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尚、士気については旺盛であります!  作者: 固太 陽
第一章
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第69話 変 化 ~1年だけでも結構変わる~

庄野を発見したリーは馬車に乗り、ソーラへと向かった。



馬車の中では庄野が離れていた1年間で何があったのかをリーが語ってくれた。





サリアンだけでなく、ソーラやガラも同時に魔王軍の侵攻を受けていたこと。両国ともその侵攻を阻止はしたが、ガラ王は大きな傷を負い、もう戦うことは出来なくなっていた。


侵攻以来、3国に残っていた異界人のみならずサリアン人、ソーラ人、ガラ人の計数百名が亡命したこと。その数百名は魔王軍の配下に加わったと噂になっている。


サリアンは今までこそこそとやっていた魔石の研究について再開するという声明を出したこと。大っぴらにやることで魔王軍討伐のアピールを大々的に行っているそうだ。


庄野が魔王軍を撃退し、サクラを助けるために杉村を回復させたことが知られ、民衆や各国から賛否両論を得ていること。『自らを犠牲に国を救った英雄、騎士として素晴らしい』『姫を救う事より国を救うことを優先すべきでは』という様々な意見はあるが、国を救った日から忽然と姿を消した事で何が本当で何が嘘なのか真実を探るものや、語り部となって後世に伝えようとあることないことを語る輩が増えてしまったようだ。

結果として、魔王軍の侵攻阻止に大きく貢献したのは庄野哲也であることを世界に広めてしまい、サリアンの失態が浮き出てしまった。それに伴って今サリアンに戻るのは()()()()とリーは語った。






「あー、これで最後なんだが、お前には言っておいた方が良いか。遅かれ早かれ知ることになるだろうし・・・。あのな、西の都なんだが、サクラ姫(姫ちゃん)は・・・」










サクラとアルフは庄野を探すと言い残し、半年前から居なくなった。

どこにいるのか、何をしているのか。

何もわかっていないらしい。






庄野はそれを聞くと、喜びもせず悲しみもせず

「そうですか。」

と一言だけ返した。




(・・・心配は心配なんだろ?もう少し、喜んだり悲しんだりしろよ・・・。庄野、お前・・・出会ったときから()()()()()()()()()()()?)




会話が途切れると、そこにはソーラの街並みが目に入った。

大災害を受け、侵攻を受けたその街は復興が終わっているどころが発展した街へと変わっていた。1980年代の秋葉原から2000年代の秋葉原へと街が変化したほど今のソーラには過去の面影が残っていない。




「随分と・・・雰囲気変わりましたね。何と言うか・・・

(テーマパークみたいだ。まるで・・・日本にある遊園地のような・・・)。」

「あぁ。今のソーラは魔王侵攻阻止に成功した事で()()()()()()になってやがる。2度目の侵攻だってまだわからねぇのに呑気なもんだぜ、ったく。」




街の門の付近に近づくと、門番が立っている。




「よっ、お疲れさん。入るぜ。」

「・・・入国許可証を。」




門番は持っている槍をリーの喉元へ向ける。

それとクロスするようにリーの右拳が門番の頬に直撃し、壁に激突する。




「・・・。」





「おいっ!おいっ!!冗談でもっ!やって!良いこととっ!悪いことがっ!あるよなぁ!?お前のっ!顔にはっ!誰が見えてるんだぁっ!あぁっ!?」




怒りながら『!』にあわせて門番の顔面に拳を喰らわせていく。庄野の脳裏にぼこぼこにされた女性2人の顔が浮かぶ。





(あぁ・・・そこまでしなくても・・・。)





「・・・おい!聞いてんのか?!おいっ!」

「に・・・入、国・・・きょ・・・しょ・・・。」




リーに胸ぐらを捕まれたまま、ぐったりと動かなくなる。




「ったく。ふざけたことをしやがって。」

「いつもはこんな風に止めないんですか?」




「あぁ。こっち側から入れるのはガラとサリアンしかいねえから基本的には止めねぇ。やっても荷物検査だ。」

「なるほど。」

(いつもやらないことをやっていた・・・?何かあるのかもしれないな。カエデ女王のこともある。この街並みの変化といい、ソーラに何か起きたのかもしれない・・・。



・・・ちょっと、試してみるか。)




