プロローグ~船出の朝に~
著:雪代 真希奈
(前作『Valkyrie Aile-繋ぎたい手と手-』及び前々作『Valkyrie Panzer-守りたい笑顔-』の著者『まきずし』と同一の著者でございます。ご了承ください)
兵器監修:シロクマ
読んでくださる皆様へ
はじめましての方ははじめまして。
以前から読んでくださっている方はお久しぶりです。
雪代 真希奈です。また皆さんと作品を通してお会いできること、とても嬉しく思っております。
さて、読んでいただく前に、いつものように下記の注意事項をご確認いただければ幸いでございます。
・この物語はフィクションです。実在の組織、史実の出来事、実在の人物などの描写が含まれますが、現実のものとは一切関係はございません。
・この作品は著者のオリジナル作品になります。作品の無断転載、無断での売買など、著者が著しく不利益を被ることはご遠慮ください。
・このお話は、一部、史実の出来事や、その中においての逸話を参考に制作している部分がありますが、歴史上の出来事の全肯定、あるいは全否定や、当時の思想等に傾倒する意図はまったくございません。読者様方はそのことをよくご理解の上で、あくまでも創作物としてご覧いただけますよう、お願いいたします。
・この物語は実在の兵器の名称が用いられているものとなりますが、各兵器の情報は2026年2月17日現在の情報を元に制作しております。そのため、今後ご覧になる方々には、見ていただいた時間及び時代によっては異なる記述となる場合がございます。そのため、このお話の記述は、あくまでも制作時点においての情報としてお楽しみいただければと思います。
・この物語における兵器の情報は、基本的な部分は監修者のアドバイスに従っているため、非常に正確と言える情報となっておりますが、物語の性質上、筆者の考える想像に沿った描写がございます。その点、ご了承いただければ幸いでございます。
・この物語『Valkyrie Ocean-進みたい未来-』は、前々作『Valkyrie Panzer-守りたい笑顔-』より始まった『ヴァルキリー三部作』の三作目で、前作『Valkyrie Aile-繋ぎたい手と手-』の時代から数えた未来のお話になります。
前々作及び前作をご存じであれば、さらに楽しめるであろうものとなっております。ぜひ、ホーム画面より、併せてご覧いただければ幸いでございます。
最後に、私の一身上の都合もあり、続きを投稿させていただくのが遅くなってしまう可能性もございますが、どうか、温かい目でご覧いただければ幸いでございます。
では、お話の方、ぜひお楽しみください。
「…エリスさん、起きて。朝ご飯できてますから。」
…声と共に、優しく私の体が揺れる。
---私を安心させてくれる、心地よい声。
起こそうとしているとはいえ、無理やりではない、私を気遣ってくれていることがわかる揺さぶり方。
私は、本当ならばまだ微睡んでいたい中、それに抗うようにゆっくりと目を開く。
---今、私に呼びかけてくれている、最愛の人の声に応えるために。
「---おはようございます、エリスさん。」
---目を開けた瞬間飛び込んできたのは、笑顔。
先日、学園を卒業し、出逢った時よりもだいぶ大人びたものの、7歳上の私にとってみれば可愛らしくもあるその微笑みの真ん中にある、深みを帯びたルビーの瞳。
東の窓から指す太陽の光を受けて、彼の綺麗な白銀の髪が虹色に彩られ、私にもっと見よとばかりに煌めいている。
…付き合い始め、いろいろなことを乗り越え…そして私が学園を先に卒業し、一緒に暮らすようになってから、ずっと見ているこの景色。
彼の笑顔を見るのが、今の私の一番の楽しみになっていた。
「---みぃ君、おはよう。悪かったわ、今日は私も早く起きなきゃいけなかったのに。」
私が謝ると、彼は笑顔で首を振って言う。
「気にしないでください。…僕がエリスさんの寝顔を見たくて、早く起きただけですから。」
…もう。
あんなに引っ込み思案だった彼が、そんなことを恥ずかしげもなく言ってくるなんて。
そんなことを思いながらも、それは私もよね、と思う。
だって、7年前に彼と出逢わなければ、私が幸せだと思うことなんてなかったはずだから。笑顔なんて、私にとって無用の長物でしかなかったはずだから。
「---さぁ、顔を洗って着替えたらご飯にしましょう。早くしないと、次に来る島への連絡船は3日後になっちゃいますから。」
…そう。
私たちは、今日、社島を出る。
この島しか知らない私が、未だ見たことのないものがたくさんある大海原へと漕ぎ出して行く。
---彼と一緒に。
彼が認めてくれた、何のしがらみのない、私自身として生きるために。
そのために私は、この島や学園の設備の充実や多くの島内施設の経営のために多大な出資をしている名家、峰風家の経営する企業の社島支店に入ることで、彼の学園卒業…大学部課程の修了まで島にいられるように、そして彼の卒業後、彼がどう生きると決めても彼と一緒に生きられるようにするために、島から出ること、島に残ること、その両方を選ぶことのできる選択をした。
「---うん、ちょっと待ってて。すぐ着替えてリビングに行くわ。」
彼が、「わかりました、待っていますね。」と言って、寝室から出ていく。
…さて、早く行かなければ。
そう思いながら、私はいそいそと着替え始める。
そんな中で、私---鶴城 エリスは思い出していた。
…みぃ君。
---暮館 湊。
私の愛する人、私の一番信頼する人。
私を好きと言ってくれた人。一緒に生きていきたいと言ってくれた人。
そんな、彼との出逢い。
彼と出逢ってからの日々。
その中で起こったこと。
その中で、
自分に、
彼に、
友達に、
世界に…
そして---前は私の絶望の象徴としてあり、そして今は希望の象徴となった、曾祖父と曾祖母に約束したことを---




