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尚、士気については旺盛であります!  作者: 固太 陽
第一章
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第24話 選 択 ~得るもの失うもの~

「・・・判断力が大事なのがよくわかったか!だが!判断が良くても、実行に移せないと意味がないぞ!良いアイデア、良い戦術、それらは実行して初めて良いものになるんだ。机上の理論は机の上から動かせぇ!」




~呪いの炎を放つ数秒前~

「ななよん?・・・何で、弾倉持ってるんだよ・・・。毛並みいいなぁ。レベル上がったのか?そっか・・・ありがとな。弾倉コピーしてくれたんだな。これで・・・。」

「きゃああぁ!」


(サクラ姫が!・・・呪いの炎を撃つ気なら逆に勝機がある。だが、この距離じゃ拳銃で正確に狙えない・・・。俺の足なら走って間に合う!・・・。・・・()()()()()()。いや、絶対痛い。やりたくない!でも、・・・姫様を守る!考えるのは後だ!とにかく走れ!間に合え!・・・届け!()()()!)


庄野はサクラを庇うため、全ての力を注ぎ左の手の平で呪いの炎を受けた。その直後、ゆっくりと燃えていく左腕の肘に拳銃を突き付けそのままヌークを狙って弾倉に残っていた全弾を発射した。



ヌークの左腕に弾が数発当たり、鮮血が飛散し手から放たれていた炎は出なくなった。

「ぎゃぁぁぁ・・・!」



庄野の左腕は肘から先は肉と骨が見えている。至近距離で撃ち無理やり千切った()()()()()は地面に落ちて手の平から少しずつ灰になっている。

「がぁぁぁぁ!!!・・・なな・・・よん!左腕と弾倉!コピーだ!」

「キュウゥ・・・。」


ななよんは元気がない。

(・・・何だ?魔力が足りないとかってやつか?・・・それなら!)


「・・・きゅうまる!左腕をコピーだ!ひとまる!弾倉作って持ってこい!」

「キュッッ!!」「キュッ!」


(つぅぅぅぅ!!痛い!想像以上だ!傷口はどうなって・・・いや、見るな!パニックになる・・・落ち着け・・・クソがっ!・・・先ずは止血帯を、まだ死んでない、俺は生きてる。生きてるんだ、落ち着け、・・・慌てるな。よし、止血完了だ。後は、・・・弾倉交換して。・・・ぶっ殺してやりたい所だが、やること事がある。)


「キュッッ!!」「キュッ!」

「すまん、きゅうまる。左腕はそのまま持っててくれ、後で何とかして引っ付ける。ひとまる、こっちにくれるか。」




「ひっ!ひぃ!くるな!化け物ぉ!」




庄野は何も言い返さず歯で銃を固定し弾倉を交換する。


「何なんだ?お前は・・・炎が燃えうつる前に自分を撃ったのか?腕を千切ったのか・・・?頭イカれてるよぉ!」

「・・・答えろ。お前が起こしたクーデターなのか、()()()()()()()()()()。」


「そっ!それは・・・言えない。」


バァン。

ヌークの右足に穴があく。


「ぎゃぁぁぁ!言う!言うよ!何か、黒いローブを着たよくわかんない奴に貰ったんだ!魔石の作り方とか、魔法の、呪いの炎の使い方とか・・・あと・・・!!!うっ!。」

「どうした、早く答えろ。」


「・・・。」

「おい、どうした!」


ヌークの内側からプスプスという音と口から煙が出てきている。

「か、かは・・・そんな・・・なんで・・・。ま・・・お・・・。」

「おい!まだ質問に・・・。」


(・・・。何だったんだ?)

「くっ!つっ・・・てぇぇ!・・・。コピー・・・ドール。・・・頼ん、だ。」


庄野は左腕から感じる激痛に耐えられずその場にうずくまり意識は闇の中に沈んでいった。


「てつや様!・・・すぐ治癒を・・・。・・・無茶苦茶です!・・・自分の体を、何だと・・・思ってるんですかぁ!」

「ゼェ、ゼェ。ワシも助かったね。魔力が切れるとは、年だねぇ。(この戦い方、捨て身で何かを守るために戦う姿。・・・似てるねぇ、あの男達に。決して良い方法とは言えないけどね。)」



魔石事件は解決した。その傍らに二つの灰を残したまま。












(てつや様。寝たきりで、もう一週間・・・。起きなかったらどうしよう・・・。私が、もっとしっかりしていれば。私の・・・せいだぁ・・・。)


「ぐすっ。ぐすっ。ひっく。・・・起きてよぉ。まだ、私・・・てつや様に・・・き・・・って、言えてないのにぃ・・・。」


サクラは付きっきりで庄野の看病をしているが目を覚ます気配はない。

そもそも西の都には病院というものがない。サリアンにも無い。まずこの世界に薬屋はあれど病院は無い。魔法がありふれたこの世界では回復魔法によって体内にある魔素を活性化させて血や肉体を再生させることが可能である。そのため病院という施設が必要がない。

故に、魔法が使えない異界人がこの世界で怪我をしてもまともな治療は受けられない。庄野哲也は輸血も点滴も無くサクラの使う治癒でかろうじて生きている状態である。



「どうしよう・・・。嫌だぁ。・・・てつや様と、お話ししたい。てつや様・・・!うわぁぁぁぁん!」



廊下の方から鎧のガチャガチャとした音と足音が部屋の方に近づいてくる。ガチャン、と扉を開けたのはデルであった。


「入るぞ。・・・これは、サクラ姫が部屋にいたにも関わらずノックもせずに入ったのは不躾でありました。・・・ハンカチを。」

「・・・デルぅ。・・・ありがとう。ぐすっ。」


「・・・容態は?」

「左腕は・・・。コピードールが作った左腕を接合して・・・ます。先日、ガラ王と・・・戦って、その傷も癒えてないままで・・・。このまま・・・目を冷まさなかったら・・・わたし・・・あぁぁぁ。」


デルはサクラの話を聞きながらベッドで横になっている庄野にかかっているシーツをはがした。


(・・・身を捨ててでも姫を守った英雄、と国中で噂になっていたが怪我の具合は噂以上だ。・・・ホントに生きているのか、これは。上半身がぐちゃぐちゃじゃないか。ガラ王と殴り合いをした傷が治ってないまま戦っていた・・・ということか。左腕・・・指と肘はボロボロ。サクラ姫の治癒で本来なら元通りに動くだろうが・・・異界人の治癒力は乏しい、最悪の場合は左腕を切断した方が良い。想い人がこんな目にあってしまっては・・・辛いな。)


庄野は左腕を失い、意識を失い、それでも大切な人を守った。

サクラは想い人と過ごす時間を失い、待つことしか出来ない。









戦いからは失うものが多く、何かを得ることはない。

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