「とりあえず、今日は休むか。・・・お前さんも着替えた方が良い。その服じゃ、流石に嬢ちゃんに会わせられねぇからな。」

「その前に、行きたいところがあるんですが。」




「おー、良いぜ。どこに行きたい?」

「カエデ女王の所へ。」










時が止まる。







「・・・お前、俺の話を聞いてないわけじゃねぇよな・・・、いや、お前・・・。

聞かせろ。」

「・・・その前に、質問を何個かして良いですか?」





「あぁ、良いぜ。だが、ここは目立つ。詰所に入るか。」





門の仮眠室に入り、二人は向かい合うように座った。




「質問は何だ?答えられる範囲なら・・・いや、何でも答える。質問してくれ。」




いつもなら腕を組み大股を開いて庄野を見下すように座って話すリーがこの時だけは机に手を置き、やや前屈みになりながら話をしている。いままでのリーからは想像できないほど誠実さがあった。





「・・・カエデ女王が部屋から出なくなったのは、いつからですか?」

「あー、約1年前だな。正確には11ヶ月程前だ。」




「その頃から街の復興時にこのような町にする話はありました?」

「あぁ。当初は元通りにするだけだったんだが、引きこもった途端に『活気が出る町にしたい』って言い出してな。」





「医者は出入りしてますか?」

「あー、いや。医者が来たのは最初の1回だけだ。」




「食事はどうやって?」

「えっとな、部屋の前に置いてたら勝手に食べてるな。」




「ということは、誰も中に入ったりして面倒は見てないんですか?」

「執事長が見てる。執事長だけは中に入れる。」




「・・・その人はどんな人ですか?」

「執事長は先代が子供の時の世話係として屋敷に雇われ、後々はカエデ女王の世話係として、今は城の執事長として働いている。」




「・・・最後に。どうして、リーは俺を森から連れてきたんですか?」

「あ?前に話したろ?カエデ女王が連れてこいって言ったんだよ。」



「・・・どうして俺を連れてこいって言ったんですかね?」

「あー、知らねぇな。それだけしか言われてねぇから。」




「そうですか。わかりました。」

「・・・で、質問は終わりか?どうだ?何か分かったか?」




「・・・よく分からないです。でも、カエデ女王に一言挨拶だけしたいです。会えなくても、顔を出しておけば明日の朝方には向こうから会ってくれるかもしれませんし。」

「あー・・・、わかった。」




『釈然としない』という表情を隠せず頭を掻きながらカエデの住む城へと案内されていく。





(・・・よく分からない。そう、()()()()()()()()()

リーは言った。『カエデ女王の命令で庄野を探しに来た』と。そこが一番の謎だ。



どうして、今になって捜索を始めたのか。

何故リーに任せたのか。


その理由が全く分からない。

リー自身も分かっていない。


話を聞く限り、カエデ女王の発言としてリーに伝えたのは執事長だ。ということは・・・執事長が何か知っているのだろう。


いや、執事長が怪しい・・・。

























そんな事は考えなくても分かる。

問題はそこじゃない。

誰でも分かるような事なのに、誰もがそれを解決できてないって事だ。


さっきの質問で、なんとなく・・・その片鱗が見えた気がする。



リーは会話をするとき『あー』『あぁ』『えっと』が最初につく癖がある。さっきの質問の時もよく出ていた。リーと会話するときにはよく出るんだが・・・。




執事長の話になると、リーのその癖が全くでなかった。

まるで、機械が話しているかのようにスラスラと喋っていた。

むしろ・・・()()()()()()()()()()()




さっきの門番もそうだ。

あれだけ殴られているのに『入国許可証を』という単語を発し続けていた。・・・もしかしたら、今のソーラにいる人は皆・・・。

いや、まだ推測の段階だ。

下手に推測を掘り下げると間違ったときに対応が不十分になる。ここは慎重にいくべきだ。




もっと執事長について聞くべきなんだろうが・・・何が引き金になるのか分からない。何かがきっかけで門番のように抜け殻のようになって攻撃してくるのか分からない。ミスって殺られるのだけは避けたい。


・・・とにかく、カエデ女王の元に行ってみるか。)






庄野とリーはソーラ城へと向かった。


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