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尚、士気については旺盛であります!  作者: 固太 陽
第一章
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第25話 成 長 ~ペットが飼い主に似るように~

「サクラ姫、無理はしないでください。貴女が寝ないで看病を続けていても体が持たない、何より治癒魔法が十分に機能しません。休んでください。私が見ます。」

「・・・ありがとう。デル・・・。少し休みます。」



(・・・さて、サクラ姫も部屋を出たな。)

「・・・庄野哲也。お前に聞きたいことが山ほどあるが、今はお前の看病が優先だ。・・・知っているか?お前が眠ってる間サリアンに変化が生じている。現サリアン王を失脚させようという動きが活発化している。お前が魔石事件を解決し、左腕を犠牲にし、眠りから覚めない状態。そこまで城下町の人間にも知れ渡っているのに、サリアン王は今回の件については門番のタリーが相討ちになった、だから報酬を死者に払うことはできないと言ったそうだ。」



(・・・この男が、サリアンを変えた。)

「まぁ、サリアン王は・・・政治が出来ないのは最初からだがな。だが、国のために他国の、ましてや異界から来た者が命をかけて戦ってくれたんだ。皆がお前に感謝している。ギルドは総動員でお前の治療に力を注ぐべきだと・・・まぁ、その・・・王への反乱が起きてな・・・。国からの依頼をギルドが全部断ってしまってな・・・。暴動にも近いこれをおさめるために国の代表で私が来たわけだ。」



(ふぅ、聞いていないか。・・・民はこの男を()()だと言う。だが、私から見ればこの男は・・・()()()()()。異常だ。たとえ大切な人を守るためとはいっても、自分で自分の腕を吹っ飛ばして危機を回避する事を前提とした作戦を決行するか?・・・国のため、民のために自らが先頭に立ち危険に晒され自己を犠牲にし戦う姿はまさに英雄だ。『死』を恐れぬ勇ましい戦い方だ。だが、お前のそれは全く違う。自らの『死』を、命の犠牲を前提とした戦い方だ。はっきり言って恐怖を感じた。・・・お前の『信念』は何が支えている?)








「おはよう、デル。」

「む・・・おはようございます、サクラ姫。もう日が明けていたのですね。」



「その・・・答え難い質問だと思うけど、お父様は・・・大丈夫、なの?」

「この男次第です。仮に・・・目を覚ますことが無ければ民衆の怒りを受け、最悪は・・・。目を覚ましたとして、この男の発言しだ・・・あ。」



「目を・・・冷まさなかったら・・・うぅ・・・ぐすっ。」

「だ、大丈夫ですよ、サクラ姫。ほら、コピードールが庄野の近くに寄ってますから、主人の安否を・・・ん?」



「キュッ!」「キュッッ!」「キュッ!」


コピードール達が庄野の眠るベッドの中に潜り込み左腕の肘に集まり何かをしている。


「みんな、どうしたの?」

「おい、そこは傷がまだ癒えていないんだ。あまり動かすと・・・。おい・・・何故だ。何故こいつらが『治癒』を使える!」


コピードールは3匹とも『治癒』の魔法を庄野の左腕に集中的に使用している。


「私の『治癒』を『複製』して、左腕を治してるんですか?てつや様はここまで見越してたんでしょうか?」

「・・・わかりません。左腕を集中的に治癒するように指示をしていた可能性は否定できませんが・・・。おい、庄野の傷は上半身も酷い、まんべんなくだ。お前とお前は上半身のこの辺、お前は左腕を重視してやった方がいい。」


「キュッ! 」「キュッッ!!」「キュッ!」


(・・・本来なら使い魔はこんな風に主人以外の言うことは絶対に聞かない。ふて腐れたり無視をしたり、何より主人が指示したこと以外は食事と睡眠しか行動しないはずだ。人語を理解する使い魔でもないのにここまで主人に尽くすとは・・・とても大切にされているのだろう。だからこそ、自らの意思で主人を助ける、そのためなら他者の言うことを聞く。・・・誰に似たのやら。)



