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尚、士気については旺盛であります!  作者: 固太 陽
第一章
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第48話 兵 器2 ~それは人の命を簡単に奪うもの~

「嫌だね。」

アルフの返事は一言、これだけであった。








「何故だ!今の現状を見てないのか?!マジックゴーレムだけじゃない、強力な魔物は日々増えている、対処できるのは我々や兵隊長クラスの人間だけで抑えるので手一杯、魔石の生産だって・・・ッ、()()()()()()手に入れる術が今は、無い・・・。これ以上被害を増やさないためにも、庄野が持つ武器の量産は不可欠なんだ!」



アルフの返事にデルは叫ぶ。

リーとボラブも同調する。



「オッサン、何か理由があって断るんだろうけどよぉ・・ ・。虐殺のために使おうって訳じゃないんだ。ちゃんとした理由がある。国を、命を守るためだ。わかってくれよ。」


「おぉ!!そうだ!サリアン人も沢山死んだが、ガラ族も死んだ!ソーラ族も死んだ!これ以上誰も死なせたくない!」


















「嫌だね。ワシは反対だね。」


アルフは断った。







「・・・何故だ?」


感情を抑え、震える声でデルが問う。









アルフは話しを始めた。



「・・・お前さん達は、世界で武器が作られた理由、何だと思うね?」

「生きるためだ。剣、槍、弓、斧、それぞれは狩猟だったり伐採を目的としていた。それがある日、争いの為に人間相手に使うようになった。その武器を使った人間に対する、守るための力だ。武器とは相手へ力を示す抑止のために存在するものだ。」






「そう、ワシもそう思うね。でもね、ワシも庄野さんに一度しか聞いてないから、一文一句が合ってないと思うけど・・・。




あれはね、()()()()()()()に作られた物、らしいね。」











静寂のなか、アルフは話を続ける。





「デルが言った通りワシらが使ってる武器、そして魔法も最初は生活に使ったり、魔物から自分の身を守るために使ってたね。いつの時代か、戦争で使うようになってしまったけどね。・・・でも、庄野さんの持つ武器は最初から人殺しのために作られたものらしいね。遠くにいる人間を簡単に殺す事が出来る。女、子供、老人・・・使い方さえわかれば誰でも簡単に生き物を、特に人間を殺すことができる道具・・・『銃』という名前らしいね。





・・・ワシも1度、庄野さんに頼んだことがあるね。『それ、コピードールで増やして兵隊に持たせたら?あんたが戦う負担が減るね。』って。庄野さん、少し怒ってたね。






『これは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の1つです。これ1つで、何百人の命を簡単に奪えます。そんな危険な物なんです。それをこの世界に持ち込んで、広めるわけにはいきません。



