4-24 悪魔の罠 ④
少々長め。かなり悪魔的な表現があります。
主人公不在。
大地の勇者カンゾーが悪魔の罠に嵌りつつあった頃、もう一人の勇者であるミンキチにも“悪夢”が迫りつつあった。
「……なんだい?」
ミンキチのそんな呟きにパーティメンバー達も足を止める。
「ミンキチ様ぁ、何かありましたぁ?」
「嫌な気配がするんだよ……フィアたん」
力士のような女騎士の間延びした声に、同じくどっぷりと弛んだ腹肉を叩きながらミンキチが答えた。
ミンキチは見かけこそアレだが……、髪型も肌も汚く、普段の言動は眉を顰めるほどで、卑怯なことも平気で行えるような人物だったが、【勇者】としての素質は他の勇者達を上回っている。
そんなミンキチに見出され、男性にモテない想いを周囲にぶつけて晴らすような彼女と強く共感していたパーティメンバー達は、ミンキチの感覚を信じて洞穴の闇を警戒し始めた。
現在のミンキチのパーティメンバーは、女性のみで四名。
オークのような体臭に大量の香水をぶちまけた筋肉だるま、チーちゃん。
力士のような体型で、焼き肉やホールチーズを直に隠し持っている、フィアたん。
かさかさの肌で目元が窪んだガリガリの骸骨のような体型の、レナちん。
一番年嵩で一見普通に見えるが、少年達の尻を触る生粋の痴女である、ココ嬢。
もちろん、全員本名ではなく、ミンキチの付けたあだ名だ。
ミンキチが直に鍛えた【英雄クラス】と呼べる者はこの四人で、その他にも何人か仲間は居るが、戦場を駆け抜ける遊撃に耐えられない者達は連れてきていない。
――と、聞くからにまともではない面子だが、勇者パーティとしての練度も戦闘力もカンゾーやキョージのパーティよりも上なのだ。
キョージの策略で――実際に獣人軍と共謀してキョージやネフルティアを亡き者にしようとしたのだから、冤罪でも何でもないのだが――ミンキチは、人類の裏切り者として追われる立場になってしまった。
弁明する機会があれば、他国の貴族や王族からの汚い仕事も受けていた関係で、味方してくれる者は多いはず。
だからミンキチとしては、自分を追い込むような過去の罪を漏らすつもりはまだ無かったのだが、それを畏れた共犯者がミンキチ達を始末するべく追ってきていたのだ。
「きぇええええええええええええええええええええええええええっ!!!」
突然、一人が叫びを上げ、周りのメンバーが目を向いて飛び下がる。
「チーちゃんっ!?」
筋肉だるまの女騎士が、怯えたように錯乱して、凶悪な形の両手斧を滅茶苦茶に振り回し始めた。
「ちょ、何をして、げふっ!」
焦ったように思わず近づいてしまった“レナちん”が、振り回された斧に当たって吹き飛ばされた。
「レナちんっ!」
「げほっ」
鎧のおかげか、彼女もまた英雄クラスだったおかげか、深手を負うことはなかったがまだ立ち上がれない。
「くそっ、ココ嬢っ、私達で抑えるよ!」
「ふふっ、了解であります」
ミンキチの指示で“ココ嬢”が“チーちゃん”の前に出る。
本当なら、いきなり錯乱した前衛に対処するために魔術師である“レナちん”が必要なのだが、あの状態ではすぐに動けそうにない。
このパーティで魔法による回復手段は、【勇者の秘術】で回復魔法を使えるミンキチだけなのだが、アタッカーである“フィアたん”は、洞穴内で横幅を取ると言う理由もあったが、彼女は大量のポーション類も持ち歩いているので“レナちん”の回復を任せたのだ。
「チーちゃん、どうしたんだよっ!」
「化け物共めぇえ、死ねぇえええええええええええええっ!!!」
「ミンキチ様っ!」
とっさにパーティの盾役である“ココ嬢”が巨大な盾で両手斧を受け止めた。
