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1話:美少女じゃなかったら本気で殴ってた

続け様に一話です。


「ばぁ、ばーぶー!」

「はーいよしよし、いい子でちゅねー?」

(……どうしてこうなった)

 小さなわが子をあやす女性を、私は誰かの硬い太ももの上で空虚な目で見つめていた。

 今、私の新しい母親が喜色満面で触れ合っている赤子は私の妹で、私が座っているこの硬い太ももの主は私の父親。

 ────私、なんで言葉も使えない幼児なんかになってんのかなー?




 私の名前は城崎剣。『つるぎ』と読むのだが、これは女の子につける名前ではないと思う。

 顔、ルックスは共に中の中で、顔に関しては男子寄り……というか女顔の男子とまで言われている。胸のない私への嫌味としかとれない。

 勉強や運動は上の下辺りである自信がある。普段から努力してるのもあるだろうが、血筋が一番だろう。伊達に剣道家の娘をしていない。

 そんな大体平均的な私は体質も平均的なわけで、特に幽霊や不運を引き寄せたりはしない────しない、はずだったのだけど。

「ごっめーん☆ 間違えて君のこと殺しちゃった☆」

 てへぺろ、と付け加えて白い布を見に纏い、異質な黒い仮面で顔を覆った少女が言った。顔はそれで半分くらい隠れてるけど、多分美少女なんだなーってことはわかる。小顔だし。

「……は?」

 イマイチ現状が掴めない。というか今コイツ、間違えたって言ったか? というか殺したって、誰を?

「あ、私は神様だよ。っていっても、私は『生』と『死』を司る神様なんだ。日本的な言い換え表現だと、イザナミとイザナギの仕事を一人で両方してる感じ」

「……うん、ごめん、ちょっと待って。……あの、じゃあ私は貴女に殺されたってことですか?」

「ちょっと違うけどー……あ、ごめんね、一応謝るから祟らないでくれると助かるかな☆」

 うん、祟らないからちょっと殴らせてくれないかな、この人。

「それは痛いから勘弁願いたいかなー」

「えっ」

「あ、君の心の声は聞こえてるからね? なんたって神様ですから☆」

「ちょっとじゃなくてマジで殴らせてくれないかなぁこの野郎」

 ぎゅっと右手を握り力を込めて、左手で自称死神の襟首的なものを掴み笑顔で詰め寄ると、死神は焦って私の顔を押し返してきた。地味に鼻が潰れそう。

「待って待って! 聞こえてるからってそんな直接的に来ちゃダメだって!」

「じゃあ間接的に言うね。あなたのその綺麗なお洋服鮮血で真っ赤に染めていい?」 

「ダメに決まってるって!」

 パッと私から離れると、自称死神さんは宙に指でくるりと小さな円を描いた。

 と、思ったら私の体は瞬く間に地面に縫い付けられていた。なんだろう、立とうとしているのに体が動かない。

「君が予想以上に暴れるから、ちょこっとだけ自由を奪わせて貰ったよ。……だからごめんって」

 『あれ、私被害者ですよね?』的なことを訴える目で見つめると、死神さんは笑いながらそう言った。ああ、ぜってーコイツ悪いと思ってねーな。

「とりあえず、ちゃんと現状を説明して」

「はい、ごめんなさい。だからその目をやめてもらえると助かります」

 今度こそ申し訳なさそうな感じに謝ると、死神さんはもう一度くるりと円を描き、私の体の拘束を解くのと同時に真っ白い表紙の小冊子らしきものを取り出した。……今のどこから来たんだろう。

「取り敢えず、今渡したマニュアルノートに書いてあることを読んで指示に従えば何となく理解できると思うので呼んでください」

 『マニュアルノート』と呼ばれた小冊子を開いて一ページ目を読んでみると、こんなことが書かれていた。


『貴女は生と死を司る神、ルナにより誤って現世にて送っていた今までの人生から離脱し、これより現世、地球を除く他の異世界に転生し新しい生命を得る権利を手にしました。残念なことながら地球での貴女の人生は貴女がこの空間に来た時点で幕が降りてるから強くてリスタートは不可能だよ☆』


