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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第一章:固定された世界

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番外編:終焉の観測者

今回はノクス視点の番外編です。

“終焉”という存在が、何を見ているのか――少しだけ触れる回になっています。


本編とは違う角度から、楽しんでいただければ嬉しいです。


世界は、脆い。

あまりにも、簡単に壊れる。

触れれば終わる。

それが“理”だ。


――俺は、それを知っている。


初めから、そこにいた。

時間も、場所も関係ない。

ただ、“終わり”として存在する。


名前など、どうでもいい。

だが、あえて呼ぶなら――

ノクス。

それでいい。


人間は勘違いしている。

終わりを“恐れるもの”だと。

違う。

終わりは、必要なものだ。


腐ったものを、切り離す。

停滞を、壊す。

進むために。

「終焉」は、ある。


だが、あいつは、違った。

クロエ。

あのガキは――“終わり”を拒んだ。


「やだ」

最初の言葉。泣きながら、否定した。

普通なら、壊れる。

受け入れられず、潰れる。

だが、あいつは、違った。


「消したくない」


笑える話だ。

終わらせる存在が、“守る”なんてな。

矛盾している。

本来、あり得ない。


だが――

「いいねぇ」

俺は、それを否定しなかった。

むしろ、気に入った。


変化――それは、“終焉”の対極にあるもの。

だが、あいつは、それを内包した。

終わらせながら、繋ぐ。

壊しながら、守る。


そんなもの――存在するはずがない。

だからこそ、面白い。


セレナ・アルヴィス。

あれもまた、例外だ。

観測者。感情のない装置――そのはずだった。


だが、クロエに触れて、壊れた。

いや、“変わった”。


「クロエ」

名前を呼んだ瞬間。

あれはもう、別物だ。

観測者じゃない。

ただの“個体”だ。


「守る」

そう言った時点で、完全に逸脱している。


そして――

ノクティア。

あれは、危険だ。

観測装置――そのはずの存在。

だが、“選択”を口にした。


それは、禁忌だ。

観測は、記録であるべきだ。

干渉してはならない。

それを、破った。

つまり――あれはもう、“外側”に触れている。


世界が、揺れている。


セラフィム。

あれはただの装置だ。

均衡を保つための。

だが、均衡なんてものは――壊れるためにある。


クロエが、それを証明する。

セレナが、それを広げる。

ノクティアが、それを加速する。


いい構図だ。

実に。

俺は、観ている。

介入はしない。

それが、ルールだ。


終焉は、“結果”であって“過程”じゃない。

だが、例外は、ある。


もし――あいつが、クロエが――

完全に道を見失った時。

その時は。


「終わらせてやる」


優しさでも、慈悲でもない。

それが、“役割”だ。


だが、今は違う。

まだ、途中だ。

まだ、“選んでいる”。


だったら。

結末は、見届ける。

どんな形であれ。

終わりは、必ず来る。

だが、その“終わり方”は――あいつらが決める。


ノクスは、静かに笑う。

黒が、揺れる。

「いいねぇ」


小さく、呟く。

「最高の物語だ」


それは――

終焉の存在が、初めて抱いた――

“期待”だった。


番外編をお読みいただきありがとうございます!


ノクスの視点を通して、クロエたちの“異質さ”がより浮き彫りになった回でした。

物語の裏側として、今後にも繋がる内容になっています。


面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

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