「デル・・・あの。」

「分かってます。サクラ姫は先に朝食を。お前達は治癒を継続だ!お前とお前はこっち側に移動だ。」


「キュルー!」「キュルー!」


「あら、名前を呼んでくれないから怒ったみたい。ななよんちゃんとひとよんちゃんはてつや様の右肩から胸にかけてお願いしますね。きゅうまるちゃんはそのまま左腕をお願いします。」

「・・・。」


「キュッ!」「キュッ!」 「キュッッ!!」


「じゃあ、お願いね。」

「あ、はい・・・。」


(・・・3匹とも同じ容姿にしか見えない。名前があるのか。同じような容姿にしか見えないのだが・・・見分け方があるのか?ななよん、ひとまる、きゅうまるだったな。・・・どういう名前だ!庄野の国ではそういう付け方が主流なのか?)




「お待たせしました。・・・コピードールの魔力が切れたのね。」

「ええ・・・。それと名前が分からなくて指示がうまくいきませんでした、すいません。」


「大丈夫よ。それに、私よりコピードールがやった方が治癒の効率が良いみたいだから任せましょう。みんなおいで?魔力を回復してあげます。」

「キュッ!」「キュッッ!!」「キュッ!」


(サクラ姫の治癒は命の蘇生以外なら完治させられる魔法として知られている。だがそれ以上に凄いのは対象の魔力回復だ。普通の方法で魔力を回復させるには魔力を直接渡すことになる。1渡せば1魔力が回復、等価の譲渡だ。しかし、サクラ姫の治癒は全く違う。対象の失われた魔力を怪我として扱うことで治癒によって完全回復させる。対象が莫大な魔力のストックを持っていたとしても少ない魔力で魔力回復が出来る。先代・・・前サリアン王から唯一受け継がれた最高の回復魔法だ。)


みるみるうちに3匹のコピードール達は見違えるほど毛並みが良くなった。



「ななよんちゃん、きゅうまるちゃん、ひとまるちゃん。じゃあ、お願いね。」


「キュッ!」「キュッッ!」「キュッ!」




「・・・ねぇ、デル。あなたがここに来たのって、何か理由があるんじゃないの?」

「はい。庄野哲也を我が騎士団に入団させる、若しくはギルドへ加入して頂きたいと。」


「お断りします。てつや様は弱いですから迷惑をかけます。」

「何故!彼の能力が低いというのはサリアン王の戯れ言です!現にオニトンボも討伐し、魔石事件の黒幕を倒した!十分な強さを持っています!」



「・・・こんな状態で帰って来て、強い?」

肩を震わせながらサクラは答える。



「ボロボロになって、意識が戻っていなくて、この国に魔力の無い人間を回復させる方法がなかったら・・・治癒の魔法が無かったら・・・死んでるんだよ?」

唇を噛みしめ、その目からは涙が流れている。





「強いって・・・何?生き物を簡単に殺せたら・・・強いの?事件を解決出来たら・・・凄いの?ねぇ・・・てつや様は・・・ひっく。あの時・・・左腕に魔法を受けて・・・あんな・・・。」

泣きながらも強い口調で感情を言葉にする。




「左腕が・・・状態で・・・ヌークさん・・・殺さなかったんだよ?とっても優しい・・・人で・・・こんなに・・・()()()()()?」

「すいません・・・。(殺さなかった?)」




「・・・ぐすっ。お願い。てつや様の事を英雄としたい民の気持ちはわかるけど、それだけは承諾出来ません。」

「わかりました。・・・この件は無かったことに。ですが殺さなかった、とはどういう事ですか?」



「うん・・・私もちゃんと見えていないんだけど、口から煙が出てきて、黒い炎で内側から燃えていったように見えたの。」

「なっ!!・・・ありがとうございます。急用を思い出したので今日のところは失礼します。」



















「・・・てつや様。まだですか?まだ・・・うぅ・・・。」



















































「キュピー!」「キュピーー!!」「キュピー!」

「みんな?何かあったの?」








「・・・サ、クラ、姫?」

「え・・・?てつや様?」


「あぁ・・・俺、生きてます?痛みがあるって事は・・・生きてるんですよね?」

「う、うぅ・・・。てつや・・・様!う・・・うっ・・・ひっく・・・。」





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