森林の騎士②
…どうやら、まだ話は続くらしい。
朝食の間、剣匠は、よく喋った。僕はよく喋る男は好かない。
だが、食事を馳走してくれるのなら話は別腹です。
僕は食事に集中するから、好きにしゃべるがいいぞ。
鷹揚な気分で席に着こうとしたら、料理人に着替えて来いと言われた。…一旦扉を閉め、仕方なく急いで寝巻きから着替え、ついでに顔を洗って、再び扉を開けたのは1分後だ。
これでも僕は味の分かるエルフだ。
料理は出来た瞬間から美味しさが失われていく。
そして、食事に関しては素直に料理人に従うが、美味しく食べるコツなのです。
それなのに何故か料理人に溜め息をつかれ、髪を解かされながら、しばらくお預けを食らってしまった。
髪を解かされてる間、料理の美味しさが失われないかとヤキモキし意気消沈した。
髪は生きてる以上、どうしても伸びてしまう。
しかも僕の髪は、魔力と神気が宿っているそうで、適当に切って放置も出来ないし、おいそれと燃やすことも出来ないから、面倒で普段そのままにしてあるのだ。前にあまりにも長くなり過ぎて鍛治するに鬱陶しくなり、切って窯に焚べたら魔力と神気の大奔流が津波のように森林を呑み込みエライことになった。
…やれやれ。
しかし、どうやら僕の杞憂だったらしい。
その僕に費やした時間さえも料理人の計算内だったらしい。
うんうん…相変わらず料理人の料理は絶品だ。
料理より平穏を選んだ僕だが、料理の方から食べてくれと言って来るのなら、嫌やはない。
森の中、木漏れ日と小鳥の囀りの中での絶品の食事。
うん、…僕、生きてて良かったなぁ。
今日は料理を味わいながら、生きてる喜びを噛み締めた。




