王宮って人材のゴミ捨て場ですの?
王都にて疫病発生か?王国省庁職員急死相次ぐ
王都にて疫病が発生したのではないかとの噂が飛び交っている。きっかけは内務省警保局職員である5人が自宅で病死したことである。これだけではきな臭いだけで大した話ではないのだが、事が大きくなったのはそれと同時期に軍務省経理局職員も病死したことである。内務省衛生局防疫課の調査の結果、関係者は司法省、王城に立ち寄った事実が明らかになっており、ジョージアナ・スペンサー司法大臣を初めとした人間の検査をした。王城側は検査を拒否しており主治医たちに任せるとの見解を示している。だが王宮医師団統括をしていたテオドア・モレル伯爵が発病、病死したの発表があり、後任は子息のケルステン・モレル伯爵が引き継ぐと発表があり内務省は再度王城の防疫を提案したもののケルステン・モレル伯爵は拒絶しており……。
あらら、急死が相次いでるのねぇ……。
超法規的措置の件で証人にしようとした方々がコロコロと、おやまぁ伯爵まで……まだこんな王家に忠誠を持ってるなんて仕事熱心ですこと。王宮医師団の統括が病死ですか医者の不養生と言いたいですけど……切り捨てられましたわね。残念でしたわねー!
やれやれですわ、上に立つものは裏切り以外で下を切り捨ててはいけないと思うんですけどね、まぁ私の持論ですわ。まぁ、大叔父と北方組合のように限度を超えたら流石に処罰しますし、切り捨てるのも致し方なしですけど。
と思ったけど北方組合はワタクシの下に付いてるはずなのに対等ヅラしたり足を引っ張ったり反逆してきましたし裏切りでいい気がしますわね。制御できないどころか追従した大叔父も。
話を戻して、御子息のケルステンってどなただったかしら?少なくとも有名な医者ならワタクシも覚えてますが……まぁ先代モレル伯爵も医者としては優秀ではありませんでしたし、むしろヤブ?ま、医師団の統括なんて誰でも出来ますしね。診断は優秀な人間に任せておけばいいんです、これで癇癪でも起こされたら即クビですしヘマはしないでしょう。医師団統括なんてせいぜい医者同士の喧嘩を爵位でとりなすだけの置物ですしね。
で、そんな人間が無くなったということは……。
「と、言うわけでベス?面白いお話はあるかしら?」
「モレル前伯爵は……微生物の働きで病気を治す薬を作っていたり……違法薬物を病気治療に役立てる研究をしてたり……動物の排泄物を使った医療薬を開発、改良していた」
「ああ、まぁ……それは医者と言うより薬学ですわね……まぁ個々の話は別段違和感がありませんが」
「動物のうんこの薬とかやなんだけど……」
「マーグ、淑女が直接言うのはどうかと思うぞ?」
「なぜ王宮医師団の統括に?」
「過去に……投薬で患者を殺してる……」
「「「「「「「…………」」」」」」」
畜生外道ではありませんの……。
いや、付き物といえばつきものですわ、万人に効く薬でも毒になる人もいますしね。
「効能不明で……動物実験もしてない薬で何人も殺してる……」
「あっ、へー……」
「逮捕せえや」
「国王がね……おかげで前司法大臣も前ゲルラッハ伯爵がいた時の検察も立件できなかった(小声)」
「嘘でしょう!?モンタギュー大臣でも検察の鬼だった前ゲルラッハ伯爵でも駄目だったんですか!?」
「ちょっと、初耳なんっすけど……」
「息子の方と間違えてないか?前と言ってるし」
「いや、ゲルラッハ元『子爵』ではないよ?(小声)」
「そこまでか!」
「政治能力だけは高いのか?」
「いや……そうでもない……」
「なんでや……」
「先代国王から信頼が厚いとは聞いてるっす」
「それを処分したんですの?」
王家ってアホのなの……アホでしたね。毒殺犯らしい貴族を王宮医師団統括にしてもみ消しまわるとは……。
「噂だけど……」
「なんですの?」
「自分で開発した薬を試して……容態が悪化したか急死したんだって……」
「アホか?」
「アホでしょう」
「自分用はちゃんと作ったとか、こう……安全な薬を使ったとかじゃなくて……他人で毒薬実験してたとかでもなく……ただ薬だと信じて毒薬作って殺してたというのか?」
「多分……」
「王宮医師団が毒殺が主な仕事だとはしらなかった……しかも業務の認識なく(小声)」
都合よく毒殺してくれる医者で本人は一切の悪気がないとか狂気すぎますわ!
