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6-5 違う人も、頑張ってはいるらしいが

‥‥‥ドルマリア王国内の、魔剣士を育成するデュランダル学園。


 そこに今年度通い始めた生徒たちは、半年も過ぎた今、学園内で魔剣を扱うことにずいぶん慣れてきていた。


 とは言え、魔剣を扱えるようになってきたからと言って、油断してはいけないだろう。


 そう、例えば勝手に自分達だけでも魔獣を退治できると意気込んで、こっそりと出て行って魔獣の群れを探し、突撃しようとする無茶ぶりをやらかすようなやからは…‥‥



「ぎゃああああああああ!?駄目だ、数が多すぎるんだが!?」

「ひぇぇぇ!!魔剣吹っ飛ばされたぁ!!助けてくれぇ!!」

「ぐえぇぇl!?魔剣があれば簡単に葬れるんじゃあないのかよーーー!?」


‥‥‥ここにいる生徒たちは、少々魔剣を扱えることに対して調子に乗り過ぎてしまい、勝手に遣らかしてしまった者たちである。


 増長しないような教育システムがあるはずだが、それでもすべてが抑えられるというわけでもなく、中にはこうやって動いてしまう者たちも出てきてしまうこともあるのだ。


 


 そして今、彼らが発見し、挑んでしまったのは‥‥固い身体を持つ、大型の蟻の魔獣『ネバリアント』。


 数多くの集団戦法を得意としており、硬い身体での防御力だけではなく、非常に強い粘り気を持った体液を持っているので、うかつに切り飛ばして浴びてしまえば、魔剣が動かせなくなったりと、戦い方によっては最悪なことになる魔獣なのだ。


 彼らは見事に、悪手ばかりを取ってしまい‥‥本来であれば魔獣を葬る事が出来るはずの魔剣を生かすことができなくなり、絶対絶命の状況に陥っていた。



「くそぉ!!このまま終わっちまうのかよぉ!!」

「だめだ!!生きとし生けるもの全てを葬る魔獣だから、逃がしてくれそうにもない!!」

【【【ギチギチギッチャァァァァ!!】】】


 顎を鳴らし、追い詰めている獲物たちへめがけて咆哮をあげるネバリアントたち。


 群れの何匹かをやられたことにも怒りを抱いており、魔獣としての性質上目の前の生きているやつらを葬り去ることに力を注ぎ、全力でこの場で狩り切る気だった。


 彼らに対して有効だったはずの魔剣も、粘り気ある体液によって地面に落とされて縫い付けられ、奪い返すこともできない。


 まだ何とかやって来るアントたちを切り飛ばせる魔剣をもっている魔剣士もいるものの、戦闘経験が少なく、体力的にもこのままでは確実に葬り去られてしまうのは時間の問題だった。


「ああもぅ!!先生とか呼べないのか!!」

「呼べねぇよ!まだ見つかってないところに出くわし、連絡入れる前に狩りつくそうぜってことで動いちまったからな!!」


 確かに、魔剣士の魔剣やその腕前次第では、誰かを呼ぶ前に全滅させることも可能だっただろう。


 けれども、彼らはまだ学生の身。魔剣士としては未熟であり、学生としての身の上を考慮せずに動いてしまい、全てが最悪の方に向かってしまった。


【ギチャァァァァァァァ!!】


 そんな未熟な獲物も関係ないとばかりに、一番巨大なネバリアントが群れから飛び出し、彼らに向かって完全に命を狩り取ろうと動く。


 大あごを開け、迫りくるアント。


 その姿にもはやこれまでかと、やらかしたことへの後悔をして、彼らがこの世からの旅立ちを覚悟した…その時だった。



ドオォォォォォォォォォォォォウ!!

【【【ギユアゲェェェェェェェェェェェェェ!?】】】

「「「…へ?」」」


 突然、空より強烈な炎が舞い降り、迫って来ていたアントたちを一気に焼き払った。


 何事かと思い、上空を見れば…‥‥そこには、神話などに出るような巨大な姿が飛んできていた。


「あれは…まさか、ドラゴン!?」

「うっそだろおい!!そんなものが出るわけ…あ、いや、いたぞ!?」

「確か、帝国の方に留学していたという、上の学年の先輩で‥‥本物の、ドラゴンの魔剣士が!!」


 何が起きたのか理解しつつ、助かったというべき状況にその生徒たちは喜ぶ。


 だがしかし、魔獣というのは魔剣でなければ滅ぼすことはできず、今のドラゴンのブレスによって多少は焼き払われても、すぐに再生をし始める。


 でも、そんな再生する間にもそのドラゴンは一気に姿を圧縮したかと思えば、人に近い姿に切り替わり、そのまま加速して剣を纏った。



「『人竜変化』からの、『ソードモード』!!」

「了解デス!!」


 右手が剣に変わり、火を吐いたかと思えば魔剣に纏わせて刀身が燃え上がる。


 ドラゴンのブレスによって強化された力はそのままに、素早い動きであっという間に全ての魔獣を切り倒し‥‥‥数十秒もしないうちに、大量にいたアントたちは全て、葬り去られていたのであった‥‥‥



「せ、先輩!!助かりました!!」


「ん?先輩って…ああ、なるほど、学園の後輩か」

「そうですそうです!!」

「本当に助かりました!!」

「魔獣討伐は魔剣士としてやることだが…礼を言われると、ちょっとむず痒いな。だが、そんな事よりも一つ聞きたいが、お前たちはここで何をしていた?」

「え?そ、それは‥あ」


‥‥‥一難去って、また一難。


 今度は魔獣よりも恐ろしいドラゴンな先輩によって、彼らは窮地に立たされるのであった。




「…帰国して早々、魔獣の群れが見えたかと思えば何をやっているのだろうかこの後輩たち」

「ご主人様、一応先輩の立場ですので説教するのは良いのですガ、こういうのは教師陣に任せた方が良いですヨ」

「それもそうか」


 一応、こんな身だけれども、フィー自身も学生の身であることには変わりないので、説教するには少々立場的に意味がない。


 こういう説教を行うのであれば、その教員たちの方だが‥‥抜け出していたことに気が付かなかったのか?いや、流石にそれはないとは思うのだが…



説教をするなら、上の人。

大人たちに任せた方が、良いだろう。

忘れがちだが、まだまだ学生の身なので…

次回に続く!!



‥‥‥やらかしたぁぁぁ!!と、書いた後に気が付く。投稿予定が狂った。

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