「そこまで来たなら最後まで真面目にして欲しかったです」

 因みに強くてリスタートに関しては出来たとしてもしたくない。また後輩に刺されるのは勘弁願いたいし。

「ムツカシくて堅い言葉は苦手なんだよ〜」

 見かけだけは少女だと思っていたが、どうやら頭の中身も幼いのかもしれない。なんでこんなのが神様やってんの? 上の人疲れてるよね絶対。

「……ちなみにこの権利って捨てることは出来るんですか?」

「転生権は拒否も破棄も出来ないよー。したら地獄行っちゃうし」

「それって『権利』じゃなくて『義務』ですよね?」

 間髪入れずに突っ込むと、死神さんはニコリと笑顔を貼り付けたまま一瞬固まり、

「……気を取り直して次の説明ね。謝罪のページの次に剣ちゃんが住む世界やその世界で生活する際の種族、技巧────まあ、RPG風に言うとスキルとかの設定ができるページがあるから、選んでね」

「流しましたね」

 さて、その転生権とやらは強制的なものらしいので諦めて楽しむ方向に行くとしよう。

 ページを開いてスキル欄を覗く。あ、結構いろいろあるんだね。

「あ、そういえば言い忘れてたんだけど」

「なんです?」

「悪いんだけど、剣ちゃんが行く世界と名前、種族はこっちで決めることになっているんだー。よくあるファンタジー世界だよ。あと、容姿に関してはランダムだから、実質的に剣ちゃんが選べるのはスキルだけになっちゃうんだ。その代わりスキルの取得上限は無くしておいたからね」

「別に構いませんよ。面倒ですし、種族とかはまともなものなら」

「大丈夫、剣ちゃんが行く世界には人間とエルフ、獣人に鬼や悪魔とかの魔族と天使や神とかの神族とかいるけど、みんな普通だから」

 エルフはあれか、たしか妖精かなんかでRPGとかだと所持魔力が多くて、いろんな魔法を覚えるやつ。獣人に関しては犬耳とかケモ尻尾付いてて身体能力が高いんだよね。魔族も普通に……いや、普通かどうかは分かんないけど羽はえてて闇属性の魔法使ってくる体力とレア度の高い種族だったような。神族も同じようなものだろう。

「ちなみに剣ちゃんは神族の天使と魔族の吸血鬼のハーフだからね」

「それ属性的にアウトだろ」

 なに、魔×聖って。光と闇とか完璧に相対してんじゃん。

「容姿は属性と使える魔法や両親に引っ張られるけど、だいぶ整った顔になると思うよ。両親イケメンと美女だし」

「へー……っと、これでいいですか?」

 聞きながら小冊子に載っていたスキル一覧から必要なものを選択し、ステータスを作っていく。あ、なんかTRPGのステータス設定みたいで楽しいかも。

「うん、オッケーだよ。じゃあ今決めた設定でマニュアルノート更新するからね」

 パチンっ、と死神──たしかルナって書いてあったっけ──が指を鳴らすと、私の手にあった小冊子は光を放った。

 眩しいなー、なんて思いながら光が収まった小冊子を見てみると、真っ白かったはずの表紙は全体的に蒼く色を変え、淵は銀に染まり、そして上部には見たこともない記号が刻印されていた。

「これでマニュアルノートの更新は終わったよ。ノートの表紙に書いてあるのはアステラル語で、あっちの世界に転生すればスキルが発動して読めるようになるからね」

「そうですか。……因みに、ステータスっていつでも見れるものなんですか?」

「ああ、そうだった。そっちの説明もしておくね。ステータスは頭の中で『表示』って強く念じれば、自分にだけ見えるよう表示されるようになってるよ。ノートも同じ。あ、でもあっちの世界の人はステータスやスキルの概念はないから気をつけてね」

