公爵家ってお金あるのね、すごいわねこの毛糸の品質
ララ「覚えてね?ララよ?」
「ライヒベルク公爵家が一括で買っていたんですか!?」
「そうですよ~?どうかしましたか~?」
私の生活支えてるのエリーゼの実家じゃない!これマッセマー商会に頼っても駄目?でも貸しがあるし命は助けてくれるかも……。
「そんなことができるんですか!?公爵家相手に!?」
「できますよ~?私が担当してるんで~簡単で~す」
「公爵閣下と交渉なさるんですか!?」
「いいえ~流石に公爵閣下はでてきませんよ~」
そうよね、セーター買うくらいででてこないわよね。
あーびっくりした。
「私が担当してる交渉相手は公爵令嬢のエリーゼ様の方で~」
より一層危ない地雷だった!
「この図案のセーターもエリーゼ様がお買い上げになって~去年のパーティーで着てたらしいですよ~」
上客じゃない!
「第2王子殿下が~良いセーターを着て自慢している話を聞いて~たいそうお怒りだったとか~」
私ひょっとして詰んでる?
「それで~今年は世界で一番素晴らしいセーターを着るって言ってたみたいですよ~」
「作らさせていただきます!」
「きっと、エリーゼ公爵令嬢も喜ぶと思いますよ~?」
「そ、そうだと嬉しいですね。制作者としては」
「直接お会いするかも知れませんね」
直接あったら殺されるんじゃ……?
いやでも……司法大臣の追悼をやってたりするし、人格者って言われてるし大丈夫だったりしない?
「いや、恐れ多いです……」
「あまり気にしませんよ~私も気軽に会えますし~」
「どうなんですか?でも平民に気軽に会ってくれるか……」
「私も平民ですよ~」
「え?歩く所作やものを移動させる所作がきれいだからてっきり……」
「……商売人ですから~。顧客には貴族の方も多いので~」
「ああ、たしかに……」
言われてみればそうよね、貴族相手にするんだし教養とか礼儀とか色々厳しいはずよね。
でもゲドルフさんよりもそれっぽいから、てっきり貴族の令嬢かなんかだと思ったわ。
「それじゃあ、腕によりをかけていいセーターを編みます。手袋もたまにはもっと手の込んだものを……」
「作ってくださ~い、大丈夫で~す」
「あ、はい、わかりました」
「お話は終わりましたか?新しい毛糸をいくつか持ってきましたよ」
「ゲドルフさん、ありがとうございます」
「ありがとうございます~」
大量の毛糸を持ってきたゲドルフさんに少しだけ驚いたものの、それだけ新製品がるんだなと納得して、新しい手の込んだセーター様に質を調べ始めることにした。
「えー……手触りがよくありませんね。これはパスで。防寒用なら帽子かなぁ……」
「こちらは?」
「色が薄いなぁ……濃いのありますか?」
「これはどうですか~」
「これはどこから?エリーさん?」
「公爵家から見本を綴じた本形式で頂いたんです~。あとで店長に報告するようにそこにおいておきました~」
そんな関係性深いの?わざわざ本みたいにして毛糸を見て触れるように?手間かけて?
「どうぞ~」
「あ、ありがとうございます……えーと手触りはいいですね……でもちょっと細いですね、もう少し太いほうが……この細いので編むときれいにはできますけど強度が不足するのでこれの1,2倍くらいは太いほうがいいです」
「はぁ~い」
そう伝えると公爵家から貰った本に書き込みを始めるエリーさん、字がうまい。
いや、いいんですか!?
ゲドルフさんも驚いてるけど。
「もともと職人の意見を聞くために作ったものだから終わったら廃棄ですよ~直接書き込んで公爵家に後で届けに行きますね~」
「ああ、そうですか……豪勢に使いますね……ララさんのためだけにですか?」
「この国一番の毛糸防寒具製作職人に対して手は抜けませんよ~?」
「確かにそうですね、公爵家も本気ということですか」
私そんな扱いなの?もしかしてこの技術が命繋いでる?