そりゃ重用しますわね!ちょっと体調が悪くなる薬でも王城で入れた後でモレル伯爵に見させれば死んでくれるんですもの!
「前モレル伯爵の医者の評判って一般からはどうでしたの?ほら、ワタクシ達は評判がよろしくないことは知ってるじゃありませんの、あくまで医師団の意見調整と派閥の緩衝材程度の働きをしてるヤブだけど無能でもない程度の……実際はヤブ以下の無能だと先ほど知りましたが……」
「軍人系だとまぁ……優秀ではないなぁくらいだ」
「騎士系だと無能かな、近衛騎士団はアレを無能認識だから」
「それはいつからですの?」
「大昔から、一応トップも幹部の大半も無能で傲慢だったけどさぁ、近衛騎士の末端はまぁ……交流はあるかんね~そう言うのは粛清されてないしさ」
近衛騎士は王城勤務が主だから誰か痛い目見たんでしょうね……。
「私はいいでしょう。エリーと同じですよ。そもそも大臣系の認識は同じでしょうし」
「まぁ、宰相なら把握してますわね」
「王城で調子を崩したら医者にいかず帰れと言われるくらい」
「流石にそこまで言われたことはありませんわね……」
「体調崩すような人間か?(小声)」
「ジーナ、しっ!」
聞こえてますわよ?まぁ忙しいから見逃して差し上げますわ。次来たときにお土産のお菓子砂糖多めに入れておきますわ。
「私も……家からは関わるなと言われていた……個人で仕入れた話だと優秀な王家の暗殺者という噂があった」
「当家もその認識でしたっす、優秀な王家の暗殺者、毒殺のプロフェッショナル。と、先程まではそう思ってったっす」
自分の毒で死ぬフグだと知ればまぁそうでしょうね。フグも量が多いと死ぬらしいですけど。
「同じようなもんだな、王家の依頼以外で人を殺してる快楽毒殺犯人だとモンタギュー前司法大臣から聞いたことがある(小声)」
「意外とヤバさ溢れる人物の認識でしたのね……御三方はヤブの話は?」
「ヤブが……王宮医師団を統括できるわけないから……」
「直接調査した人間が毒殺されたので手を引いたっす、思えば普通に薬もらって死んだんっすね……」
「ヤブのふりをしてるんだろうと思ってた(小声)」
「なるほど、ヤブと暗殺者とワタクシたちでも意見が割れるような人物ではあったわけですわね。それではシャーリー?商人としては?」
「いや、名前は聞いたことある程度で知らん。ぶっちゃけマジで知らん、王宮医師団統括だから優秀なんやろなって会話するまで思ってたくらいや」
よく考えたら一般の国民には一切関わりがないですわね、投薬で殺された方くらいしか……。
「ただ息子の方はよく知ってるで」
「あら、どんな殺し屋の噂ですの?」
「殺し屋の噂は聞いたことないが、あれは平民に診療所を開放してるから有名なんや」
「ということは?何人殺してますの?」
「エリー、捕まってないんだしバレてないでしょう。わかりませんよ」
「いや、優秀なマッサージ師や」
は?マッサージ師が王宮医師団統括なんですの?
テオドア・モレル「ククク、私の新薬であなたの腹痛もすぐ治ります」
貴族「ほんとうですか?」
貴族「」
国王「よくやった」
テオドア・モレル「(投薬が原因かと思ったけど国王陛下が褒めてるから多分俺のせいじゃないな、うん!俺は頑張った!)」