 なるほど、と相槌をうちながら、言われたように『ステータスよ出ろー』なんて念じてみる。気付いたら小冊子は消えていた。

「あ、これかな」

 すると、薄い青と白をベースにしたような半透明の板が目の前に展開し、色々な選択肢が日本語で書かれていた。

 メニュー欄の上から三番目、『スキル』に触れてみると、その板の上に重なるようにもう一枚の板が出て来る。パソコン風に言うと画面に新しいブラウザが重なって表示されてるような感じだ。


――――――――――


名前:ーー

Lv :ーー

・取得スキル/レベル

言語理解 S

思考能力 A

身体操作 A

魔力操作 S

炎系魔法 A>>

水系魔法 A>>

雷系魔法 A>>

植物系魔法 A>>

闇系魔法 SS>>

光系魔法 SS>>

造形魔法 SS>>

透明魔法 SSS>>

回復魔法 S>>

飛行 B

剣技 SSS>>

弓技 A>>

回避 B

変化 B

『特殊魔法』

創造魔法 Z>>


ーーーーーーーーーーー



「うん、ちゃんと更新されてるね」

 名前とレベルがないのは仕様らしい。まだ転生してないから、だそうだ。

 『>>』の記号が付いてる一部の魔法は私が選択し取得した数多くの魔法を種類別に分けたものの総称で、詳細にはもっと多くの魔法を使えるようになっている。

 魔法の種類名の後についているアルファベットはその魔法のランクを示していて、大体の段階はD>C>B>A>S>SS>SSSとなっているそうだ。Dランクはその種類の魔法を一種類もしくは全く使えない状態で、大体は『学園』に入る前の未成年がこのランクに該当する。Bランクは三種類、Aランクは五種類使えるとそれぞれ昇格する。Sランク以降は六種類以上+奥義魔法と呼ばれ、三つ存在する超難易度の魔法をどれか一つずつ習得しなければならない。だからSSSランクになっている魔法種はそれだけでその魔法を『完全修得マスター』したと言えるようになる、らしい。

 そして最後の『特殊魔法』については……私は選択した覚えがない。

「あ、剣ちゃんには選択できるものが少ない分、さっき言ったとおりスキルの取得総数の上限を開放したり、他にもノートには載ってない『特殊魔法』をランダムで付与したりしてるからね」

「へぇ……因みにこの『創造魔法 Z』って何?」

「タッチすれば詳細が見られるから、説明するより見た方が早いと思うよ」

 言われた通り『創造魔法』の欄をタッチすると、先程と同じように新しいブラウザ(的なもの)が重なるように展開し、選択したものの詳細を示していた。


ーーーーーーーーーーーーー


『創造魔法 ・rank Z』


初級創造ファーストメイク

    《アイスメイキング》

    《フレアメイキング》

・イメージしたものをそれぞれの魔法で創造し操る魔法


中級創造セカンドメイク

    《サモンズ・ドラゴン》

・体内魔力を使い、様々な種類のドラゴンを創り出して使役する魔法


    《心剣》

・多種多様な能力を持つ剣を創り出す魔法、《剣技》のランクに応じて使える能力を開放


上級創造サードメイク

    《原子創造》

・無から有を創り出す魔法


    《身体改造》

・身体の構造を一時的に変更し、類稀な身体能力を手にする


奥義創造ファイナルメイク

    《生命創造》

・《原子創造》にて創り出した《身体》に《魂》を吹き込み、生命を創り出す魔法、創り出した生命の寿命は無く、戦闘による活動停止もしくは創造主の死亡又は命令により消滅する


