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これから敬がケーニッヒとなる世界は、かつて魔王によって滅ぼされかけ、その時、彼の祖父が召喚されて、それを一度救ったのだという。
しかしながら、魔王は死ぬ間際、全世界へとその憎悪を撒き散らし、男は生まれにくく、尚且つ性機能がほとんど無くなってしまったのだとか…。
そのせいで、現在魔族という存在は蛇蝎のごとく嫌われているらしい。
…まあ、心の痛む話だが、それはそれとして、この女神はその対処策を敬の祖父に託したのだとか…。
流石に魔王の最期のそれをあんなにも間近で喰らえば、死んでしまうのは目に見えているからと、異世界から召喚された者のそんな末路はあんまりだと、それに抗う力を与えることでそれを防がせた。
そして、魔王の存在が喪失し、凱旋後、女神は祖父に何人か子供を残すよう伝えたのだが、武人気質であり、女遊びなど毛嫌いする気質のあった彼はそれを拒否し、迎えに来た元の世界の神に連れられて、帰ってしまったのだと…。
その結果、現在の男女比はだいたい1対200という惨状になっているらしい。
「…えっと…つまり…。」
「うん!要するに魔王とあのジジイが悪い!」
「……。」
「…せっかく守ってあげたってのに…まったくあのジジイが…。」
ぷんぷん!
という擬音が適当なほどにその怒った様子も、優れた容姿ゆえ愛らしくあり、思わず微笑みが浮かびそうになる敬だったが、現実問題、若かりし頃の祖父の軽弾みな行動から、世界の危機というやつになってしまっていると聴くと、やはり心が痛む。
「…それで僕にどうしろ…と…。」
「?そんなの決まってるじゃない。ウフフフ…これよ、これ♪」
彼女は下ネタ好きのオヤジのごとく、左手の親指と人差し指で輪っかを作り、右手の人差し指を抜き差しをしてくる。
それは男女問わず明らかなセクハラ行為であり、彼の周りにはそんな人物がいなかったからか、即座には理解できずキョトンとしたのだが、彼女の「じゅっぽじゅっぽ。」なる擬音表現にさらなる疑問符を頭に浮かべた後、ようやくそれを理解すると顔を真っ赤にした。
「なっ…なっ…なっ…。」
「あれ?アハッ♪すっごく顔真っ赤かわいい♪初心なんだ♪やっぱり初心なんだ♪もう食べちゃいたいくらいかわいいぞ♪ほれほれ♪」
すると、彼女はようやく理解できて偉いねと半分馬鹿にしたように敬のことを抱きしめ、子供扱いし撫で撫でを繰り返した。
まあ、実年齢からは言うまでもないことだが、端から見ても、それは言葉通りである。
敬は年齢の割に幼い顔立ちであり、体躯もやはり小柄なきともあり、小動物的な需要があった。
敬が性的なことに疎いのは、そんな小動物に対して、余計な性知識を与えようとする者がいなかったから。…いや、いたにはいたのだが、それらはみんな誰かしらに駆逐されていたのだ。
ゆえに、これは紛うことなく、【子供にセクハラするお姉さんの図】である。
「…っと、冗談はこれくらいにしといて…。ホントお願い!ちゃんと不自由しないくらい身分も高いところにするし、け〜くんって、剣が好きなんでしょ!なんならチートもつけちゃうよん♪」
「…チート?というのはよくわかりませんが、剣に関することは余計なことをしないでください。…でも、わかりました。お引き受けします。身内の不祥事ですし…。」
「うん、それじゃあ、赤ちゃんからだけど、頑張って子供い〜っぱい作ってちょ!すぐ子作りできるようにしてあげる!」
「ちょっ!?」
流石にそれは…と、敬が口にした結果、そちらの世界で精通するらしい15くらいまでの猶予をもらえることになった。
それまでは自由にしていていいとのこと。
そう史上最強にして最恐最悪の大帝国の第一王子として…。