「ぐぅ」
今度は振り回した斧が偶然当たったのではなく、敵を殺そうとする攻撃に“ココ嬢”も顔を歪める。
「チーちゃん……正気に戻ってっ」
「ぎゃぁああああああああああああああああああああっ!」
「「っ!?」」
突然背後から爆炎と悲鳴が響いた。
目の前の“チーちゃん”に視線を残しながらも背後に注意を向けると、先ほどまで蹲っていた“レナちん”が立ち上がり、倒れた“フィアたん”を踏みつけていた。
「ききゃやあああああああああああああああああああああっ!!!」
血走った目で口から泡を吹いて、奇声をあげている下で、“フィアたん”は火炎魔法を受けたようで身動き出来ないようだ。
「な、なんなんだよっ!」
異常な事態にミンキチも狼狽える。
もしこれが他の人間なら、ミンキチはこれまでと同じように勇者の力で蹂躙し、相手の命など気にせず打ち倒していただろう。けれど、今居るメンバーは、ミンキチがこの世界で唯一の気心を許せる、家族と言ってもいい“仲間”なのだ。
そんな仲間達に対してどうして酷いことが出来ようか。
「死ね死ね死ねぇええええええええええええええええええっ!」
「ききゃああああああああああああああああああああああああああっ!」
その正気を失った仲間達が、互いを“敵”と認識したらしく、【英雄クラス】の力を全開にして殺し合いを始める。
「やめろ……やめろぉおおおおおおおおおおおっ!」
「み、ミンキチ様、私が二人を止めます。この原因を」
「……ココ嬢、ごめん」
最初に感じた“嫌な気配”……それが今の異常の原因かどうかは分からないが、今はそれが原因だと仮定して動くしかない。そして、勇者パーティを襲う邪悪の卑劣な罠に打ち勝ち、正義の鉄槌を食らわせるのだ。
「……………」
ミンキチの【勇者】としての感覚が【邪悪】の気配を感じた。
「……そこかっ!」
溜めていた魔力を火炎魔法に変えて、全力で洞穴の通路の一つに撃ち放つ。
仮にも元現代人なのだから、洞穴内で大量の炎を使えば一酸化炭素中毒などの危険性も知っているはずなのだが、ミンキチは仲間達を傷つけられた怒りのせいか、躊躇も自重もしなかった。
ゴォオオオオオオオオッ、と燃えさかる炎が通路を焼き尽くす。
通常の魔物でも、魔法生物でも、これだけの魔法の炎ならば大抵の敵はただでは済まないはずだ。ただ一つ思い付く可能性としては“大地の勇者”ならばレジスト出来るかとも考えるが、仮にもカンゾーも【勇者】だ。この邪悪な気配と相容れるはずがない。
「っ!」
その地獄のような炎の中を、まっすぐに歩いて近づいてくる影が居た。
「な、なんだ……」
炎の中から出てきたそれは、身に纏うドレスが燃えて全身を炎に包まれながらも、その顔には焦げ痕一つ無い【道化師】のような仮面を付けていた。
その道化師が腕を一振りすると燃えていたドレスが消え失せ、一瞬だけ見えた白い肢体を、また新たな黒いドレスと白いエプロンドレスが包み込む。
「……お、お前っ」
「やっほー」
おかしな仮面を付けているが、その古風で上等なメイド服と白い髪は、以前自分達が戦い引き分けた、あの小憎たらしい聖女の、憎らしい従者だったはずだ。
「このガキ……あんたがっ、こんな非道い事をしたのかっ!?」
どうして聖女の従者が、こんな邪悪な気配を放ち、こんな非人道的なことをするのか理解できなかったが、あの邪悪に取り込まれて【魔王】となった小娘から、何かしらの影響を受けているのかと考えた。
「……非道い?」
道化師の仮面を付けたメイド従者のファニーは、何を言われているのか分からないように、可愛らしく首を傾げる。
「何を惚けてやがるっ! あの子達から正気を奪ったのはお前だろ、ガキっ!」
