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5-1 平穏に終わりを告げられ、怒る者もいるらしく

‥‥‥社会では人はいつもの日常を過ごしているだろう。


 そして裏社会と呼ばれるようなところであっても、お互いの雇い主が敵対していたとしても、そう大きなもめごとにならない限りは平和なことがある。


 だがしかし、そんな平和も長く続くことはなく、荒れてしまう時があるのだが…‥‥



「…‥‥もう一度、その報告を頼む」

「たとえ派閥が違えども、その問題に関しては裏社会に潜むすべてが共有しなければいけないものだからな」

「はっ」


 とある町中にある路地裏の秘密の場所、裏社会に潜む密偵やらスパイとか、そういう類の者たちが集まる場所で、この日一つの緊急情報が飛び込んできた。


 どこかの王族が崩御したとか、貴族家が別の貴族家の企みによって潰されたらしいとか言う噂などもそれなりに緊急事態になることがあるのだが、今回飛び込んできたのはそれらを軽く凌駕するほどのものだった。



「つまり、復活したと?」

「間違いないようです。ほんの一瞬と言えるほどの間ですが」

「青薔薇姫が再びこの世に現れた、と‥‥‥」

「「「「‥‥‥‥ぎ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」


 再度報告された内容が頭に届き、理解したところで出てくるのは阿鼻叫喚の悲鳴。


 その時代を、青薔薇姫に対する恐怖心を身に染みているからこそ出る悲鳴であり、ある者は涙し、ある者は震え、またある者は逃走の算段を企てつつも絶望的であることを理解させられていた。



 この日入って来たのは、失せたとされているはずの青薔薇姫の話。


 子供が見つかったとかその話は以前にもあったのだが、その事よりもはるかに大きすぎる情報であった。



「なんでだ!!確かに死体が失せたとか死亡が確定しなくなってしまったとか言う話はあったけれども!!」

「何故、何故、何故青薔薇姫が復活したという情報が入ったんだ!」

「いやまて!!復活と言うよりもその場に突如として現れたみたいな話だったから、もしかすると密かに潜伏していただけなのかもしれないぞ!!」

「それでも最悪だろ!!まず、出てきている時点で再びあの恐怖と混沌の裏社会にとっての大恐慌時代が幕開けることになっただろうがぁぁぁあ!!」

「誰だ!!この恐怖の世界を生み出してしまったやつはぁぁぁぁ!!」


 阿鼻叫喚、地獄絵図‥‥‥再び出現した青薔薇姫の話に、彼女がいた時代を知る者たちは嘆き悲しむ。


 知らぬ世代のものたちもいるのだが、この場の雰囲気から察するにどれだけ不味い状況なのか察することが出来ており、事態は相当深刻なものだと理解されただろう。


「復活原因としては、どうもどこかの組織の学者的な馬鹿が追い詰めたことにあるらしく、報告では青薔薇姫の子供にしてドラゴンの力を持つ少年の命が脅かされた時に、出現したと…‥‥」

「以前から言われていた、子供が危なくなったら親が出る可能性がある危険性を、その特大の地雷を盛大に踏み抜いた馬鹿がいたのかよぉ!!」

「本気でどこのどいつだぁ!!出現後すぐに失せたと聞くけど、再出現の可能性が非常に高まったじゃねぇかぁぁ!!」

「あ、頼みこんだ元凶に関しては死亡が確認されたようだ。どうも欲望に嵌って利用したらそのまま自滅の道を歩んでしまったようだぞ」

「ああ、なんか目覚めた公爵家がすぐに駆け付けた時には、責任を取らせようが無かった惨状だったというからなぁ‥‥‥」


 色々と情報が出て来たが、それでもついに来てしまった絶望的な状況に、裏社会に身をひそめる者たちは恐怖で体を震わせる。


「また出てくる可能性が無いとは言い切れない。いや、絶対に出る!!」

「知らぬ新世代も続々出ているようだが、急いで徹底して手を出して出現させないように情報を回しまくれぇ!!」

「お互い敵対派閥な暗部だとか間諜だとしても、この情報だけは流通させろ!!そうでないと次はどこの馬鹿が踏み抜くのかわからん!!」

 

 それでも恐怖におびえているだけではだめだと思い、各自はすぐに行動に移し始める。


 せめて、自分達の平穏をわずかでも残すためにも、より一層厳格な対応を進めなければいけないのだと心に刻みつつ、漏らすことが無いようにするのであった…‥‥













‥‥‥裏社会の方では地獄のような日々が待ち受けていた丁度その頃。


 フィーは今、寮の自室にてベッドに寝転がっていた。


「よ、ようやく色々終わった…‥‥事情聴取に、きちんとした治療、その他報告…‥‥滅茶苦茶多かった」

「お疲れ様です、ご主人様。帰還して早々、長く拘束されましたからネ」

「まぁ、報告することが多かったからなぁ…‥‥でもとりあえず、あのメデゥイアルとかいう外道に関しては、確実に捕まえてもらえるように念押ししたから良しとするか」




 先日、巨大な人工魔獣の討伐後に攫われてなんやかんやあったが、どうも俺がいた場所は王国から数か国ほど離れた、位置的にはファルン神聖国と言う国の近くに存在していたところだったようだ。


 数年ほど前から異常が起きて、滅んでしまい生命の息吹すら芽吹かない死んだ大地になっていたと言われている場所だったようで、この時からすでにメデゥイアルとやらの動きがあったと思われる。


