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この物語は読む人によって印象やイメージが変わるような作品になってます。
あなたの思う物語はどんな形でしょうか?
一昔前の携帯電話もない時代、小学生高学年の私は朝早くから起きて年賀状をまだかまだかと郵便受けの前で身体を震わせ待っていた。
今にも雪が降りそうだ。
かじかんだ手を温めてると、道の角から郵便局のバイクがこちらに向かってきた。
私は郵便屋さんに向かって大きな声で挨拶すると、郵便屋さんも私を見てニコッと笑い、表札の名前と年賀状の名前を確認して挨拶をして年賀状を手渡してくれた。
私は郵便屋さんにお礼を言って受け取り、家の中に入った。
居間のこたつに入り家族の分と私の分を振り分けて一通ずつ内容を見始めた。
クレヨンで大きく『あけましておめでとうございます』と書いてあったり、家族で撮った写真を糊付けして貼ってあって一言添えられたり、達筆なのかとっても下手っぴなのか分からない文字を筆で書いたりと新年の挨拶は人によって様々だった。
その中で一枚だけ、心当たりはなかったけれど私の名前が書いてあったので文面を確認してみるとそこには何やら悩みが書いてあった。
『噂話だろうけど、名も知らない貴方に私は悩みを書いてみます。私は今会社に勤めていて、上司から嫌がらせを受けています。ずっとこのままで仕事がつらいです。新年に書くことではないですが、仕事をやめるべきなのでしょうか?』
違う誰かに送ってる年賀状だろうけど、明らかに私の名前と住所が書かれている。
不思議に思ったけど単なる書き間違えだと思い、見終わった年賀状を輪ゴムに束ねてる間に、体が温まってきてこたつでそのまま眠っていた…