「ああ~っ」
そこまで言われて、ポンッと効果音付きで手を叩いたファニーは、まるで今の仮面が素顔であるかのように、道化師の仮面を歪ませて愉しげに嗤った。
「何がおかしいっ!!!」
「だって……、炎の勇者だって、人の弱みに付け込んで、若い騎士やその恋人の侍女を奴隷扱いしてきたんでしょ? そんなに変わらないじゃない?」
「こ、このガキ……」
ミンキチは、目の前にいるファニーが“人”とは根本的に違った存在に見えて、思わず一歩下がる。
このメイドは前からこうだったか……? 本気ではなかったとは言え、自分達と互角に戦えるような油断ならない相手だと理解しているが、少なくともあのユールシアとか言う【聖女】と一緒にいた時は、もう少しその雰囲気はゆるかったはずだ。
「……お前はいったい、」
「なんだっていいんじゃない? そんな暇もなさそうだよ」
「ミンキチ様っ!」
警戒するミンキチの耳に“ココ嬢”の悲鳴のような声が届いた。
「ココ嬢っ!」
いつの間にか、二人の正気を失った仲間の戦いを止めていたはずの“ココ嬢”が、二人の狂人から攻撃を受けて劣勢に立たされていた。
「今行く、」
「どこに?」
一瞬。わずか、コンマ数秒だけ視線を仲間達に向けただけだったのに、そのメイドの声はすぐ耳元で吐息と共に聞こえた。
「てめぇっ!」
ミンキチは瞬時に身体強化を使い、フランベルジュの大剣を道化師の仮面に叩きつけた。
「はっずれー」
それをファニーは、センチ単位で見切って振り回された大剣を躱していく。
その時に胸元のエプロンドレスのフリルに掠ってしまったが、それは十二歳という年齢に似合わない胸部装甲のせいだろう。
「そこをどけぇっ!!!」
「えーっと、ダメ」
ただ避けるだけなのでその横をミンキチが抜けようとすれば、魔力を直接ぶつけてきて邪魔をされた。
直に攻撃を仕掛けてこないからこそ、ミンキチもダメージを与えられない。
勇者であるミンキチの攻撃力を警戒しているのかも知れないが、今の状況では苛立たしく焦りしか浮かんでこない。
「ミンキチ様ぁああああああああぁ……」
「ココ嬢ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ついに“チーちゃん”の両手斧が盾を砕き、その隙を“レナちん”の火炎魔法に焼かれて“ココ嬢”が崩れ落ちた。
今すぐ駆けつけて回復魔法を掛ければ、まだ蘇生出来るかも知れない。だが、それをファニーが許さない。
そうしているうちに、正気を失った二人がまた互いを傷つけ始めた。
「どけぇえええええええええっ! どいてくれぇええええええええええっ!」
「なんでぇ?」
実を言えば、いつも笑顔を浮かべていて愉しそうにしているファニーだが、その内心はどす黒く怒り狂っていた。
この世で……現世も異世界も含めてもっとも敬愛する、母であり創造主であり太陽である【主様】に命じられていたにも関わらず、勇者とは言え人間程度と引き分けたことがずっと心に引っ掛かっていた。
必ず、苦しめて苦しめてその魂を奪う。ファニーはそう心に決めていた。
「うぼぉおおおおおおおおおおっ!!」
「ぐはっ!?」
ミンキチの背後から叫びと共に強烈な衝撃が叩き込まれた。
「ふぃ、フィアたん……」
それは“レナちん”の火炎魔法で倒れたはずの“フィアたん”であった。
全身に酷い火傷を受けていたはずだが、薬物中毒のような危ない目付きで、ボロボロになった身体を酷使するようにミンキチを殴りつけてきた。
この“フィアたん”の戦闘手段は、巨体を生かした“スモウレスラー”の格闘術で、ミンキチはぶよぶよの脂肪による【打撃無効スキル】を持っているのだが、肉体のダメージを無視した限界以上の攻撃に身動きが封じられる。
