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4-9 狂気は常に、隣りあわせ

 目が覚めたら、知らない天井だった。

 

「…‥‥天、丼?」


ギョロギョロギョロギョロ!!


 いや、目玉がびっしりと埋め尽くしており、声を出したら一斉にこちらを向いた。


 あ、うん。夢か。こんな不気味すぎる天井なんて、普通あるわけがない。

 

 そうだ、今はまだ頭がぼうっとしていてよく分からないし、このまま寝ればちゃんと起床して…‥‥


「残念ながらご主人様、夢ではないデス」

「そっかー…‥‥なんて悲しい現実を叩きつけて来るんだよゼナ。ん?あれ、どこだ?」


 目をつむってこのまま現実に起床したかったが、どうやらここが現実そのもののようだ。


 だが、今聞こえて来た彼女の声はどこから‥‥‥って、


「…‥‥右腕、滅茶苦茶包帯が巻かれているけど、もしかしてこの中か?」

「そうデス。まずこの違和感で気が付いて欲しかったデス」


 ぶっとく右腕に巻かれた包帯の中で、そう答えるゼナ。おそらく今、ソードモードの形態で収まっているのだろうけれども、なぜこのようなものが巻かれているのかが分からない。

 

 いや、そもそも何でこの状況になって…‥‥



「おやおやぁ?目覚めたようだねぇ」

「っ!!」


 ガチャっと扉が開く音がしたかと思えば、天井の目玉の一つが左右にぱっかりと目を見開き、瞳孔の部分が空洞になったかと思えば縄梯子がたらされて誰かが降りてきた。


 降りてきたのは、白衣を着た人物。研究部長を一瞬連想させたが、あれとはまた違う容姿。


 頭の方に袋を被っており、素顔が全く見えないが‥‥‥この声は聞き覚えがある。


「お前は、あの魔獣討伐後に襲ってきた奴!!」


 がばっと体を起こし、直ぐに戦闘態勢に移ろうとしたが、そこで俺は体の異変に気が付いた。


「あ、あれ‥‥‥力が」


 ベッドから飛び出そうとした途端、体が異常に重くなり、そのまま枕に頭が戻る。


 なんというか、一瞬で力が抜けまくって、まともに動けない。


「おー、ちょっとだけびっくりしたけれども、やっぱり魔剣士だねぇ。しっかりと魔剣士対策用の拘束の仕掛けを施しておいてよかったよぉ。あ、でもついでに常人なら致死量レベルの猛毒も打っておいたけれども、ドラゴンの血のおかげが抵抗して、ちょうどいい感じに弱ってくれているおかげもあるかなぁ?」

「ど、毒…?」

「だってこうでもしないと、君絶対に襲う気満々だったよねぇ?そんな殺意たっぷりな相手に、何も策を施さずに出てくる大馬鹿野郎はいないでしょ」


 それもそうである。相手は俺の行動を読んでいたからこそ、事前に動けないようにしたようだが、逆の立場なら確かに同じことをしたかもしれない。


 でもさらっといま、致死量レベルの猛毒とかとんでもない発言をされたような…‥


「さてさてぇ、せっかく大人しくなってくれたようだし、説明してあげようかねぇ。まずは簡単な自己紹介として、名乗っておくとしようかなぁ。我が名はマッドォゥでデンジャラァスゥな探求心溢れる研究者、メデゥイアルですぅ!」


 袋を被ったまま素顔を見せておらずとも、ニヤリと笑みを浮かべたような声でその人物は名乗った。





 名前が長いメデゥイアルの話曰く、どうやら俺たちが相手をしていた魔獣ダンゴールを作製し、俺たちの‥‥‥正確には俺の行動を見て、どのように動くのか観察していたらしい。


 ゼナの探知圏内にいながらも察知されず、あの場で瞬時に出てきたり、俺を拘束する道具などを作ったのもメデゥイアル自身の手によるもののようで、かなり念入りに準備をしていたようだ。


