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悪魔公女Ⅱ ~ゆるふわアクマ旅情~【書籍化&コミカライズ】  作者: 春の日びより
第二部 第一章・悪魔を見た夢 【現代編】
1/193

1-00 第二部 プロローグ

※ご注意

書籍版は連載時より相当な時間が経過しており、現在の私の文章力と違っておりますので、ストーリーは変わりませんが全部書き直しております。

書籍版は最新の設定を盛り込んで加筆もしており、多少設定が異なる部分があります。

 

本作は二章まで制作した同名作品のリメイクとなります。

そちらも消さずに残して欲しいとご要望があり、新しく別に書くこととなりました。

私の我が儘で申し訳ございません。

ストーリーは大幅に変わりますが、三章始まりの時点でほぼ同じになります。

では、よろしくお願いいたします。

 


 



 激しい時空のうねり、人間の魂など砕けてしまいそうな次元の奔流。

 それは何も無い空間に荒れ狂う虚無の嵐。

 その激しい渦の中で“私”は夢を見る。

 

 綺麗で優しい両親……貴族のような生活……笑顔を向ける召使い達……。

 金色の髪…黒い髪……小さな友人達。

 大きなお城……立派な王様……ふてくされた顔の小さな男の子……。

 剣を握る真っ直ぐな瞳の少年……。

 そして…

 溢れる血潮の甘い香り……。

 暗い空……暗い世界……。

 私の前に跪く、数千もの異形の化け物達……。

 四人の少年と少女……。

 巨大で……闇のように暗い、豹のような獣……。

 その瞳に映る……

 金色の猫。

 

 静かにそっと夢を見る。

 一つの大きな力が“私”を阻むように壁を作り、

 一つの大きな力が“私”を求めて呼び寄せる。

 

 誰かが呼んでいる。

 知らない声……? 知っている声。男の人……? 女の人……?

 微かに聞こえる“獣”の唸り声。

 あなたが……私を呼んでいるの?

 

 

「……あ、起きたっ」

 瞼ごしに感じる白い光に目を開けると、まだぼんやりと霞む景色の中で、誰かのそんな声が聞こえた。

 まだ若い女の人…? でも何故かとても懐かしい。

 身体がうまく動かない。ずいぶん寝ていたような気がする。

「あ、待って、すぐ起きちゃダメよ」

 身体を起こそうとする私を、その女の人が抱きしめるように押しとどめ、私の額と自分の額を合わせてきた。少し……冷たくて気持ちいい。

「うん……熱は下がってるね。凄い熱が出て昨日の朝から寝たままだったのよ。お母さん達が騒いで大変だったんだから。ねぇ、お腹は減ってない?」

「……ううん」

 小さいけど声が出た。でも少し感じが違う。熱が出たからだろうか、そう言えば病気になるなんて久しぶり……。

「そうなの……? それじゃ果物でも剥いてこようか? 何かお腹に入れないと良くならないからねっ」

 少しずつ見えてきた視界の中で、一人の女の子が私に微笑みかけていた。

 中学生くらいの……黒目で黒髪の元気そうな女の子。

 知らない人……? でも、知っているような気がする。

 

 懐かしい笑顔。どこかで見たことがあるような明るいお部屋。

 花柄の壁紙。クレヨンの落書き。カラフルな絵本。クマの縫いぐるみ。

 色取り取りの大きなクッション。小さな白い椅子と机。

 その光景に……そのあまりの懐かしさに、自分でも気づかないうちに瞳から涙が零れていた。

 

「どうしたのっ?」

 女の子が驚いた声を出して私を静かに抱きしめ、頭をそっと撫でてくれた。

 大きな手……ううん、私が小さい。

 

「怖い夢を見たのね……? もう大丈夫よ、……柚子(ゆず)……」



 

 

本日は五話ほど投稿予定です。1時間置きに予約を入れてあります。

プロローグは短いですが、次からは3000文字~4000文字前後を予定しています。

六話目からは、二日に一度の更新になりますが、余裕がある場合は前倒しで更新します。

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― 新着の感想 ―
悪魔公女、読み終えたのでⅡへお引っ越し。 柚子って事はコミック版主人公ですな。
[一言] 2回目の転生(?)か… 今更だけど、感想って書いても大丈夫? 読んでる人はたくさん居るのに全く感想がないから不安になってきた
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