5-3 そしてちゃっかり、被害もあったりするが
‥‥‥案外、人のいない場所というのはどこにでもあるものだ。
けれども、そういう場所だからこそ何か聞かれては不味い話をするのにはうってつけという事で、集まって良からぬ企み事を話し合う場所にする者たちも存在するだろう。
だがしかし、遺伝するものなのかあるいは天然の資質か…‥‥
「ぎゃあああああああああああ!?なんかでっかい化け物がぁぁぁぁぁ!!」
「あほぅ!!魔獣とかじゃなくてドラゴンだこれぇぇ!!」
「どっちにしても死ぬ気しかしないんだがぁ!?」
「逃げても無理だ、全力土下座で命乞いだぁぁぁ!!」
「‥‥‥なーんか、変なものが隠されているなと思って降り立っただけで、何でこの騒ぎに」
「ご主人様の今の姿を見れば、無理はないと思いマス」
「ファファファファ!!ここまで盛大にびびってくれるのをみると面白いねぇ!!」
大笑いを横でしているフンフさんだが、それとは対照的に目の前には今、土下座の軍団が出来上がっていた。
竜化に関しての修行という事で、本日は騒ぎが起こらないように周囲への配慮として人気の少ない場所に飛んできてみたのだが、どうもこんなところに集まっていた人たちがいたらしい。
見ているとどうも違法な商売の最中だったようで、素早くゼナが全員捕縛しているのだが、まさかこんな場所に出くわすとは思わなかった。
「そして思ったよりも、一度完全竜化をすると長い時間もつなぁ‥‥‥ゼナを使った時5分の制限だったけど、今回は30分以上なっているんだけど」
「そりゃそうです。ゼナの力で無理やり引き出した時とは違い、修行で自力で出せるようになったからですね。とは言え、変身するまでにちょっと隙があるのはまだまだ研鑽を積むべきでしょうが、それでも十分できるようになってきたと言えるでしょう。そのついでに、この土下座祭りな光景は喜ばしい事です、ファファファファ」
土下座もできないほど縛られている人たちがいるが、まぁ悪事を働いていた人たちを捕縛出来たのであれば喜ばしい事なのかもしれない。
けれども何故だろう。ここ最近、ゆく先々でこういう光景を何度か見ている気がするのだが…‥‥ドラゴンになんとか自力でなれるようになって数日程経つのに、その間にもう10件ぐらい出くわしていないか?
「可能性としては、ご主人様のお母様である青薔薇姫からの遺伝かもしれませんネ。親の持つ体質が子に引き継がれることがありますが、遭遇体質のようなものが強まっているのでしょウ」
「どんな体質だよそれ!!」
「修行次第では、抑えられるかもしれないね。ある意味親の力が動いているのであれば、その力も制御できれば大丈夫になるかもしれないよ」
つまり、今以上にもっと自分の力を制御できるようにならなければ、この遭遇体質というのはどんどん力を発揮してしまう可能性もあるらしい。
なんという面倒な体質だよ‥‥‥と言うか、何故今さら‥‥‥あれ?今さらかな、これ?
「竜化ついでに、強まったと思われマス」
「データを見ると、魔剣を手にした時から色々と遭遇しているように見えるね。おそらく、魔剣士として目覚めたついでにちょっとずつ目を覚ましていたのかもしれないわねぇ」
‥‥‥嫌な可能性が、出てきてしまったようだ。うん、これは早急にどうにかする必要があるだろう。そうでないと、どんどん面倒事が積み重なってくる未来が目に見えてしまう。
とにもかくにもそんな出来事がありつつ木枯らしが吹き始める頃合いになったころ、ようやくフィーは自身のドラゴンとしての力をだいぶ制御できるようになった。
残念ながら角や翼は既に完全に身についてしまったようで消せなかったが、ドラゴンとしての尻尾や腕などを部分的に顕現させるだけではなく、全身を完全にドラゴンにする完全竜化も可能になった。
けど、まだまだ不完全のようで、成長の途上であるらしい。できればもっと鍛えたいのだが、今後は自主的な修行だけで良いとフンフは告げた。
「でも、一応修行を欠かさないほうが良いわよ。ドラゴンというのは、成長するにつれて自然と力が強まるから、サボったら抑えきれなくなって痛い目を見る可能性があるのよ」
「具体的には?」
「爆散ね」
さらっととんでもない事を言われた。どうやら冗談でもなんでもなく、本当になる可能性があるそうだ。
そんな悲惨な末路を迎えたくないので、修行を欠かさないようにすることを心に刻ませてもらおう。
「後はもうちょっとだけ見たかったけど‥‥‥残念ながら、私の都合もあるので今回はここまでにするわ。こっちのご主人様が待っているのよねぇ」
「それにしては、結構長いこと居ましたガ?」
「このぐらいで良いのよ。あの人、放置プレイだとか言って楽しんでいるし、帰ったら面白そうねファファファ」
本当に大丈夫なのだろうか、フンフの主。
いけない扉を彼女の手によって開かされたのか、あるいは天性の資質なのか…‥‥少なくとも、彼女がここに滞在している間に下僕になった男子たち(一部女子)がいたので、前者の可能性が大きいだろう。
「それじゃ、そろそろ汽車も来るし、駅に戻って帰るわね。修行を欠かさずにねー!」
そう言って、フンフはアイアンメイデンとやらを取り出し、その上に乗ったかと思えばドドドドと言う音共に空高く上り、消えていった。
どうやらあの道具はただのものではなく、ああした移動手段も兼ね備えていたようだ。
「行っちゃったか…‥‥ところで、汽車とか言っていたけど、そう言えば彼女はそもそもどこから来たのだろうか」
「世の中知らないことが良いこともあるのデス。個人的には、ここに滞在されている間フンフ姉様に勝てなかったのが心残りですが‥‥‥まあ、また機会があるでしょうし、その時にリベンジしましょウ」
いや、本当に勝てなかったんだよなぁ、あの人に。ドラゴンの姿になれるようになったので挑んでみたけど、体格差がかなりあるのに指一本で投げられたし、どうなっているのだろうか。
ゼナの血縁者のとんでもなさに驚かされつつも、もう間もなく寒くなってくる季節が到来してくるのであった‥‥‥‥
「まぁ、今年は犯罪も減ったようだし、問題なかったと思いたい」
「遭遇率がかなり高くなってましたからネ。あまりの捕縛量に騎士たちの方からできれば見なかったことにするから、数を減らしておいてくれとまで言われましたものネ」
「…‥‥どんな手段で、と言うのは聞かなかったことにしよう。それにしても、これが体質としてあるのならば、もしかして母さんは結構苦労していたじゃないかなぁ…‥‥」
「そうでしょうかネ?むしろ、嬉々として利用しまくっていた光景しか見えませんネ…‥‥」
修行も大体終わり、だいぶものにはできた。
でもまだまだ、足りないところもあるようだ。
牢屋拡張作業も手伝いつつ、修行を欠かさないようにするのであった。
次回に続く!!
‥‥‥なお、他のシスターズ登場は未定。出したいけど、数が多いんだよなぁ‥‥‥時系列なんかも調整がいるしね。




