表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
蛮族との過去ですわー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/544

決意の日

キサルピナ←元凶その2


 私は親愛なる我が騎士の葬儀を命じ、彼の娘のキサルピナに会った。


「あなたのお父さまは亡くなりました、我が騎士であるガリアの遺言であなたを召し抱えます」

「ありがとうございます……騎士……?」

「あなたは騎士になってもらいます」

「えっ!騎士ですか!」

「そうです、あなたの父は騎士でした。どうしても嫌ならいいですが……そうでもないなら貴女には騎士になってもらいます」

「私の父がなぜ騎士に……」

「私が任じました、騎士の子は騎士になれるでしょう」

「私は貴女がたで言う蛮族です」

「知っています。ですがガリアは私の武芸と学問の恩師でもあります、私の騎士にしてなんの問題があるでしょう?」

「こちらの問題はあわかりませんが……」

「とにかく、貴女は騎士を目指していただきます。他にやりたいことがあったらそちらでもいいですが」

「特にありませんが……」

「なら、将来の保険として目指しておいてもいいでしょう」

「はい……」

「この後は医者が貴女を見ますから……ごゆるりと」


 私は部屋から立ち去りながら考える。

 なぜわかりあえないのだろう、なぜ争いがあるのだろう、ガリアの教えた哲学でもこの答えは出ない。

 なぜ蛮族と戦い続けるのか?彼らが襲ってくるからだ。もともとこの周辺は彼らのものだと言うが建国した当時は公爵領だった。それを奪い取り実効支配し、先代当主の曽祖父が取り戻した、大昔はこちらのものだったのだ。


 なぜ蛮族は争うのだろう?貴族と同じように自分の領土を増やす奪い合いをしているだけなのだ。

 なぜ争うのだろうか、今より富むためか、それとも暮らしていけないからか。

 私は蛮族の事情を全く知らないことに気づいた。


 ガリアの葬儀を終えた私は何をするべきかとにかく悩んだ、悩みに悩み悩み抜いて……街に住む蛮族に直接聞きに行くことにした。


「暮らすのが精一杯で、逃げた来たんです」

「族長が横暴で……」

「こちらに攻め入るのは厳しいから身内から略奪しようと」


 思った以上に悪かった。他所から来た街の住人に聞いても。


「侯爵家から来たんですけどあそこは税が重くて……産業がないのはそうなんですが……」

「男爵家が横暴で……」

「代官が……」


 国内も危なかった……。

 いったいどうすれば……蛮族、国内問題……。

 まずは敵対蛮族を……いえ、ガリアと戦った男に勝てるほど強くなるまでは動かないほうがいい、それまで腕を磨き勉学に励む必要がある。




「お嬢様は威厳がたりませんね」

「威厳?4歳の子供に……?」


 訓練をするキサルピナを訪問した際に言われた言葉に引っかかる。

 威厳のある4歳ってなんかムカつくんじゃ……?


「『高貴なる女王』の女王みたいな、やってみてくださいよ!」


 あれって威厳かな?


「私は公爵令嬢ですわー!」

「おお!それっぽい!」

「私が頂点に立つものですわー!」

「挿絵からでてきたみたい!」


 褒められると悪い気はしませんね。


「ママそっくり!」

「えっ……?」


 ガリアの奥さん本当にこんな感じなの?


「自分をモデルに書いたの……?」

「自分……?ううん、あの本はお父さんが書いたんだよ?」

「でもガリアは……」

「恥ずかしかったんじゃないかな?」


 ああ、妻をモデルにした小説を書くくらい恥ずかしいものはないでしょうね。モデルは嫁って書いた側だったんだ。


「会いたいなぁ……ママ……」

「…………私がおりますわー!」

「!!」

「私が、私が貴女のママですわー!」

「で、でも私より5つも年下だよ……」


 細かいですね……。世の中にはそんな人もいっぱいいますよ。


「私は……この領土のママですわー!あまねく人々のママですわー!私が頂点ですわー!ですから老いも若きも私の子供ですわー!」

「そうなの?」

「貴族とはそう言うものですわー!」


 たぶんね。


「じゃあじゃあ!皆がママの子供になれば誰も苦しまないで済むの!?」


 えっ…………?スケールが大きいこといい始めた……。


「ママは頂点なんでしょ!?」

「もちろんですわー!」


 今は公爵家の末娘に過ぎない。


「ママが大陸の頂点なら皆幸せになれるよね!」

「も……もっちろんですわー!」


 でも私が、もし……この大陸を征服して蛮族も一地方や貴族にしてしまえば?


「ママがいれば争いはなくなるの?」


 貴族の軍事力を中央集権化できれば?貴族から軍事権を取り上げられるほど強大な軍も持った国家ができれば……?


「私が平和を作り出しますわー!」


 民衆に教育を施していつの日か、子供か、孫の代に貴族を形骸化させることができれば?


「皆お腹いっぱい食べられる?」


 餓えた人がいなく全ての領土で税制が、いえ、貧しい地域にはテコ入れもいる。でもその上で統一されれば?


「もちろんですわー!」


 蛮族も平民も貴族も……いずれは王も等しく同じ権利を持つことができれば?


「皆が平等に生きられるの!?」


 私が、この大陸を統一したら?


「もちろん!私が……私が頂点ですわー!」


 やってみる価値はあるんじゃないかしら?

数年後

キサルピナ「おかえりなさいませ我が主」

エリー「ママですわよー」

キサルピナ「……主」

エリー「ママですわよー?」

キサルピナ「母上……」

エリー「ママですわよ?」

キサルピナ「お帰りなさいママ」


アーデルハイド「何やってるのあれ?」

キャス「さぁ……」

アン「考えるだけ無駄だろう」

ベス「母性の……目覚め……?」

ジーナ「母親と名乗る不審人物なだけじゃね(小声)」

マーグ「でも受け入れてんよ?」

クラウ「公爵家の新手のパワハラっすか?」

シャーリー「年齢的に逆に育てられてたんやないか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