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11.ヤンデレ姉妹

すいません、投稿が遅れました……。

最近、小説を書いていなかったので表現力が衰えています(と言っても、前からあったわけではないけど……)

しばらく変な書き方になるとは思いますが、そこらへんは気にせずに読んでいただけると助かります。




「てんらいしの、てんらいしの、てんらいしの、てんらいしの………」


烏の濡れ羽色をした美しい髪を持った少女は、カチカチとマウスを動かしながら、パソコンのディスプレイに映された文字を懸命に見続ける。

恍惚とした表情で人の素性を探るその姿は、凶悪なストーカーのように見えてしまうが、部屋には彼女しかいないため、特に誰も注意する者はいない。


「あっ……あったぁ♪」


不意に、彼女の手が止まる。


画面には、天雷紫乃という名前が書かれた少年の姿が映し出されており、所属高校、住所、電話番号などの彼の個人情報が添付されていた。


少女は、その情報を視界に収めると、いそいそとメモ帳に書き記していく。


「国立軍兵養成所、2年3組15番、天雷紫乃。能力名は『磁力マグネティックフォース』、凡庸型付与系統。血液型はBで、住所はーーー」


サラサラとメモ帳が一ページ、二ページとどんどん埋め尽くされていく。

これが愛のなせる技なのか?


……いや、微妙に犯罪じみていると言わざるをえないだろう。

この場にいる彼女は否定するかもしれないが……少なくとも紫乃自身がこの姿を見れば、ドン引きすること間違いなしの状況である。


そうして、数十分ほど画面とにらめっこしていると、不意にかちゃり、とドアが開く音がした。


「………ただいま」


「あっ、お帰りなさい、お姉ちゃんっ」


どうやら少女の姉が帰ってきたらしい。

少女はメモ帳を内ポケットに仕舞うと、瞬時にパソコンに電源を切った。

……一応、恥ずかしいことをしていた自覚があるらしい。


少女は取り繕った笑みを浮かべて、姉の対応に向かう。


「………ん?何………してた、の?」


「えっ、えっと……ちょっと気になる人ができちゃって……その人の個人情報が載ってるサイトにハッキングしてたのっ」


え?暴露しちゃうの?

どうやら少女自身にその行為がおかしいという自覚がないようだ。

これには流石に姉もドン引きしてーーー


「そう………前準備をしておく、のは……良いこと」


ーーーいなかった。


それどころか少女の頭をよくやった、と言わんばかりに丁寧にナデナデし始めた。


「えへへっ、ありがとっ」


「ん………ところで、なんで隠した、の?」


少女の犯罪行為には気にも留めなかった様子ではあるものの、自分に対しての隠蔽行為に関しては気になった様子のようで……。

姉は、スッと目を細めながら聞いてきた。


「えっと、その……私が、気になっている人がね……ちょっとかっこいい系の人でね……それで、お姉ちゃんに見せて万が一にでもお姉ちゃんがその人のこと好きになったら困るなー、って思ってね……その……」


特に悪気はないのか、ところどころ口籠りながらもしっかりと目を合わせて姉を見遣る。

姉自身も少女の気持ちに共感したのか、少し目を瞑った後、手を頭から離した。


「ん………わかった。…………でも、ちゃんとその人の資質を、見極めてから付き合わないとーーー」



「ーーー母に、潰されるよ?」


瞬間、半開きだった瞳孔が完全に開いて少女に恐怖を与える。

背筋がゾクッとするような感覚を覚えながらも、少女は懸命に首を縦にふる。


「………そう。わかってる、なら………良いかな」


姉はそう言うと、自分の部屋へと去っていった。

少女は先ほどの恐怖がまだ残っていたこともあり、へたり込むようにして床に腰を下ろしたが、紫乃との交際を間接的に認められたことを感じて、満面の笑みを浮かべていた。






ヤバめの少女(そう言えば、名前聞いてないな……)が居る場を立ち去った後、俺は急いで家へと向かった。

というのも、もともと俺はユリに白菜を渡すためだけに外出していたのだ。

それなのに、チャラ男二人(故人)に絡まれたり、黒髪和装美人(猛毒入り)に絡まれたりとしたお陰で、随分と時間がかかってしまっていた。

本来ならばこの時点でユリからバカみたいにメールの通知が来ていてもおかしくはないのだが……。

生憎とそれはチャラ男二人によって破壊されてしまっている。

連絡手段も断ち切られた俺は、正しく絶体絶命の状態にあると言っても良い。


女性物の下着が家にあっただけで怒り狂ったのだ(いや、まあ女性物の下着があるって結構なインパクトではあるけどな)、遅刻プラスの連絡無視ともなればさぞかしご立腹であろう。

と、そう考えての俺の焦燥は意外にも杞憂に終わった。


というのも、そのユリ自身が家に居なかったのである。


最初は俺を嵌めるための罠か?とも勘ぐったが、よく見たらテーブルの上に置手紙がされており、そこには『親に呼び出されたので帰ります』という達筆な字で書かれていたのである。

そして、そこには既にほとんど出来上がっているカレーが一品。

静かに添えられていた。


ここまで見て、どうやら俺は助かったらしい、ということが分かった。


少し、いやかなり波乱万丈な1日ではあったものの、自分が今生きていることに感謝しながら飯を食った。


ちなみに、ユリ特製のカレーライスはめちゃくちゃ美味かったです……。





すいません……次話は3月19日に変更になります。

他力本願の方は今月中投稿予定。

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