蛮族って……いやもういいです
私が部族を傘下に収めて2週間ほどたったある日。
私の傘下族長になったリスクス……族長……?私も族長なのかしら?族長を従えた場合って私の地位って代わるんでしょうか?
公爵令嬢族長とか……まぁまだ公爵家令嬢なんですけど、祖父は今年引退予定ですし間違いではないのですが……。
まぁ公爵家令嬢より公爵令嬢の方がハッタリが聞きそうなのでいいでしょう。
とりあえず暫定的に公爵令嬢族長にしておきましょう、長いですね……。
まぁ、とにかく話を戻して……リスクス族長が私の元を訪れた。
「エリーゼの姉御におきましてはごきげん麗しゅう存じます?」
「こちらに無理に合わせなくてもいいですよ」
「助かります、姉御!お元気ですか!?」
「もちろん」
そもそも姉御の時点で駄目でしょうし……。ま、気にしなくてもいいでしょう。
「ルディンの連中がちょっかいをかけようとしてますぜ!」
前置き短いですね、でも結論が先なのは楽でいいですね。迂遠な会話は面倒ですし。それにしてもまた蛮族の攻撃ですか……それは困りましたね……。
「族長決闘ですか?私がでたほうがよいですか?」
「いえ、傘下の俺がしばらく出ますぜ。大族長クラスだと流石に姉御に出ていただきたいですが……族長なら代理で通せます。これでも俺は旧ガリア族長の傘下では5本の指に入るほどの強さはあったので、まぁ文句はつけないでしょう。しかも俺は決闘で降されている、文句をいうなら直接ここで名乗りを互いにあげて決闘を申し込めばいいんすよ」
「ここまで来られてる時点で駄目なのでは?」
「むしろここまで来る敵の総取りのチャンスですぜ!」
うーん……たしかにここまで来られた時点ですべてが後手に回ってますね、先日のリスクス族長が攻めてきたときにも嫌なタイミングでしたが、負けて領主の館まで攻め入られたわけではないですからね。
というかその時点で私は最前線にいるんじゃないですかね?現地で決闘すればいいのでは?
ということをやんわりと伝えると。
「俺が連中を通さないってことですぜ!」
と返されたので私はとりあえず礼を述べることにした。
そして、現実は非情である。
リスクス族長は敗北した、大剣使いのガルバドスとか言う男に敗北したらしい。
「そのまま恭順しなかったのですか?」
「いや、私達は…・・部族でいえばこの街のエリーゼ部族傘下だから……リスクス族長が負けたところでエリーゼ嬢ちゃんが負けたわけではないから関係ないので堂々と帰ってきました」
意外と融通は利く……。蛮族的にそれはいいの?
「エリーゼ嬢ちゃん、私達はリスクス族長を下す前の貴方の勇敢さで恭順したのですから……」
「そうです、エリーゼ嬢ちゃん!私達はリスクス傘下だったことは一度もありません!文句を言われる筋合いはありません!」
「エリーゼ嬢ちゃん!ガルバドスを倒しに行きましょう」
「一応言っておきますが……嬢ちゃんは役職ではありませんよ?」
「「「えっ?」」」
嬢ちゃんって年を取ったら消失しそうな役職ですね、チヤホヤされるという意味ではそうかも知れませんが。
「えーと……」
「まぁ適当に考えておいてください、カルバドス?と戦うしかなさそうですね……祖父が協力したり決闘の代理にはならないでしょう」
「ガルバドスですぜ」
実は前のリスクス撃破の功績で公爵代理と言う立派な地位になってしまった。
といっても祖父がお前公爵代理な!と言って周りに伝えただけなので実際どんなものかと言われると……やはり名ばかりの地位だ。得に権限は渡されてない。
だが名前だけを見れば……やはりこの辺の責任者扱いはされるだろう。
決闘に出なければ……どうなるんでしょうね?面倒なことにはなるでしょうが……。
まぁ決闘したほうがマシですね……。
「だからといって翌日来ますかね?」
「申し訳ねぇ、姉御……今はガルバドス傘下なんだ……」
まぁ仕方ないですね……。そう言う決まりなら……。
蛮族には蛮族のルールが有るのですから……。じゃあバルバドスと……。
「俺はバルバドス傘下族長リスクス!エリーゼの姉御に決闘を申し込む!」
しかも本人が来てないんですか……。我ながら薄氷の勝利だったと思うんですけど……。
「私の勝ちですわー!」
「「「うおおおおおー!!!」」」
あっさり勝ってしまった。まぁ昨日敗北してそのまま翌日戦えば疲労もあるし……そもそもそこら中に包帯巻いてる状態では……。打ち合っただけで顔に痛みが現れてましたし……。4歳に2度も負けないだろうといっても限度があるのでは?
「姉御の部族に復帰します、ご迷惑をおかけしました」
部族ではないんですけどねぇ……。本当に迷惑でしたね。
「皆様!リスクスが戻ってきましたわー!次はガルバドス!ルディン傘下を撃破していきますわー!」
「姉御!ガルバドスはルディン傘下じゃななくて敵対してる部族だぜ!」
「ルディンがちょっかいかけてくるといったのに違ったんですの!」
「ルディンがちょっかい掛ける前にガルバドス大族長が俺達を粉砕して先遣部隊にする予定だったみたいですぜ!」
せせこましいですわね……。
「ガルバドスは我が騎士より強いんですの!?」
「え、えーと……どなたでしょうか?」
「我が騎士ガリアより強いんですの!?」
「いえ、ガリア前族長と比べたら……」
「なら勝てますわね!ガリアに劣るなら問題ありませんわー!せいぜい半分くらいでしょう?勝ちましたわー!」
そうでも思わなきゃやってられないですね……。
「ガリア前族長の6割位はありますぜ!」
やぁってられませんわー!と言いたいけど仕方ない……。
「ガルバドスの剣の腕と戦法を教えなさい!」
「基本振り下ろしです、ガリア前族長のようなテクはありません、ただのバカですぜ!」
そのバカに負けたんじゃありませんか!
ああ、いけないいけない……キャラに飲まれそう……。
「なら私の勝ちですわー!さぁ決闘に向かいますわよー!」
もうどうにでもなれ!
4歳エリーゼ「(ああ、ほんとこの蛮族は……)」
内なるエリーゼ(12歳)「(諦めてはいけませんわ!)」
4歳エリーゼ「(えっ誰ですか?)」
内なるエリーゼ(12歳)「(今の貴方は蛮族をまとめるボス!いわば大族長!どーんと姿を見せてバーンとぶっ飛ばせばいいんですわ!)」
4歳エリーゼ「(だから貴方は誰なんですか?そんなバカみたいな計画うまくいくわけないでしょう)」
内なるエリーゼ(12歳)「(1年もここ生活すればワタクシの考えがわかりますわー!来年お会いしましょう!)」
4歳エリーゼ「(いや、だから貴方は誰なんですか?来年も会いたくないです)」
5歳エリーゼ「従わない蛮族は消毒ですわー!」
公爵「親父……」
先代公爵「俺が孫の育成の失敗の責任でお前に爵位譲ったみたいになっただけじゃ不満か?俺的には大成功だぞ?」




