認めましょう……前向きに考えたらプラスですわー!
「まぁ、話をまとめますとキサルピナ嬢は蛮族の良いところの人間で公爵家……エリーゼ公女殿下に重用されており王都でも強さがわかるほどの人物になっている、それで目立っても問題はない。そして公爵家が蛮族の人間を学院に送り込んでいるが今年だけは何らかの理由があって送っていない、だが蛮族の王都流入は増えており、そのうえ公爵家寄り。大族長と関係のある公爵家はその役職を兼任するかその上位にいる。ロバツ王国国境の山に大量の反公爵派閥と軍や騎士団の現体制……国王陛下ではありませんよ?それに反対している人間が流されている、そして公爵家からは購買は減っているが売りだけは増え続けている。この辺ですかね?」
「まぁ、そうですわね……それで?」
「あとはその左遷先が蛮族領域に近いことですかね?あわよくば死んでくれと言う場所ではありますが、ここまでやって連中が蛮族と手を結んだら計画はご破産ですからね。そちらの蛮族が降っているか、もしくは公爵家が蛮族そのものか……ですかね?」
ですわね。まぁワタクシ的にはこの国のほうがよっぽど蛮族な気もしますが、ワタクシもあちらもこの国も蛮族ですわ。
「総合的に考えると、近々騒乱が起こると考えてもよろしいかと。今年の入学が少ないのは……新入生の蛮族では立ち回れないとのご判断では?」
まぁ……計画が読まれるとしたら宰相かと思いましたけど……宰相も此方側になり公爵家派閥でも薄々感づいているものもいるなかでこうも筋肉だけで詰めてくるとは思いませんでしたわ。
派閥でも公爵家が蛮族を抑えていることを知っている人間はいない、せいぜい遠征について行ったワタクシの親友たちだけ。無理やり連れてった?ピクニックでしたわ。
ま、漏れない計画も全てが成功する計画もありませんわね。致し方ありませんわ、認めましょう。
「そうですわー!今年はあくまで布石!来年は蛮族の入学を戻して下地を整えたかっただけですわー!思った以上に激動すぎてこれなら入学させておいても良かったですわね」
おそらくワタクシに注目が集まるからあえてズラしたんですけどね、翌年は1年ずらした蛮族を一気に送り込んでこの年次以降完全にを牛耳ってやるつもりだったんですけど。
勝手に第2王子を筆頭に落ちていきましたからね、これじゃ普通に入学させても良かったですわ。
やっぱり……アーデルハイドも第1王子もいないとこんなものなんですわね……。
「お認めになられてもならなくても関係ないんですがね、私はあなたに寝返りたくて仕方がないのですから」
「それは保身ですの?」
「先程述べたように私の美意識があれに仕えることを許さないのが一つ、もう一つは……そうですね、どうせ仕えるなら私の美意識の赴くままに仕えたい……もう能力もなく尊敬できるところもなく部下を部下とも思わぬ愚物の下にいるのはもう懲り懲りです。国王陛下は部下には報いてくれる方ですがね、視野が少しだけ狭く短絡的なだけで……本当にもう少しだけ視野が広ければ良いのですがね、まぁ父親が毒殺されただけあって公爵家を憎む気持ちはわかりますが先に手を出したのは王家なのだから度量くらいは示してほしかったですね。その御蔭で父のようなヤブ医者を王宮医師団統括にする羽目になったのに、それを使って反対派の毒殺に走って王家自体の信望をわざわざ下げているんですからね。ん?これじゃ1つ目とほぼ同じですね……次代が駄目だということを言葉でごまかしてるだけですね。まぁ、いいでしょう。疑わしいのならこういうのはどうでしょう?公爵家よりも次代の王に仕えたほうが公爵派閥よりは優遇していただけるでしょう?なんなりとお命じくだされ公女殿下、いえ未来の国王陛下」
ああ、なるほど。蛮族の支援を貴族たちと組織的に命じた先代国王をお祖父様が医者を買収して殺してたんでしたっけ?そういえばそんな事を昔言ってましたわね。
ま、殺されてしかるべきでしょう。やられたらやり返す、報いは受けるべきですわね。
それにしても未来の国王陛下ですか、確信しましたわ。
蛮族領域の全地区平定はバレてませんわね、ここまで切り込んでくるのならもう少し匂わせるでしょう。
それにしても私の得意な変装に演技がこうもあっさりと見抜かれるとは。
やれやれですわね、クラウですら3回に1回は騙せるんですけど……クラウも見抜けるのが本当なら相性は最悪ですわね。
さて、どうしましょうか、一応はもう公爵閥ですからね……。王都政治はお父さま、国外はお母様、お祖父様、お祖母様、それ意外の公爵家の全てはワタクシ。
内務大臣としての職務以外の公爵家とはワタクシそのものということは漏れていない辺り完全降伏というわけではありませんが……派閥のことまでワタクシが取り仕切ると漏れるでしょうし……お父さまに報告させるのも少し問題がありますからね。
ワタクシが把握してると知っていたらメンツが潰れる可能性はありますしね、寝返りの場合娘には漏らしてるなんて恐ろしくてたまらないでしょう。
ワタクシに取次を頼んだ家には公爵家の派閥の様に扱う、それ意外は気づこうが父が流石に伏せておくのも無理があると寝返っていることを報告しようが知らないものとして扱うというのが方針ですからね。
ま、いざとなったら蛮族で王国を乗っ取ればいいんですしの精神でいきますわー!
「──認めましょう、エリーゼ閥へようこそ」
「ありがとうございます、陛下」
さ、ここからどう働きかけるかですわね。
王宮内部へ!
モレル伯爵「(おっ、レズリー伯爵令嬢がまた変装して調査してる)」
クラウ「(なんか王宮に来ると嫌な視線が多いっすね……)」