「そもそもがねぇ、君に対して仕掛けようとしたのは本当はとある貴族家なんだよねぇ。抹殺もしくは公爵家の孫と言うのを名乗れないほどにしてしまぇと言う話だったので、乗ってあげたんだよぉ」

「…‥‥そんな話なのに、こうやって動けなくしている状態にとどめているのは?」

「いや、流石にやるのは簡単かもしれないけど、命は一つきりだからねぇ。ドラゴンに、あの青薔薇姫の息子と言う面白そうなゲフンゲフン、色々と探れそうな対象を簡単に亡くしてしまうのはひっじょぉぉに惜しいんだよねぇ。だから、あえて受けつつ拘束する程度にしてあげたんだよねぇ」


 なお、その依頼してきた貴族家の詳細は明かす気はないようだが、ここで話している時点で破滅を迎えているらしい。


 いざという時の替え玉にという計画もあったらしいが、せっかくなのでその愚かさを利用してしまったほうが良いと考えて、自ら手を掛けたそうだ。


「手を掛けた?」

「うん。君の相手した、仮称ダンゴールと言う名前はともかく、あの魔獣を作る際に材料になってもらいましたぁ!いやぁ、警戒していた感じはしたけれども、やってみたらけっこうあっけなく材料になってくれたんだよねぇ。いや、材料と言うか降ろす(・・・)ための媒体にしただけなんだけどねぇ」

「…‥‥やはり、そうでしたか。ただの人工的な魔獣にしては、ちょっとおかしいと持ったのデス」


 っと、そこでゼナが口を開いた。


 なお、今彼女を俺の腕ごと包んでいる包帯は、犯罪を起こした魔剣士を拘束する際に魔剣を使用不可能にする特殊な繊維で出来ているらしく、身動きすらできない状態。それでも話せているのは、彼女自身の意識が封じられていないのがあるらしい。


「ほぅ?流石、魔剣。何を対象にしたのか、わかったのですねぇ」

「どういうことだ、ゼナ?」

「この人、魔獣の根源を狙って、利用したようデス」

「せいか~い!!」


‥‥‥根源?


 魔獣の発生要因に関しては、今もなお謎が多くてはっきりしたものはなく、一体どのようにして生まれているのかは不明である。


 それなのに、根源という言葉があるのはどういうことなのだろうか?


「いやー、調べるにあたって結構大変だったんだよねぇ。そもそもこの天才的な頭脳を用いても、そんなものがあるとは流石に予想が付かずに、当てもなかった。けれどもある日、その存在を教えてくれた人がいたおかげで、辿り着いたんだよぉこの世界の魔獣の正体に関してぇ!!あ、でもこれ知っても結局魔獣に関してどうこうできるということは少ないんで、あまり公表できないけどねぇ」


 メデゥイアルいわく、探究者と名乗っている今の身だが、元々は一介の学者に過ぎなかったらしい。


 研究していたのは魔獣に関してだがあまりいいデータがなく、いまいちパッとしない日々を過ごしていたそうだ。



 けれどもそんなある日、メデゥイアルのもとにある人物が訪れ、頭の中に知識を注いでくれた。そして、その知識が活性化して、探究者としての道に走ったそうだ。


「知識を得れば得る程、その先を知りたくなるのは当然のこと!そのために得たい知識があればどこにでも奔走し、裏社会の隅から隅まで、何処かの怪しい組織で研究者としてアルバイトしたりして、色々と伝手を得たぁ!!そして今、ここにこーんな研究所を構えるようになったのだぁ!」

「その知識を与えた人は誰ですカ?」

「わかんない。だって、なんかぼやっとして覚えていなんだよねぇ」

「‥‥‥認識障害ですカ。これまた厄介な輩がいたようですネ」


 首を振って答えたメデゥイアルに対し、舌打ちをするかのような声を出すゼナ。どういうことなのかは不明だが、何となく非常に面倒で厄介なことになっているという事だけは理解できた。



