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プロローグ:後輩に躊躇はありませんでした。
なろうで初の長編投稿です。頑張らせていただきます。
プロローグ
「剣先輩、ごめんなさい」
ぐっさー。
本当にそんな軽い感じで、仲の良かった部活の後輩に刺された。
手に持ってるのは実家の道場に飾ってある居合刀で、結構名のある名匠が打ったという名刀は現在進行形で私の鳩尾あたりを突き刺していている。それなのに私はそこから流れ出る血を見ながら、何故か冷静に「あー、私死ぬのかー」みたいなことを考えていた。不思議とそこに後輩への恨みとか憎悪とかはない。人はいつか死ぬんだし、それが速まっただけだ。ちょっと、というかかなりいたい死に方だけど。
「剣先輩のこと好きすぎて、ちょっと赦せなくて」
はにかみながらそういう後輩。あれ、貴女私と同性ではありませんでしたっけ? 私にそういう趣味は無いはずですが?
「剣先輩は私のモノになるんです……」
いえ、死ぬのでそれは無理です。
薄れゆく意識の中で最後に見たものは確実に病んでる後輩の目で、最後に感じた感触はぬるりと口内に入ってくる後輩の温かな『何か』だった。
主人公(死体)は美味しく頂かれました。