完璧な小説
小説投稿サイトを見ている一人の男がいた。
彼はこのサイトの小説はつまらないものばかりだと思った。
人気作品を見ても大体の舞台が異世界で、その世界では魔物やら魔法やらが何の説明もなしに飛び出す。
文章もスラングばかりで、彼にとってそれらの小説は面白いと思えなかった。
ただし小説を読むのは無料だ。それにこれだけの作品があれば1冊ぐらいは面白い小説があるに違いない。
彼は小説探しを諦めなかった。
彼はそれから1時間探し続けた。だが一向に合う小説は見つからない。
当然だ。彼はベストセラーになった小説すらつまらないというのだ。
彼は非常に細かい性格だった。
この描写はいらないだろうとか、このセリフの言い回しは不自然だとかいちいち気にしてしまう。
その度に彼は読書をやめてしまうのだ。
そんな彼が作家未満の書いた小説で満足することなどありえないと思われた。
だが彼は自分に合う小説を見つけた。
タイトルは「完璧な小説」
それはこんな小説だった。
――200字分の完璧の羅列――
それは彼の求めた「完璧な小説」だった。