自分を守るためだったり、誰かを守るために銃を使う事は素晴らしい理念だと思います。



でも、人を殺す道具なんです。

誰かを殺すために持つんです。

建前や思想、理念を持っていても、銃は銃なんです。

だから、皆が持てるようにするのは怖いんです。



銃を皆が持つ事によって、一番起きて欲しくないのは・・・

より効率的に人を殺そうと、より強力な銃を開発し始める事です。

それに対抗すべく各国が抑止の為と強力な銃の開発を、いつしか銃を越えるより強力な兵器(武器)の開発を始めます。

そうなったら、誰もこの螺旋を止められないんです。強力な兵器は人に不安を与え、恐怖を与えます。その不安や恐怖からより強力な武器を作り、またその不安が・・・ 。





この話はもうやめましょう。



だから、俺はこの武器を広めたくないです。かわりに、俺が戦います。』って。




だから無茶ばっかりして、色んな人の為に戦ってるね。だから、無理が重なって、倒れちゃってね・・・。困った男だね。」










「・・・話はわかりました。では、お大事に。」

「ほっ。すまんね。」








デルは軽く会釈をすると、屋敷から出ていく。

追うようにリーとボラブも出ていった。








西の都の外を歩きながら、デルの後方でリーとボラブは不満をぶつける。




「おいおい。良いのかよ、そんな簡単に諦めてよぉ。」

「そうだぁ!らしくないぞ、デルぅ!」





ザッ、と足を止め、ゆっくりとデルは振り返り、口を開く。


「・・・彼は、サクラの騎士以前に、異界人だ。」

「あ?おぉ・・・そうだ。」

「おぉ?!その通りだぁ!!」




拳を強く握りながら、今にも叫びそうな声を抑えながらデルは二人に問う。

「その異界人が・・・この世界とは無縁の、異界から来た人間が・・・自分の都合よりも、我々の国の将来をっ!何十年後の未来を心配して、武器の量産を断ったんだ!!・・・あいつは・・・何なんだ?何故そこまでしてこの国のために戦うッ!何故、己を犠牲にしてまで・・・この世界を救おうとするッ!!どうしてそこまで・・・。」



あっけらかんとリーは答える。

「・・・まぁな。あいつなりに色々考えてやってるんだろうけどよぉ・・・。国の何年も先まで考えながらやんのはご苦労なこった。・・・それでぶっ倒れるまで無理すんのは理解出来ねぇけどな。」




難しい顔をしてボラブも答える。

「むぅ。もしかしたら、庄野の世界には銃より強力で危険な武器が蔓延っていて、取り返しがつかなくなったのかもなぁ。『こんなに武器が増えてしまった!平和のために一度武器を捨てるぞ!』と、どこかの国が宣言した!・・・としても、それを手放した瞬間に相手の国を一瞬で火の海に出来る程の強力な武器を目の当たりにすれば、怖くて誰も手放そうとしない、いや、出来ないわけだぁ!・・・悲しい世界だなぁ・・・。人を守るために人を殺す武器を開発して、より効率的に人を殺す武器をどんどん作る世界かぁ。・・・そんな世界じゃあ、人が人を心から信用できないだろうになぁ・・・。そうかぁ、だから庄野も自分で何とかしようとするのかもなぁ。・・・悲しいなぁ・・・。」





「・・・(たまにまともな事を言う)。」

「・・・(出来れば、常にまともな事を言ってくれよ)。」

「おぉ!見てみろぉ!また魔物が出現してるぞぉ!さぁて、おっ始めるかぁ!ガアッハッハッハ!!」



バシバシとリーとデルの背中を叩きながらボラブは豪快に笑いながら武器を構え猛進する。ため息混じりに気だるそうにするリーも、叩いてくる衝撃の強さにやや切れぎみのデルもボラブの陽気さに負け、武器を構えながら魔物の方へ向かった。






































「・・・ハァ・・・ハァッ!・・・ハァッ、ハァッ。」

「・・・てつや様、ゆっくり呼吸を・・・。そう、吸って・・・吐いて・・・吸って・・・ゆっくりでいいですから。」




ボラブに運ばれた庄野はサクラに看病をされていた。

寝ているのか寝ていないのかも分からないほど呼吸は荒れ、冷たいタオルを何回取り変えても熱が治まらない状態である。



「・・・ハァッ、ハァッ。・・・ハァッ。」

「どうしよう・・・医者もいないし・・・。」




庄野は異界人であり、体内に魔力を持たないためサクラの治癒によって回復が出来ない。

そして、最悪な事に魔物からの被害が大きいサリアン城の方に医者が集まっており、西の都には一人も医者がいない状態なのである。




「ウッ!・・・ゴホッ!・・・ゴホッゴホッ!・・・。」


「てつや様?・・・大丈夫・・・?」





突然、庄野が咳き込み始める。異世界に来て怪我を除き、健康な状態であった庄野の弱々しい姿を見て、サクラは何も出来ない事に悔しさで涙を流す。


「どうしよう・・・ぐすっ。・・・どうしよう・・・。」





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