    《ソウルメイク》

・対象の魂が《身体》から抜け消滅した際、消滅した魂を再度組み直す魔法、《生命創造》と併用して死んだものを生き返らせる魔法としても力を発揮する


ーーーーーーーーーーーーー


「へー、剣ちゃんの特殊魔法は《創造魔法》かあ……物凄くレア度の高い魔法を引いたね☆」

「え、レア度とかあるのコレ」

 というかなんだよ《生命創造》って。完全に悪の科学者とかそこら辺のポジションじゃんコレ。あと《ソウルメイク》なんか下手すれば不老不死も夢じゃないから。怖っ。

「レア度的な概念でいうと、コレは大体六千二百七十分の一くらいの確率で出てくるんだよねー」

「うん、今まで何人の人が誤用で異世界に飛ばされたのかと思って軽く戦慄したよ」

 てへ、なんて可愛らしい笑顔(仮面つけてるから顔の半分はわからないけど)で軽々しく言うルナに更に戦慄。少なくとも六千二百七十人は間違えられたってことだから────……おい、誰かコイツを早く左遷しろ。

「まー異世界も沢山あるからね。地球に似た世界や並行世界に存在する『地球』だけでも可能性としては無限大だから☆」

「だからといって六千二百七十人(超)の人が飛ばされていい理由にはならないからねー」

 ルナの頬を軽く掴んでぐーっと引っ張ると、「いひゃいいいぃぃい」なんて間抜けな声が聞こえてきた。仮面に隠れた目に涙が滲んでいる姿が容易に想像できる。

「聞きたいことはそれだけです」

 ぱっと頬から手を離すと赤い跡が付いていた。やりすぎたかな。

「うぅー、じんじんする……。……えっと、それでは今から剣ちゃんを異世界────アステラルへと飛ばします。ここへはステータスメニューの一番下、『ログアウト』を選択すれば来れるからね。でもその間の時間は十分の一になって現実世界で経過して、剣ちゃんは気絶状態になっちゃうから気を付けて」

 ルナから最後の説明を言い渡され、少しだけよく分からない既視感のような物に襲われた。

 『アステラル』って、何処かで聞いたような……?

「もう来る気はないから大丈夫」

「ええっ!? 来ようよ! この空間あんまり神様たち来ないし暇なんだよー!」

 いや『暇』って。仕事しましょうぜ死神さんよ。

「……たまに来ます。二年に一度とか」

「ほんと? ほんとだね!? 来なかったら召喚するからね!?」

「はいはい……いいから早く送ってくれませんか?」

 「やった!」なんてはしゃぐルナを見て、なんでコイツ死神なんかやってんのかなーとか関係ない事を考えていると、自分の身体が白い光に包まれているのに気付いた。あんまり眩しくないのが面白い。

「あ、最後に一ついいですか?」

「なになに?」

「『神様』にも魂ってあるんですか?」

「それはアステラルの話? それとも私のこと?」

「両方で」

「えーと、うん。一応両方共魂はあるよ」

「そうですか、ありがとうございます」

 よーし、ならこの死神をアステラルだかエステだかで現世に召喚する事も可能なわけね。覚えとこう。

「それじゃあ、いってらっしゃーい☆」

「……行ってきます」

 その言葉を皮切りに、私に意識が薄れていくのが分かった。





「だぁだー、まーまー」

「そうよ、ママだよー」

(そして今に至る、と)

 硬い太ももの上で私は考える。

 いやさ、まさか赤ん坊から強くてニューゲームとか想像出来ないでしょ。あの野郎説明忘れてたな。

 気付いたら私は何処かの家のベットに寝かされていて、なーんか身体動かないなあ、なんて思ってたら実は赤ちゃんでした、と。色んな意味で挫折したわ。

 私がこの世界────アステラルに転生してから約一年が経過し、わけも分からず一日の大半を思考・情報収集(動けないので聞き耳を立てるだけ)・そして寝るにつぎ込んだ結果、私はあの空間で感じた既視感の主に気付いた。