「続けてくださ~い」
「え、はい……。とりあえず細いものはこんな感じで、通常は……いいですね、これを使いたいです!すべて試してみたいですね」
「わかりました~すべて仕入れておきます~何玉必要ですか?」
「各5玉、試作を含めていじってみたいですね……」
「後のものはどうしますか~」
「えーと太めなものですか……じゃこの2色、次は金糸?毛糸の?珍しいですね……」
「金細工のかすを使って細くして毛糸の隙間に詰める感じで~ラメみたいな使い方ですね~」
「へー……じゃあこれも……5玉はいらないか……2玉ほど」
「かしこまりました~」
あー思わず興奮してしまったわね。アイディアが出てくるわ、さっそく……。いやまだね……。一応、返事が来ないとはいえヴィリーに手紙を出さないといけないし。
「毛糸の配送ついでにお家までお送りしましょうか~」
「いえ、このあと寄る場所がありまして……」
「寄りますよ~どちらですか~」
「モレル伯爵邸です、手紙を預かってもらうので」
「モレル伯爵?マッサージ師の?」
「マッサージ師?王宮医師団のトップだと言ってましたが……?」
「先日モレル伯爵が無くなって~マッサージ師の息子さんが後を継いだんですよ~」
「えっ!そうだったんですか!?葬式にも挨拶にも言ってません……最近はセーターと靴下に注力してたので……新聞でも見ませんでしたし……」
「まぁ王都民に知名度がある方ではないですしね」
「そうですね~」
たしかに普通の人は王宮医師団のトップなんてそう会うこともないもんね……。
「それにしても息子さんの方ですか、去年ヴィリーをよく諌めてましたね」
「…………第2王子殿下とモレル新伯爵はお友達ですか~」
「いえ、どちらかといえば不仲だったかと……私がヴィリーと会った頃はよく注意をしていたり、支払いを踏み倒した店の支払いを自腹で切っていたりで不満を漏らしてましたから」
「ああ、いろいろとあの時期の第2王子殿下は問題を起こしてましたしね」
「そうですね~」
たしかにやばかったわね……。食事した後払わず帰ろうとして店主に殴られかけたりいろいろあったわ……。
「ああ、そうだ!確かに国王陛下のマッサージを担当してるみたいな話をしてました!マッサージ師のほうが本業だったんですね!てっきり王宮の騎士か何かでそんな仕事もやらされるんだなって思ったんですよ」
「え、去年から働いていたんですか?」
「初耳です~」
「確か……家の事情で第2王子付きの側近になったとか言ってました」
「まだ側近をしてるんですか~」
「そういえば……入学後少ししてからヴィリーの周辺では姿が見えませんね」
「やめたんですかね~」
「やめたのかもしれませんね……結構ヴィリーの護衛は入れ替わりが激しくて……護衛か側近かもよくわからないくらいで……」
「もしくは国王付きマッサージ師に戻っていたかですか」
「そうかもしれません」
そのほうが正直幸せな気もする。
「でもモレル伯爵とはどうやって知り合ったんですか?」
「ああ、ヴィリーが酒場で殴り飛ばされてその治療で……もっとも側近が止めたので軽く包帯を巻く程度でしたが……その時に王宮に直接手紙を持っていく際にヴィリーの私的な手紙のやり取りを担当するように命令してまして……その関係ですね」
「へ~モレル伯爵も大変ですね~」
「引き続き手紙のやり取り担当をやっていただけるかはわかりませんが……あいさつくらいは……」
「そうですね~じゃ私が伯爵家に行くものを見繕いますね、葬儀後に相応しいものを~」
「いいんですか?」
「私も代替わりの挨拶をしたいので~」
じゃあ、お言葉に甘えちゃおう!
第2王子「これを貰うぞ!献上させてやろう!美味だったまた来てやる!」
ケルステン「申し訳ありません!申し訳ありません!」
国王「この請求は?」
ケルステン「第2王子殿下の分を建て替えたものです」
国王「(親子共々働いてるしだしてやるか)」
公爵家「じゃあこっちにも金出せよ!」