「ま、軽い話はここまでにして、本題に切り替えよっかぁ。何せ、あまり時間もないしねぇ」

「時間だと?」

「うん。ばっとあらわれて逃げた道具、自作だったけどあの材料に関しては購入品だからねぇ。うかうかしていたら、怖い怖い借金取りが追いかけてくるのさぁ。なので、ここが突き止められる前に、ほいっと☆」


 ごそごそと白衣を探るようにして取り出したのは‥‥‥‥


「ちょっと待って、何そのでっかい注射器。しかも中身の液体が怖ろしく不気味な色合いなんだけど…‥まさか」

「うん、君にぶっ刺すために特別に調合した、物凄く怪しい薬品なのさぁ」

「そのまますぎるんだが!?」


 ゼナが大量の暗器をメイド服の中に隠しているように、メデゥイアルのほうも白衣に色々と仕掛けがあるようで、どう考えても大きすぎる注射器を取り出してきた。


 サイズがどう見ても人に向けて打つような代物ではない。


「ドラゴンの血を引いているのは分かっているからねぇ、ここでちょこーっとその姿になってもらいたいなぁと思って、作ったのぉ。ああ、安心してほしい。常人相手なら一発で爆発四散する代物だと分かっているけれども、君なら大丈夫だと信じているからねぇ!」

「根拠がなさすぎる!!そんなもの打たれてたまるかぁぁぁぁ!!」


 そもそもあのドラゴンの姿になったのは、ゼナのリスクによって「人間」としての部分が欠落したからこそ、ドラゴンとしての因子が強く作用してなった。


 それをこの人は人為的に引き起こす気らしいが、どう見たって怪しすぎるうえにどうなるのかわからないものを注射しないでほしい。


 そもそもこのサイズの注射器な時点で、常人じゃなくても逃げたくなるぞ!!



「ぐっ、うぉぉぉぉりゃあぁ!!」


 猛毒などによって力が入らないはずだったが、火事場の馬鹿力と言うべきか根性でベッドから飛び上がった。


「おおっと!?この状態で動けたのぉ!?」

「動けるけど、叩けるかボケェ!!逃げさせてもらうぞ!!」


 瞬時に動いて電撃を喰らった覚えがあるが、二度は受けない。


 と言うか、注射器のサイズのせいで、両手で持っている様子なので、あの義手による攻撃はできないし、隙も大きい。


 そこで素早くジャンプして飛び越え、縄梯子に足をかける前に脚力で蹴り上げ、上に逃げる。



「って、どこだよここ!!どうやって逃げればいいんだ!!」

「ひとまず、適当に逃げたほうが良さそうデス」


 それももっともだと思い、目玉扉の上にあった部屋の適当な扉に手をかけ、直ぐに駆けだすのであった‥‥‥




「あら~。あっという間に逃げられたねぇ。瞬間移動用の道具は今、手持ちに無いから追うのは難しいねぇ」


 ケタケタと笑うように、フィーが去った後を見ながらメデゥイアルはつぶやく。


「でも、無理だねぇ。魔剣はあの布で拘束されて、簡単には取れないしぃ、研究所内には大量のガードマシンを置いてあるし…‥‥うん、追いかけつつ、どの程度行けるのか調べさせてもらおぅ!中々良い感じのデータを取らせてくれる結果となりそうだし、良しとしましょうかねぇ!」


…‥‥逃げたとしても、この研究所内からは逃れることはできない。


 一応、念のために色々と細工を仕掛けているが、魔剣を封じた状態かつ猛毒に侵されている今のフィーであれば、あまり長くは持たないだろう。


 そう考え、メデゥイアルはゆっくりと追いかけ始めるのであった…‥‥


猛毒状態、魔剣封印状態、その他色々。

そんな状態になりつつも、全力で逃げるフィー。

そもそもここはどこなのか、その情報すら乏しいのだが‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥もうちょっと、狂気に満ちた感じを出したいけど、実力不足だった。

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