5-67 苦労人は、さらに苦労をつみ重ね
「なるほど‥‥‥かなり多くの不穏な情報があるとはな」
ドルマリア王国の王城内、国王ザブートンは報告書に目を通しながら、そうつぶやいた。
先日、占星国と医療大国の戦争があり、医療大国側にこの国や他の国々は付き終戦を迎えていた。
何しろ医療大国の提供する医薬品は品質が高く、信頼性のおける品々が多かったので潰されると非常に困ることになるのが目に見えていたのである。
各国の上層部は日ごろ何かと胃を痛めたりなどの苦労があるので、医薬品の正常供給は必要不可欠であり急いで応援し医療大国を支援したのだが…‥‥終戦を迎える中、その情報が回って来た。
「まさか、最初から出来レースのようなものが仕組まれていたとはな。占星国側が先に手を出したとはいえ、内部で協力をして企む者どもがいたとは読み切れなかった」
破神布とかいう組織が両国に手を回し、仕組んだとされる今回の戦争。
その情報が出てきてすぐに各国が素早く調査を行ったところ、様々な証拠が浮かび上がったのである。
そのおかげで医療大国側に混ざっていた厄介者を発見・処分することが出来たのだが‥‥‥肝心の組織の者どもに関しては、逃げられてしまった。
籍を既に抜かれているとはいえ元王族に手を出し、なおかつ今回は皇族のものにも手を出してきた時点で、十分に重罪の案件。それなのにこうもすり抜けられるとは、親としても国としての立場でも腹立たしいことこの上ない。
しかし、現状進展は望めないので警戒を続ける事しかできないだろう。
「何にしても、組織のものは掴めなかったとはいえ戦火の火種になった輩に関しては両国から確認し捕縛出来たのは良かったというしかないか。まったく、なぜこうも面倒な輩が自ら湧いて出てくるのやら」
これも青薔薇姫という超強力すぎる犯罪抑止力が現状不明なためか、それとも抑えきれぬほどの最悪の人の欲望なのか、それはわからない。
まぁ、どちらにしても厄介事が湧き出なくなる日は遠いのには変わらないのだが、それでも何時か必ずどうにかしないといけない事なのは確かである。
「そしてついでに朗報として‥‥‥我が娘の記憶も戻ったか」
第3王女ではあったが、今は王籍を抜いた娘ペルシャ。
組織の手によって行方不明や記憶喪失、挙句の果てには気が付かれぬうちに都合の良い駒などに利用されていたようだが、それでも記憶が無事に戻ってくれたのは良いことだ。
報告によると記憶喪失中のこともしっかり覚えていたようで、しばらくその時のことを思い出して自傷していたようだが、どうにかこうにか落ち着いてくれたらしい。
籍を抜かれたとしても、大事な娘であることには変わらず、行方不明になっていたことの時を考えればこの報告は非常に良いものである。
だが、王としてというか父としての立場で言うのであれば、多少複雑なところもあるだろう。
「…‥というか、ナース服を着ていたとか、喪失中の普段の娘とは違う言動とかその行動など、より詳しい情報が欲しいのだが‥‥‥」
ツッコミどころがあり過ぎるというか、親として見過ごせない部分が非常に多い。
そのため、後でしっかりより詳細な報告を出すようにと王命を出すのであった‥‥‥‥
…‥‥フィーが国王から王命を受け、正直な説明をすると問題がありそうな内容に関して冷や汗をだらだらと滝のように流して悩んでいたその頃。
とある場所にある隠れ家では、事後処理が行われていた。
「とりあえず、無駄に情報をもっていた輩はこれで全部か」
「ああ。あとは我々に関してまったく問題の無い情報を持っていた輩は捕縛されているが、そちらは放棄で良いだろう。問題だったのはここにいた者たちだからな」
凄惨な光景になっているのだが、実はまだ命は失われてはいない。
甘言に見事に乗った捨て駒たちで戦争が終結した今は利用価値がほぼないとはいえ、命に関して言えばまだギリギリ利用できるからだ。
「惜しむらくは、狂竜戦士の失敗か…‥‥やはり、戦闘時に出るホルモンバランスなどに影響される部分もあり、制御はまだできぬか。予備のサンプルがあるとはいえ、当分めどがつくまでは凍結処理だな」
「惜しいが、それでも必須なのかと言われるとそうでもない。使える兵がいたら楽だが、制御できぬ化け物であれば放棄した方が良い」
「それに、他の方法もあるからな…‥‥改造や合成を施した化け物よりも、悪魔や魔人の類を贄を利用して呼びだしたほうが、はるかに楽だ」
「とは言え、翡翠や黒鉄、銀赤の悪魔などを呼びだし利用を目論み、滅亡した例も過去にあるようだからな‥‥‥出すならそれはそれで、慎重に検討せねばなるまい」
「しばらくはそうなるか‥‥‥」
面倒ごとを手っ取り早く解決できそうな手段ではあるが、きちんと物事にはリスクも生じるということを理解している。
ならなぜ、あの者たちにリスクしかないような化け物を貸し与えたかに関しては…‥‥正直、暴走する可能性が大きいのであれば、別に失っても問題ないような者たちであったからという理由があるからだ。
とにもかくにも、当分の間は身を潜めた方が良いと判断し、彼らはその場から姿を消す。
あとに残されたのは、地に伏せても動くこともできず、ただじわりじわりと死が迫るのみの捨て駒たちだけであった…‥‥
「…‥‥これ、変な回答になったら、不味いかな」
「不味いでしょうネ」
「だよなぁ‥‥‥」
‥‥‥正直に説明すると、色々と困りそうな厄介事に滝のような冷や汗をかかされつつ、次回に続く!!
なんかこう、また新しい物語も書いて見たくあるが、現状かけない悲しみ。