 けれども今は、その大地全体にふたたび命が舞い戻り、大森林となっているようだが…‥‥そうなった原因は俺の母さんのようだ。


「でも本当なのか?魔剣の力を解放した後、俺の中から母さんが出て来たって?」

「ええ、嘘偽りありまセン。ご主人様のお母様が出て来たのは予想外でしたが、凄まじい力で撃退されまシタ。…‥‥私が言うのもなんですガ、ご主人様のお母様も相当無茶苦茶な人ですネ」


 問いかけるとゼナはそう答えたが、遠い目になっていた。


 ゼナもかなりぶっ飛んでいるとは思うのだが、そんな彼女にこんな目をさせるって、俺の母さんって本当に何者なんだろうか…‥‥詳しくは聞くつもりはないけど、人外レベルに凄まじそうだ。


 何にしてもその事も入れつつ、今回の件に関しての報告は国の方にもしっかり行くようで、再発防止に取り組むそうだ。


 怪しい組織が出てこようものならば即座に潰しに向かわせるなど色々と動いてくれるらしい。本気を出してやってくれると言うが、何でだろうか、母さんのことを知っているような世代の方々の意気込みが尋常じゃなかったような‥‥‥途中で国が飼っているとかいう暗部の人も出て来たのは驚いたけど、そっちからも本気で探すようで、どれだけ母さんの影響力があるのか考えるのが怖ろしくなってきた。




「ま、そういう国を巻き込みそうなことは上の人達に任せるけど‥‥‥ゼナ、間違いないのか?母さんの死因に関しては、人為的なものだったということは?」

「間違いないデス。消える前に話してもらったのですが、明かに偶然でもなんでもなく、悪意を持った者による行いが原因なようデス。詳細は不明な部分が多いですが、それでも全体的に見るとその方が間違いなく原因であり、今回のご主人様を狙ったメデゥイアルに情報を提供した方でもあるという可能性も非常に大きいでしょウ」


 難しい話はさておき、今はその出て来たやつのことに関しての話に切り替える。


 母さんがいなくなる前にゼナが色々と聞いていたようなのだが、どうやらその死には人為的なものがしっかりとあったようで、直接的に死に至らしめたのが魔獣による攻撃だとしても、黒幕がしっかりと存在していたことになる。


 しかも可能性を考えると今回の騒動につなげた相手かもしれず、一連の事件は全てその黒幕の手によるだろうという予測が付く。



「‥‥‥‥俺が産まれる前に、母さんや父さんが力を失ってまで得た生活を、脅かした奴か…‥‥絶対に、許せないな」


 出生の話なども聞き、俺はこぶしを握り締めてそうつぶやいた、


 そんな奴の存在が無ければ、今頃俺は普通の魔剣士として母さんと父さん、一緒にいた生活を得ていたのだろう。


 けれどもそんな家族のあったかもしれない姿を、奪ったやつに…‥‥非常に強い怒りを覚える。


「ゼナ、当面の目標を俺は決めたぞ。これまでは魔獣を確実に滅び尽くすと言う様な目標も持っていたが、それに加えて敵を討つという事を決めた。復讐には終わりがないかもしれないが…‥‥それでも、俺はやり遂げなければいけないんだ」

「ええ、ご主人様の決めたことであれば、私は従いマス。メイド魔剣たるもの、ご主人様の望みは私の望みであり、確実に叶えるために尽くし続ける‥‥‥‥その道がたとえいばらの道だとしても、私は仕えるでしょウ」


 今まで抽象的だった目標に加わった、新しい目標。


 目標と言うか、単なる復讐の思いかもしれないが、それは成しとげなければいけないだろう。



 あったはずの家族の幸せ、力を失ってまで手に入れた両親が望んだ生活を、奪ったやつを俺は許せない。


 復讐心をたぎらせつつ、その怒りに飲み込まれ過ぎることはないように俺はしっかりと心に刻むのであった…‥‥



「‥‥‥それと話に聞いたけど、俺の竜化もコントロールが可能かもしれないんだろ?ゼナの力を使わずに、自由自在にドラゴンになれるのであれば、それも確実にしたい。力がどれだけあっても、足りないかもしれないし、できるところから着実にやりたい」

「その事に関しては、まだ情報不足な点も多いですガ…‥‥それでも、ご主人様が竜化をできるように私も応援させていただきマス。そのために、少々知り合いも呼んだほうが良さそうですね‥‥‥」

「え?竜化に関しての手伝いが出来るような知り合いがいるのか?」

「まぁ、いるというか、私のお母様‥‥‥おばあ様?ひいひい…‥‥いえ、何でもないデス。とりあえず遠い遠い血族の知り合いと連絡が取れないか、ちょっと姉に相談してきマス」

「‥‥‥姉?」


 魔剣に姉とかそういうのがあるのだろうか。と言うか、そもそも魔剣の母とか祖母とかって何なのか。


 誰が黒幕なのかと言う謎に、新しい謎を投げ込まれるのであった‥‥‥‥気にしたら負けなのかもしれない。





復讐は何も生まないかもしれない。

でもこれは、かたき討ち…‥いや、言葉を言い換えても何とも言えない。

けれども、目標が出来たのであればそれを成し遂げるだけだ。

次回に続く!!




‥‥‥知り合い、それなりにいるんだよなぁ。登場済みだったり完結済みだったり、はたまた予定していたけど没だった作品の人だったり、何かと多い。

でもそういや、彼女から見たらあの人の立ち位置って何だろう‥‥‥?

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