 ここ、生前の私がやってた乙女ゲームの中だわ。


 しかも名前から考える限り、私どのルートでも絶対死ぬ悪役令嬢じゃねぇか、と。



「おや、ツー、ママをミーに取られてご立腹かい?」

 私が難しい顔で考え事をしていると、私の頭を撫でていた父親────ルシア・ソードガルフがイケメンフェイスを引っさげてそう言った。

 ツー、というのは私、ツルギ・ソードガルフの愛称で、ミーは妹、ミルア・ソードガルフの愛称。

 この世界でも私(♀)に『ツルギ』と名付けた両親に前世と同じような事を考えながらうんざりしたのは言うまでもなく。というか名字が『ソードガルフ』で名前が『ツルギ』って、なんだか凄い「剣」を推してるなーなんて思ったりもした。私言うほど剣好きって訳じゃないんだけどな。使いやすいけどさ。

「あら、ツーちゃんすねてるの? ふふ、可愛いわねぇ」

 と、一旦ミーをメイドさんに預けて私を撫でてきた母親────アンジュ・ソードガルフとルシアをじっと見つめてみる。

 ルナの説明通り、ルシアは魔族の吸血鬼で目は紅く八重歯がチャームポイントのイケメンさん。今は隠しているらしいがちゃんと翼もあるらしい。髪は黒くショートで大人の色気? のようなものを出しているのが子供ながらわかった。

 アンジュは天使らしく目は白に近い金色で、髪は薄茶色。光の加減では金にも見えなくもないかな。天使というよりは、聖女みたいだ。亜麻色の髪の少女みたいな。エルフの様に耳が少しとんがっているのがチャーミングで、こちらも贔屓目無しに美人である。

 あれ、あなた方スペック高すぎやしませんか?

「どうしたんだい、ママの顔とパパの顔を交互に見て。お腹でも減ったのかい?」

「……」

 なにやら変な誤解を受けたが確かにお腹は減っているのでこくりと頷いておく。

 すると二人は顔色を変えてメイドさんに超キラキラした笑顔でこう言った。

「「ツーが言葉を覚えた!」」

 いや、まだ喋れないから覚えたわけじゃないけど。

「凄い、凄いわツー! パパに似て頭がいいのね!」

「いいや、この物覚えの良さはママ譲りだよ!」

 ……どうでもいいですけど我が子をダシにしてイチャイチャするのやめてくれません? ほら、ミーなんて不機嫌そうで、今にも泣き出しそうじゃないですか。

「……だーぅー……」

「……うー」

 ハイハイでミーをあやすメイドさんに近付き、頭を撫でてあげる。するとどうでしょう、あんなに機嫌が悪くイライラしていたミルアさんは瞬く間に笑顔になるではありませんか。

「流石ねツー! あまり人に懐かないミーを手懐けるなんて!」

 手懐けるって、娘にそれはないでしょうアンジュさん。

「お嬢様、流石ですね」

 そんなふうに言いながらメイドさんが私の頭を撫でてくれた。すると私とメイドさんを見て真似をしたのか、ミーも私の頭に手を伸ばして不器用に撫でてきた。……むむ、ちょっと嬉しいかもしれない。

「きゃー! ミーが! ミーがツーを撫でたわよ! ユリ、今すぐカメラ持ってきてぇぇぇっ!」

「はい、こちらに」

「!?」

 室内に居た二人のメイドさんのうち扉付近で待機して『ユリ』と呼ばれたメイドさんは一瞬のうちにその手にカメラを持って近付いてきた。……今、この人何処からカメラを取り出したんですか? ちょっとカメラ回ってませんでしたかね? 私としては自分が撮られるより彼女を録っていて欲しかった。カメラ嫌いだし。

「ツー、ミー! こっち向いて! いくよ、はい、チーズ」

 パシャパシャパシャパシャ。

 笑顔でカメラのシャッターボタンを高橋名人顔負けなくらいの速度で連打する母を見て、私は軽く引いた。

 後からこの時撮った写真を見せてもらったけど、私の顔は本気で微妙な顔をしていた。


説明会のつもりでしたけど、わかりづらい気がします……。

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