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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第一章:固定された世界

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第13話:観測の上位

第13話です。


観測の上位が、降りてくる。

――それでも、抗う。

空が、静かに裂ける。

戦闘の余波ではない――“意図的な開放”。


セレナの表情が変わる。

「……この波長」


クロエが空を見上げる。

「またあいつら?」


セレナは首を横に振る。

「違う」

短く、重い声。

「もっと上」


その瞬間、空間が完全に“開いた”。

白でも黒でもない。

無色の存在――

そこから、何かが“降りてくる”。


音はない。

衝撃もない。

ただ、世界が“従う”。


クロエの背筋に、冷たいものが走る。

「……なに、これ」


ノクスが初めて沈黙する。

「……冗談だろ」

低く呟く。

「上位権限……直接介入かよ」


現れたのは――人の形をした存在。

だが、人ではない。

顔も感情も曖昧。

ただ、“機能”だけがそこにある。


「識別」

無機質な声。

圧倒的。


「対象:黒翼契約者レイヴン・バインダー


クロエが構える。

黒翼が反応する。

だが――動けない。


「対象:逸脱個体セレナ・アルヴィス」


セレナの足が止まる。

「……これは」

理解している。完全に。

「最上位観測体」


クロエが振り向く。

「なにそれ」

セレナは絞り出すように言う。

「……セラフィムの“核”に近い存在」


ノクティアが静かに前に出る。

その動きに、“それ”が初めて反応する。


「……観測補助機構オラクル・ユニット

一瞬の間。

「異常進化、確認」


ノクティアの瞳が光る。

「……進化ではない」

はっきりと。

「選択」


空間が歪む。

最上位観測体がわずかに揺らぐ。


「……不正」


その一言と同時に圧が降りる。

膝が沈む。クロエが歯を食いしばる。

「……っ!!」

抗えない。それほどの差。

セレナも動けない。


だが――

「……違う」

小さく呟く。

「私は……もう、従わない」


光が爆ぜる。

白翼顕現セラフィック・ウィング


だが、押し返せない。


その時、クロエの中で何かが弾ける。

――思い出す。

消えた世界。消した自分。


「……やめろ」

小さく、だが強く。

「もう……奪うな」


黒翼が暴れる。

だが崩れない。制御されている。

「守るって決めたんだ」


一歩、踏み出す。

あり得ない動き――最上位の圧の中で。


「……観測外行動」

初めてのズレ。


ノクティアが羽ばたく。

「分岐、強制生成」


未来が割れる。

複数の可能性が同時に存在する。

最上位観測体が揺らぐ。


「……処理不能」


クロエが笑う。

「いいね、それ」

黒が収束する。

過去も今も、全部抱えて。

「終わらせる」


セレナが隣に立つ。

今度は自然に。

「……共闘」

短く、だが確実に。


二人の力が重なる。

白と黒。

そして――観測。


ノクティアが静かに告げる。

「……選択、確定」


その瞬間、世界が反転する。


クロエが踏み込む。

「――終焉一閃ラスト・レイヴン

セレナが重ねる。

断罪執行ホーリー・ヴァーディクト


光と闇、交差する。

さらに――

「分岐収束」


ノクティア――三つの力が完全に一致する。

一撃、最上位観測体に直撃する。


空間が崩れる。

「……あり得ない」

初めての“否定”。

その存在が後退する。


完全ではない。

だが確かに、“押し返した”。


静寂。

クロエは息を切らす。

「……今の、効いた?」

ノクスが笑う。

「効いたな」


セレナも息を整える。

「……だが」

その視線はまだ空へ。


最上位観測体は消えていない。

ただ――

「……撤退」

その一言で空間が閉じる。静かに、完全に。

去った。


沈黙。

クロエは座り込む。

「……マジでなんだったの」


セレナは空を見つめたまま。

「……本体に近い存在」

小さく。

「まだ、上がいる」


クロエが笑う。

「最悪じゃん」

だが恐れはない。


ノクティアが静かに降りる。

「……変動、拡大」


その言葉が意味するもの。

世界は、もう止まらない。


セレナがクロエを見る。

「……行く?」

クロエは立ち上がる。

黒翼が静かに広がる。

「行くしかないでしょ」


二人は並ぶ。

その先へ――

まだ見ぬ“上”へ。

物語はさらに加速する。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

“上位”すら、絶対ではない。

選択は、世界を越える。

続きが気になったら、

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