24節 アマちゃん
揺れ動く炭鉱。体の芯まで震わす衝撃。
やがて収まり、少女はゆっくりと目を開ける。
あたりを見れば、自分たちが生きていることに安堵する人々の姿。
そして次に感じたのは、自身を抱き抱える、温もりと、赤く滴る汗。
「え……あ……あぁ……」
顔を上げ、視界に入ったのは、全ての爆発を一身に受け、抑えた、傷だらけの赤髪のお姉さん──フラムの姿。
「な……なん……なん……」
「はー……くそっ。……本当最悪だよ」
少女の無事を確認し、フラムは体を傾かせながら立ち上がる。
先ほどとは違い、その表情には余裕が無い。
「な……なんで……なんで……」
「なんでもクソもねーよ。てか理由なんてアタシが知りたいわ」
勝手に動いた自分の体に、フラムは怒りを覚えながらも前へと進む。
だがその足取りは、フラフラと揺れており、とても頼れる様なものでは無い。
(あー本当……なんでこんな変なんだ)
フラムが考えるその最中、目の前の機体、小型ミサイルを放ったエッグプラントから、無線機越しに声が聞こえてくる。
『クククク……あはははははハハハハハハハ!!!』
「……」
嘲笑。その笑い声に、炭鉱内の全員の注意が向いた。
『なんだ!! まさか、まさか人質作戦が有効だとは!! ……ククク……所詮、アマちゃんの集まりか……!』
「「「!」」」
言い終え、再びプリディスアはミサイルを人質に標準を合わせる。
『ん?』
打つ瞬間、機内にある無線機が鳴る。
取って聞けば、それは先ほど人質作戦を進言した分隊長の声だった。
「なんだ」
『お、お待ちを! ミサイルの標準先には、我々もいます!! どうか少しばかり時間を!!』
「ダメだ。このまま打つ」
『そ、そんな……何故──』
「貴様らの避難を待てば奴に猶予を与える。それは致命的だ」
『そ、そんな……。お待ちを! どうか──』
「切るぞ」
無慈悲に無線の電源を切り、再度標準を人質へ。
「まずは……左腕からだな……」
立場逆転。獲物を狙うプリディスアは、再びミサイルを射出する。
「……舐めんな」
負けじと、フラムが魔法を展開──
『良いのか!? 爆発に巻き込まれて、他の者たちが死ぬかもしれんぞ!?』
「──ッ」
躊躇い、再びミサイルが着弾するからその瞬間、フラムの左腕がギリギリ間に合う。
またしても複数の爆発を抑えこんだフラムは、しかし、反応が遅れたことにより十全な対処ができず、左腕が機能不全に陥ってしまう。
「まずは左腕制圧……!」
再び、プリディスアはミサイルを射出。
今度こそ上手くやろうと動くフラムだが、しかし体のダメージで上手く動けず、今度は左足にダメージをもらい、動かなくなる。
『左足制圧、そして左半身制圧!!」
湧き上がるプリディスアの嬉々とした声と裏腹に、その他の者は全員が恐怖に顔を引き攣らせる。
そしてそれは、フラムも同様だった。
(コレ……マジでヤバいかもな……)
出血多量に半身不随。
普通であれば死に直結する怪我も、かろうじて自身の魔力で補っているこの状況。
何とか攻めに転じようとも、しかし人質に加え怪我の損傷が激しく行動に移せない。
(クソ……なんで……何やってんだ……アタシは……)
『発射ーーーッ!!!』
巡りゆく思考の中、プリディスアから三発目が打たれる。
死が目前に迫ったその瞬間、フラムの視界に入ったのは──
「──!!」
魔法も、何もできない一般人。自分を窮地へと追いやった原因。
──青い髪の少女だった。
読んでいただきありがとうございます。
面白いと感じて頂けたら、ブクマ、感想、評価の方よろしくお願いします。




