第23話 戦 闘2 ~判断力より実行力が必要な時~
「幹部として必要な6大資質の1つ!判断力は三つ目にある。一つ目、二つ目は使命感、責任感、つまり感性を重要視している。次に!力をつけなければならない!そう!最初に身に付けなければならない力!判断力だ!判断を誤れば・・・死ぬだけだ。何も残らない。いいか!・・・。」
幹部候補生学校にて自衛官として、幹部としての資質を学ぶ。その中ある6大資質。一つ目である使命感は特に重要視される。次に責任感。三つ目に判断力、四つ目に実行力。行動に移す力より、考える力が必要なのだ。それを誤れば、
死ぬだけだから。
(拳銃、ナイフ、マチェット。・・・防弾チョッキ脱ぎてぇ!邪魔だ!炎を避けなくちゃいけないってのに・・・こんな重いもの着てくるんじゃなかった!)
「さぁて・・・お次は誰かな?俺が相手をするのもなぁ。『いけ、トンボ達』。」
ヌークが指をパチンと弾くと周辺からオニトンボが何匹も飛んでくる。サイズは人間にに比べたらやや小さいものである。
「こいつ!」
庄野は拳銃に弾倉を込めヌークを狙う。
「まぁまあ、庄野さんや、焦る必要はないね。1対3。亡くなった彼の死を無駄にしたらダメだね。ほら、あっちのトンボをやって来なさいね。・・・若造、俺が相手だね。」
「ふん。時代遅れのジジイに何ができる?壁作りしか出来ないタンク野郎が!」
「嘗めんじゃないね、青二才。『城壁人間』ってのは後から呼ばれた名前だね。現役の時は『死神』なんて呼ばれてたけどね。それじゃ・・・喰らうといいね。」
一瞬のうちにヌークの頭上に大量の石壁が出現し雨のように落ちてくる。
落ちきったその石壁にトゲが出現しヌークを挟むように動いている。
「ほれ、まだ降ってくるね。」
「くっ!・・・攻撃だけでいいのか?『呪いの炎』!」
回避しながら炎をアルフに放つ。
「・・・『異次元・壁』」
黒い渦のようなものが描かれた壁が二枚、ヌークを挟むように出現する。
「炎が、壁に吸い込まれた・・・後ろか!うぉぉ!」
「間一髪で避けたね。でも俺の壁はまだあるからね。好きなのに当たって良いからね。」
「アルフ、魔力を補給するから・・・『魔力治癒』。」
「くっそ!がぁ!」
「はぁ、はぁ。」
(さすが、俺がいなくても二人であの男を何とか出来そうだな。トンボは、残り5匹か。・・・50匹以上はやったんだな。・・・銃が使えれば簡単にやれるのに、弾が無い。残り一弾倉じゃ・・・。文句いっても始まらない。・・・やるか。)
アルフとヌークの戦いは拮抗していた。アルフが有利であるがヌークの魔法耐性が高くアルフの魔法が効きづらい。
「・・・石の壁、土の壁は燃えるのかね。」
「時間はかかりますが、燃やせるものだったら何でもいいんですよ。そういう魔法なので。」
魔法でダメージが与えにくい。故に物理的な壁で押し潰そうとするがそれらは炎で燃やされてしまう。ややアルフの方が不利な状況となっていた。
「『死神』でしたっけ?昔とった杵柄、ですか。こういう魔法を相手にしたことはないでしょう。『苦い霧』。」
「目眩ましは基本、全面防御だね。サクラ姫、危険だね、離れた方がいいね。」
「アルフ、気をつけて。」
ヌークの腕から黒色の煙が発生しアルフを包む。サクラは煙から避難しアルフと離れてしまう。
「そろそろ、効果が出るんじゃありませんか?」
「むっ。うぅ!目が・・・。」
「染みるでしょう?そして、この霧は魔法を少しずつ解除していく。ゆっくり溶かすように。・・・もう壁が無くなりますよ?」