「やめてフィアたんっ、正気に戻ってっ!」
「うぼぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああっ!」
その時、ついに均衡が崩れて“チーちゃん”の両手斧が“レナちん”の肩から心臓までを斬り裂いたのだ。
「レナちぃいいいいいいんっ!!!」
二人目の仲間を失い、慟哭の叫びを上げるミンキチの悲痛な声が、仲間を殺したばかりの“チーちゃん”を引き寄せた。
「やめ、やめてぇええええええええええええええっ!」
英雄クラス二人掛かりの猛攻にミンキチも防戦一方となった。それでもミンキチならば二人掛かりでも隙を見て返り討ちに出来る実力はある。
だが、操られているとは言え、仲間を攻撃することなど出来はしなかった。
その操っているはずのファニーは、自分が手を出すまでもないとでも言うように、少し離れた場所からミンキチを見て嗤っていた。
実際はいかにファニーと言えど【英雄クラス】を操ることは出来ずに、悪夢を見せているだけなので、自分も近寄ると殴られてしまうので離れていたのだ。
「……そろそろかなぁ?」
「……なっ!?」
それはいきなり起こった。
今まで両手斧の攻撃だけに気を使い、格闘術の打撃は急所以外は【打撃無効スキル】で受けていたのだが、その打撃が唐突にミンキチにダメージを与えたのだ。
それだけでなく、【回避】や【受け流し】などの【自動スキル】も上手く作動していない。意識して自分で動けば使えるのだが、【スキル戦闘】に慣れきったミンキチは、攻撃どころか防御すらもままならなくなっていた。
「それじゃ、いっくよーっ」
そんなミンキチ達に、ファニーが以前見せた【溶岩召喚】を使う。
こんな狭い洞穴内でそんなことをしたら人間ならただでは済まないのだろうが、ファニーはそんなことを気にする必要は無い。
「……………」
ミンキチは仲間達の攻撃を受けながら、足下に迫ってくる溶岩の熱気に諦めるように動きを止める。
このままでは確実に仲間諸共このメイドに殺されるだろう。だから……
「ファイアストームッ!!!!」
だからミンキチは諦めた。生き延びることではなく、仲間達と共に生き残る道を諦めたのだ。
何故か【魔法スキル】が使えなくなっていたので時間は掛かったが、ミンキチは上級火炎範囲魔法を、かつての仲間を自分ごと巻き込むように使用したのだ。
「絶対……、絶対っ、お前は殺してやるからなっ!!!!」
*
暗い洞穴の中を、一人の人影がボロボロの身体を引きずるように歩いていた。
実際は歩くと言うより、もう這いずるのに近い。
その身体はあちこち引き裂かれて血を失い、魔力も失って、もはや生存本能だけで朦朧とした精神を支えていた。
「……宝石……私の宝石……」
その時、彼の頭の中にあったのは、自分の身体を飾る美しい【魔宝石】と、そんな彼を見つめるいくつもの羨望の視線であった。
「はやく……宝石……」
そんな朦朧とした表情で進む彼は、彼以上にズタボロの全身火傷だらけの人影が通路の一つを這いずっているのに気付いた。
「………ミン…キチ…?」
それは生き残るためだけに、心を許したはずのかけがえのない仲間を殺して逃げた、炎の勇者ミンキチであった。
この世界に拉致され、不安を押し隠すように好き放題して、最後には得たものすべてを無くしてしまった。
それでも死ぬのは怖かった。彼女は地面に崩れるように座り込むと、自分の傷を癒すために、自分の命を振り絞って【純粋な魔力】を生成し始める。そこに……
「が、ふっ」
そのミンキチの心臓を、忍び寄ったカンゾーがナイフで突き刺した。
