ゼナって他国の魔剣士事情も色々と知っているのか?」

「メイド魔剣たるもの、きちんと情報収集は怠らないようにしているのデス。いつぞやかの狂人変態外道学者の情報を聞き逃さないようにしているだけでもあるのですけれどネ」


 間違ってもない言い方だろう。というか、そんな呼び名で良いのかなアレ…‥‥もっとこう、外道とは違う禍々しくて非道な言い方が似合いそうなんだけどな。


色々と気になるが、ひとまずいまはゆっくりしてもらいたい。

何か面倒事の気もするが、放置するのも不味そうだしなぁ。

あとゼナ、さりげなくアレに再会したらしっかりと今度は撃退するための道具、作成しまくっていいからもっと追い詰めるようなものにしてくれ。

次回に続く!!



‥‥‥さりげなくフィーもアレ呼ばわりしている外道。次に出てきたら、出オチレベルの速さですぐさまドラゴンになって潰したいところだったりする。

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