ファッションショー開幕
「ひばり〜〜〜」
改札を出たところで、声を掛けられた。
振り返ると、さくらねえ。
どうやら同じ電車に乗っていたようだ。
一緒に歩いて帰る。
駅からの道は街灯があるが、人通りはまばら。
そんなに遅い時間ではないが、
一人よりは二人の方がいい。
「ただいま〜」
「ただいまー」
「おかえり〜、二人一緒なの? ちょっと来て」
リビングからママの声が聞こえた。
さくらねえと一緒にリビングのドアを開けると、
なぜかママがドヤ顔で仁王立ちしていた。
両手にひとつずつ、紙袋を持っている。
「ばば〜〜ん!」
両手を、アタシたちに突き出した。
突き出された紙袋には、
アタシの好きなブランドロゴが入っている。
「これからの季節に合うかなと思って買ってきた」
(どうした、ママ。変な物でも食べたか?)
とりあえず、ありがたく受け取った。
「ちょっと着て見せて」と言われたので、
アタシたちは部屋で着替えることにした。
(……良いんじゃない)
全身鏡の中には、
流行を追っていないデザインのワンピースを着た
アタシがいた。
部屋を出る。
同じタイミングで、さくらねえも着替えて出てきた。
「おい、マジかー」
思わず口から出た。
目の前に、髪が長くなったーー
アタシがいた。
「あら、ペアルック」
さくらねえは、なぜか嬉しそうだ。
「ちょっと、ママー」
リビングのドアを開けた瞬間、
アタシの言葉――いや、正確には呼吸が止まった。
(おい、マジかー)
目の前に、四半世紀未来のーー
アタシがいた。
しかも、ドヤ顔で仁王立ちしている。
「二着目30%オフ、三着目は半額だったのよ。
すごいでしょ!」
(同じ服を三着買うって、ひくわー)
「ありがとう、ママ」
この一言を捻り出すのに、少し苦労した。
みなさん、こんばんは。
お買い物上手の小鳥遊ママです。
三着目半額だったから三着買って
売り上げに貢献したのに、店員さんたら
「ホントに買うんですか?」って
念押しするのよね。
お店は儲かる、娘たちは喜ぶーー
これって一石二鳥って言うのかしら。
さて次回 ep8をご案内しますね。
「ファッションショー閉幕」
今回が開幕で次回が閉幕ーー早過ぎない?
2026年5月13日(水)公開です。
また来週、お会いしましょう。