「……か、…カンゾー……ッ」
「ふふふ、……やぁっと、見つけたわぁ」
カンゾーとミンキチは、出会った時から水と油で、互いを非道く嫌っていた。
それでも同じ人間の希望である勇者であり、共犯者であり、共に地位も立場もあったので、直接命を狙ったりはしなかった。
そのカンゾーがミンキチの命をうっとりと嬉しそうに奪おうとしている。
「さあ、死んでちょうだい……。私のためにっ!」
「カンゾーっ、……なんで、私…は、」
ミンキチの唇が最後に、『こんなはずじゃ』と呟き、カンゾーのナイフが心臓を抉り、ミンキチの瞳から光が失われると、彼女の純魔力がカンゾーに流れ込んできた。
「ああああ、これがっ!」
カンゾーは、ユールシアの執事であるノアからあるポーションを受け取っていた。
それを飲めば、他の勇者を脅して純魔力を抽出する必要もなく、【勇者】の命そのものから純魔力を【魔宝石】にすることが出来るようになるのだ。
流れ込んできたミンキチの純魔力が、一旦カンゾーに吸収されて、ポーションの効果を受けて再びミンキチの死体に流れ込んでいく。
これでミンキチの身体は、魔物が魔石を生み出すが如く、最高の【魔宝石】を生成するはずなのだ。
「来た……キタキタキタァアアアアアアアアアアッ!!!!」
ミンキチの死体の上に浮かぶように、鶏の卵大の【魔宝石】が生成された。
その虹色に輝く美しさ……。大きさや魔力の強さ共に、今まで見たどの【魔宝石】を遙かに上回り、宝石としても魔石としても国宝クラスであろう。
「……な、なんで」
浮かれていたカンゾーの顔が焦りを帯びてくる。
生成が止まらない。ミンキチから吸収した純魔力はすべて変換されてるのにも関わらず、カンゾーから流れ出る純魔力が止まらないのだ。
「ちょっと、止まって……止まりなさいよっ!」
カンゾーが【魔宝石】を掴んで止めようとするが、強い純魔力に弾かれて触ることすら出来ない。カンゾーも純魔力を使えば触れるのだろうが、その純魔力が勝手に流れ出ているのだからどうしようもない。
「こんな……」
カンゾーの肌から生気が失われ、鍛えられた肉体が萎むように細くなっていく。
「おや、ようやく【魔宝石】が出来たのですね。おめでとうございます」
そんな声が聞こえてカンゾーが顔を上げると、そこには上等の執事服を纏った一人の少年が優しげに微笑んでいた。
「……ノア…きゅん」
突然現れた思い人に、どうしてここにいるのかそんな疑問も浮かばず、カンゾーは枯れ木のようになった指を少年に伸ばした。
「おか……しいの……助けて、……ノア……」
「いいえ、カンゾー様。すべては“我が主”のご要望通りですよ」
そんな言葉に、カンゾーの目が見開かれる。そんなカンゾーの霞む視界の中に、ノアの背後に立つ男の姿が見えた。
「あなた……」
それはカンゾーの副官だった男だった。すっかり心を入れ替え、カンゾーの有能な副官になったその騎士は、あのティナのように人間とは思えない笑顔で嗤っていた。
「ああ、今の彼も有能な、主様の契約社員ですね」
そしてようやく気付く。
あの戦ったティナと言う名のメイドから聞かされたその正体。
その主であるユールシアも同じであるのなら、いつの間にか入れ替わった副官も……この目の前の少年も……
「……【悪魔】……」
「はい、ご明察です」
その会話だけを残して、大地の勇者カンゾーは、絶望するように命の灯火を消した。
ノアは、二人の勇者の絶望に染まった黒い魂と魔宝石を回収して、ニコリと、幼くも見える笑顔を浮かべて、敬愛する主の下に急ぐのだった。
ニアは、外で子供達のお守りをしております。
次回、聖女vs勇者