「まだだね!もう一回張れば!」
「もう遅いですよ。見えなければ何も守れない。己の身すら・・・。『呪いのほ』」
「お前は見えてんのか?」
「のぉ!」
トンボを全滅させた庄野がヌークの後方から右腕に回し蹴りを放ち吹っ飛ばす。しかし、蹴った右腕の僅かな火の粉が防弾チョッキに触れてしまいそこから火が出始める。
「てつや様!」「庄野さん!」
「くぅぅぅ!右腕が・・・折れたじゃないか!何をしやがるぅ!これだから!暴力で解決しようとするやつは嫌いなんだよ!・・・だが、炎が、服に触れましたねぇ。さよなら。」
「チッ!・・・火の粉でもダメなのかよ。しょうがねぇ。」
庄野は舌打ちと同時にすぐさま防弾チョッキの内側にあるワイヤーを引っ張り防弾チョッキをパージし危機を逃れる。防弾チョッキは耐火素材にも関わらず火は消えず燃え続けている。
「はぁ・・・最新装備はそんなものもついてるんですね、往生際の悪い。だが、死ぬのが数秒長引いただけですよ?」
「・・・官品燃やしやがって。破損報告書、お前が作れよ!」
「黙れ、国家の犬が。灰になれぇ!」
「『異次元・壁』。・・・やらせないね。」
「老いぼれがぁ!」
庄野が入り1対3に戻る。しかし、徐々に部が悪くなっているのを庄野は肌で感じていた。
(・・・せめて!せめて、あと一弾倉予備があれば、せめて・・・。・・・撃つか。弾にこだわって死ぬわけにはいかない。)
バァン。
1発、ヌークに向かって9mmの弾丸が高速回転して向かっていき、透明の壁に弾かれた。壁にはヒビが入ったがダメージは与えられていない。
「なっ!」
「危ない危ない・・・魔法が使える人間なら防御魔法は基礎の基礎だ。」
「・・・くっそぉ。」
「どうした?撃ってこないのか?」
庄野が拳銃をヌークに突きつけている間、ヌークは左腕で壁を展開したまま動かない。
(・・・炎がこない?)
「庄野さん、今のうちに距離をとるんだね!態勢を立て直す!」
「また壁か・・・しつこい!燃えてろぉ!」
(あいつ、俺が構えている間に炎を撃たなかった。・・・右腕で攻撃をしてこなかった。今のあいつは、攻撃と防御は一緒に出来ない?・・・それなら。)
「コピードール!手を・・・貸して・・・お前ら。」
「ぜぇ、ぜぇ。魔力が・・・サクラ姫、治癒を頼むね。」
「はい!」
「そもそも、貴女が邪魔なんですよ、治癒の姫。あなたが灰になれば終わりです。あなたを燃やしたあとは・・・ゆっくり、じっくり、老いぼれと犬を灰にしてやる。」
「さ、させません!」
「足元ががら空きですよ、お姫様ぁ!『アースクエイク』!」
ヌークが右腕で地面を叩くと強烈な地震が発生しサクラはバランスを崩す。
「きゃあ!」
「転んでて良いんですか?避けられなくなりますよ?・・・さぁ、可愛い女性を焼き殺すのは心が痛みますが、致し方ありませんねぇ。『呪いの炎』ぉ!」
「あ・・・あぁ・・・。」
「サクラ姫!ディメンショ・・・魔力が・・・足りない・・・ね。」
立ち上がって避けるのが間に合わないことを察してかサクラ姫は目を瞑った。
(・・・まだ・・・私・・・嫌ぁ!・・・てつや様に言ってないこといっぱいあるのに!)
大量の空気が破裂する音。
飛び散る鮮血。
悲鳴なのか怒号なのかわからない二人の男性の叫び声。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁ・・・!」
「・・・え?・・・てつや様?」
「・・・何・・・やってるんだね。」




