ジーニス
「俺は天才だああああああ!!!!」
里の裏にある山から少年の声が聞こえてきた。
「うおおおお!!なんだこの体が軽い感覚は!?」
16歳の誕生日を今日に迎える。
ジーニスはスキルに目覚めた。
ジーニス。正義感に溢れ、そして自分を
天才だと疑わない自信、あるいは過信に
満ち溢れた少年である。髪は白で
目は赤色。顔立ちは16歳にしては
比較的幼く、中性的である。
今日、誕生日を迎えたジーニスは
スキルの確認のために、
里の裏山まで両親と来ていた。
この世界の人類は16歳でスキルに目覚める。
そしてそれを節目として16歳から成人となる。
なぜかスキルを持たぬ両親の元に生まれた
ジーニスは、スキルが目覚めたようだ。
父親であるジーアベルがジーニスの様子を
確認し、安堵の表情を浮かべる。
「ジーニスにスキルが目覚めるとはなぁ。
いやぁ〜よかったよかった!!」
母のクリナもジーニスのスキルを垣間見る。
「うわぁ〜!ジーニスの足すごく速いわ〜!
ね、あなたもジーニスみたいに
速く走れたりできるのかしら?」
「無理に決まってるだろ!?
あれは今日、目覚めたスキルのおかげだよ」
「あら、そう?あなたの足も、
昔は速かった気がしたけれど…」
「恋は盲目というし、そう見えただけ
なんじゃないのか?このこのっ」
「いや〜んっ!あなたは手も早いんだからっ」
「何いちゃいちゃしてんだよ…父さん母さん」
いつのまにか二人の前にジーニスは来ていた。
「おお!ジーニス。どうだった?スキルの力は」
ジーニスが嬉しそうに顔を綻ばせる。
「もう…最高だよ!!速く動けるし、
俺は天才だ〜っ!!って叫んだでしょ?
あれを言った瞬間にもっと速くなったんだ!
昔から言ってる通り、俺は天才だな!」
ふふんとジーニスは満足げに顔を綻ばせながら、
両親にあれこれ説明している。
「いやぁしかし…これでジーニスも
16歳になるのかぁ。早いもんだなぁ」
「そうね。今日は特別なジーニスの誕生日。
パァ〜っと盛大に祝ってあげなきゃね!!」
「じゃあ、ノイタークに戻って仕事を
終わらせよう!その後は誕生日の祝福だ!!
工房へ行くぞジーニス!!」
「おっけー!父さん!」
この親子の仕事は、農具や、野生の動物を
追い払うための武器などを作る鍛冶屋だ。
「よーし!始めるぞ、ジーニス!」
「おう!」
鉄を二人掛かりで叩き、伸ばし、折り曲げ、
再度また叩き上げていく…繰り返す事幾ばくか、
薄く鋭い独特な曲剣へと形を変えていく。
剣を叩く音を聞いてノイタークの里の長が
工房へと顔を覗かせた。
「いよぉ〜す。ジーニス、ジーアベル。
今日も張り切ってるねぇ。」
里長の名はスーマ。深い色の黒髪で
髪には紫のメッシュが入っている。
幼く、可愛らしい幼女だが…
なんと里の最年長でもある。
乳房だけは里の者の中で一番にデカイと
言われている。ここだけは長い年月を生きた経験を
醸し出す。いわゆる合法ロリというものだ。
「こんにちは、里長」
「はい、スーマさん!今日も可愛らしいですね!」
「う〜…うるさいなぁジーニス。
私はこれでも、里の中で最も歳を
食っていると言っているでしょうが」
「ハハッ!!決してそうは見えませんけどね。
あまりに可愛らしくて興奮しそうです!」
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ジーニスはしばらく気を失っていた。
「ハッ!!俺…なんで…!?」
ジーアベルが蔑むような顔で言う
「里長に殴られて気絶してたんだよ。
ったく…仕事もまだあったというのに…」
「だって!あんな可愛い幼女がだよ!?
あんな口調してたらさぁ!?しかも幼女のくせに
おっぱいの大きさは誰にも負けてないんだよ!?」
「里長も大人だと言うのになぁ…勝手に思うのは
自由だが、本人に直接言う奴がどこにいるんだよ…」
「えぇ…」
「お前が気絶してる間に仕事終わらせておいたから、
早く家に帰って誕生日会を開こう!」
「そんなに気絶してたの!?」
工房の外を見るともう夕方であった。
「スーマさんの可愛らしさも恐ろしいけど、
その強さも侮れない…次から隠れて興奮しなきゃ」
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ブルッ…
「な、なんだ?なぜか不快な気分だ…」
スーマはなぜか背中に不快感が走った。