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5-6 そして季節が変わる時に、蠢くこともある

「‥‥‥そうか、青薔薇姫の子であるという情報や、ドラゴンの血を引く謎の情報を得られたのは良いが、それと共にドルマリア王国の学園でも、学ぶことは多かったか」

「はっ。学友と学び、帝国とはまた違う授業にも参加し、得られるものは多かったです」



 季節も移り替わり、冬季休暇が差し迫るころ。


 留学生だった面々は各々の国へ帰国している中、2年の方に留学していたカイゼルはミルガンド帝国の王城内にて、目の前に立つ己の父、帝国の皇帝アデューへ報告を行っていた。


 もともと、この留学に関しては青薔薇姫に関する情報を手に入れたがゆえに、直接出向いて確かめるちう密命を持っていたが、その命を果たした後は自由に過ごしてよかった。


 その為、帝国とはまた違う王国の授業内容を学び、カイゼル自身も魔剣士として純粋に研鑽をつみ重ねていたのである。



「それにしても、影の者たちからも情報を聞いたが‥‥‥本当に、青薔薇姫の子がいたとはなぁ。正直言って、彼女に子がなせたのは天が落ちてくると言われるぐらい、衝撃的であったな‥‥‥」

「それほどなのでしょうか?」

「ああ、それほどのことだ。相手がドラゴンならば納得いくが…‥‥それでも、そのドラゴンも相当尻に敷かれていた可能性もあり、物凄く同情できるだろう。本当に、本当によく娶ってくれたな‥‥‥」


 遠い目をしながら、物凄く感情のこもった声でそう告げるアデュー皇帝。


 かつて青薔薇姫を直接目にすることが出来ていたからこそ、子供が出来ているという事は奇跡に等しいとよく理解してるのである。そしてついでに、青薔薇姫の相手になったであろうドラゴンには、男として非常に同情をしていたのであった。


「彼女が動いてくれたおかげで、こちらに皇帝としての地位がやって来たのは、果たして幸運だったのか不運だったのか、そこは分からないがな」


 


‥‥‥青薔薇姫がいた時の皇族が今の国を治めているのではない。


 彼女によって作れなくなったので、遠縁の者として連れてこられ、あれよあれよという間にこの国の皇帝になったのが、このアデュー皇帝。


 本当に帝位を継ぐことになるという事を信じられなくて、戴冠するその時まで本当なのかと言いたくなったという。


「それにしても、その当時青薔薇姫を外へ出してしまったという、愚者…‥‥その人物がつい先日、消息を絶ったというのは本当のことでしょうか?」

「ああ、本当だ」


 何がどうなって作れなくなったというのはさておき、ここに帰国して早々耳に挟んだことに関して知るためにカイゼルは質問し、皇帝は肯定した。


「何しろ、国にとっては生ける災害のような人物を世界へ放った、大罪人だったからな。生涯子を成せなくなったとはいえ、それでもある程度の監視は続けられていたのだが、先日消えたそうだ」


 

 なんでも、市井に放り出されても性根が治る事が無かったと言われる大罪人ではあるが、しぶとさだけは群を抜いていたようで、今まで生き抜いていたようだ。


 それなのに、つい先日いきなり消息を絶ち、行方不明になったようである。


「問題は、どこへ行ったかだ。報告は聞いているが、怪しい学者のような人物が先日王国へ人工魔獣を仕向けたらしいようなことがあったというが、その元凶が手を貸したかもしれぬ」

「‥‥‥目的は、尽きることが無い青薔薇姫への復讐なのでしょうか?」

「さぁな。それは予想しやすい内容だが、そうとはいかぬかもしれない。なぜならばあやつもまた、青薔薇姫に手を出すことにどのような意味があったのか知る人物でもあり、他者の手助けがあったとしてもはたして再び動くのか‥‥‥‥」


 トラウマと言うのは容易く克服できる物でも無いし、本当にその想像通りになっているのかも怪しい所。


 もしかすると予想のつかない斜め上の行動に出ている可能性もあり、気を抜くことができないだろう。


「だが、捜索しても見つからぬのはこの帝国内の範囲でのことだ。ならば、外部から誰が入って来ても目にすることはなく…‥‥これも行えるだろうな」


 そう言いながらアデュー皇帝が懐から取り出したのは、とあることに関する結果を通達する用紙。



「安心安全を確約できぬ状況だが…‥‥逆に言えば、外で突如として青薔薇姫が再び出るようなことを、防げるだろう。内部においそれと戻ってこれぬのであれば、その隙に引き込むのはありかもしれぬ」

「ですが、もしも大罪人が出てきたら‥‥‥」

「その時は、やらかされる前に自ら首を刎ねに行くとしよう。残酷な判断かもしれぬが、皇帝の務めとして、民の安寧を守るために必要なのだ。それに、何も世のなかきれいごとでは進んでおらず…‥‥うっかり、青薔薇姫に制裁を喰らう対象になることは、本当に本当に本当に本当に本っっっっっ当に避けたいからな!!」


 ぐわぁっと叫ぶような言葉に、すべての感情がこもっているのだろう。


 そしてここまで言わせて見せるとは、生前の青薔薇姫はどれだけの人に影響があったのだろうかとカイゼルは思う。


 とにもかくにも、しんしんと寒い季節が移りつつ、時はゆっくりと迫ってくるのであった…‥‥





「ところで皇帝陛下、妹はどこへ?」

「あやつか?魔剣を手に、今日も魔獣狩りへ積極的に出て、留守にしておるぞ。学園での戦闘は退屈だと言って、従者も引き連れずに一人でな」


 はあぁぁぁっと重い溜息をアデュー皇帝は吐いた。


「この件に関しては、ドルマリア王国のザブートン国王と文通して友になるほど深い理解をしつつ、お互いに溜息をどれだけはいたのやら。ああ、父と言う立場なのに、娘へ強く出れないのが悲しい事だ‥‥‥」

「いつの間に、そんな信頼関係が」

「ん?大体青薔薇姫の子だという確認が出来たあたりから、他国の王族などから交流を強化しているのだ。この世代だからこそ通じ合う者もあり、戦争を起こさずとも深く繋がれるのは良いことだ…‥‥」


‥‥‥共通の悩みがあるからこそ、友情も芽生えたのか。


 それとも、大きな脅威に対抗するために組むことによって、少しでも不安をやわらげているのか。


 どういうことなのか様々な想像が可能だが、カイゼルはツッコむことを放棄しておくのであった。


「いっそ青薔薇姫の子が、あの子を娶ってくれたらそれはそれで楽なのだがな!!まとめて見れる分、負担も減らせて、何かあってもすぐに動きやすいからこそ、やりやすいんだがなぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」

「誰か、誰かー!!父上、皇帝陛下がご乱心だぞぉぉ!!」



どこの国の偉い人でも、心労は積み重なる。

だからこそ、友情を深め合う材料にしつつ、安心を求めるのだ。

苦労するものに、これ以上何もなければいいが…‥‥無理かなぁ?

次回に続く!!



‥‥‥本来、皇帝になることは無かったはずなのに、ごたごたのせいで付かされた心労もある。

いっそ、ここで退位を宣言して押し付けるの手かと、密かに考えていたりする。

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