ゲームで語られない話~軍務省、司法省炎上事件~ それぞれの結末
宰相「まともな侯爵令嬢はいないのか!」
ルーデンドルフ侯爵令嬢「は?」
「それで、今日はアーデルハイドいないのなんでや」
「は?当たり前でしょう?シャーリー、あなた現場にいたでしょう」
「いや、おったけど……なんか逆鱗に触れたんやろ?2人の」
「ワタクシは関係ありませんわよ~!」
「エリー、最初の茶会にはいなかっただろう」
「……ああ、そうでしたわね」
「で、結局何やんの?」
「わざわざ……やることって何……?」
「挙兵か?」
「死刑でも決まった?(小声)」
「今のところそんな動きはないっすよ……」
「私は倒れていたので……」
「死刑を回避するためですわ」
「マジ?」
「ええ、ワタクシは第1王子婚約者を辞退します。もとより相思相愛に入り込むのは気に入らないですしね、白い結婚でもしてアーデルハイドに全部任せればいいかと思ってたんですけど……10歳とはいえ流石にあれはまずいでしょ」
「「「「「「「……」」」」」」」
ですわよねぇ!ワタクシだけではないですわよねぇ!
なんかお前が言うかみたいな目線を感じますけど気の所為ですわね。
「よくお聞きなさい!あの程度のことで省を2つ焼いたんですわ!後1年も2年こんなこと続けたら今度はどこ燃やしにいかなきゃならないのかわかりませんわ!」
「たしかに……私の家も燃やされるかも」
「軍が粛軍されるかもしれない……」
「司法省は完全に焼け落ちたし(小声)」
「騎士団も粛清されるかもしんねー……」
「文部省が……今王室関係のことやってるから……焼かれるかも……」
「第1王子になにかあるたびに諜報関係に介入されそうっす」
「商人のウチはあんま関係なそうやな」
「何甘えたこと言ってるんですの!油瓶持ってきたマッセマーは流石とか喧伝されてほかから白眼視されますわよ!」
「売る側が責められてたまるか!」
このままじゃまずいですわ!婚約者候補が続いてる間に事件が起きれば完全に終わりですわ!次は王宮を焼きに行くかもしれませんわ!
……別にそれはそれで……いいような……いや!まだ北方を固めきってませんし春先に一部の蛮族を下したばかり、もう少し時間がかかりますしこの1年で暴走されたら詰みますわ!
ようやく周辺国家に手を出せるこの時期にアーデルハイドに振り回されては困りますわ!色ボケアーデルハイドがここまで話が通じないなんて想定外ですわー!
「とにかく!私は辞退しますわー!キャス!宰相閣下にアーデルハイドの推薦を強化させて!お願いだから!皆様も各貴族に働きかけてアーデルハイドの推薦をしてくださいまし!お願いだから!しなかったら次にアーデルハイドが暴走した時に家まで押しかけますすわよ!キャスの家にも行きますわよ!」
「わ、わかりました……でも私も随分父からは怒られて……」
「次にやったらもっと怒られますわよ!」
「は、はい……」
「マーグとアンは軍と騎士団から推薦してくださいまし!」
「わかった」
「あいよー」
「ジーナは司法省関係と農林関係でアーデルハイドを推薦してくださいまし」
「うん(小声)」
「ベスは文部系とお得意の噂を流してくださいまし!アーデルハイドがふさわしいと!」
「わかった……」
「クラウも同じ用に働きかけてくださいまし!シャーリーは支援をお願いしますわ!」
「わかったっす!」
「ほな、やるか……」
「アーデルハイド婚約内定作戦ですわー!」
「で?ライヒベルク公爵令嬢は婚約を内々に辞退すると?」
「はい、アーデルハイドを推薦するとのことです」
「……我が家はブランケット侯爵令嬢を推していたのは覚えてるな?」
「…………はい」
「放火事件までは、まともだと思ったんだが」
「…………ではエリーを推すのですか?」
「……………………もう少しまともなら一番推しても良かったがな、まともじゃない」
「……否定はしきれませんが」
「あげくブランケット侯爵令嬢もまともじゃなかった、なんで軍務省と司法省を焼くんだ!」
私に言われても……私が起きたのはすべてが終わった後でしたし……。
「法的に追求することはないぞ!謀反と言われたら微妙なところだが……司法大臣が追求をやめた、司法大臣を介さない王室典範改正の行動は謀反に当たるといえなくもないということだ、まぁイアンがいうならそうなのだろう、謀反に対して行動に出た令嬢にも家にもお咎めはない。ないわけあるか!何だこの判断は!」
「司法大臣が下したのならあっているのでは?」
「あってるだろう、法の穴を突いたとしても問題がないなら通すし、詰められるならそうする。つまりあの公爵令嬢がきっちり司法大臣を説得したのだろう」
多分ジーナあたりだと思いますけど……。エリーはその手のことは人に任せがちですし……。
「まともな令嬢はいなかったのか……?キャス、お前を候補にできれば……」
絶対に嫌です。
「我が家は王家に近すぎるからな……それに公爵家は遠すぎたからちょどよかったと思ったのに……。先代公爵の頃に馬鹿な貴族共が公爵家を陥れるために色々やったせいで公爵家は完全に王国から自立してしまった……。当たり前だ、さんざん蛮族から王国を守ってきたのに蛮族を支援して、負けたら公爵家を責めるつもりのこの仕打ち、挙兵しなかっただけマシだろう。結果的に王家と公爵家決定的に対立して蛮族を防いでる公爵家に恩賞も与えん。そして公爵家は王国貴族を敵視して陰謀をやり返して貴族間の連携をズタズタに引き裂き、自分たちをハメた高位貴族を消し去った。当代は完全に王国を軽視していながらその力量で内務大臣に上り詰めた。その娘も危険だ……王国に縛り付けねば……キャス、お前が公爵令嬢を王国に帰属させるよう働きかけるんだ」
「はい、お父さま」
無理だと思います、蛮族使ってもう色々やってますし。
「王家も公爵家に報いればこうはならなかったのに……」
たぶんそうしてもトップに立つのですわー!って言うと思いますね。
「で、軍務大臣を辞任すると……」
「そうだ、後任は君だポート伯爵……」
「ヘス伯爵、さすがにこれは……抗議するべきでは?」
「無駄だ、ブランケット侯爵令嬢は第1王子婚約者に内定した、わかるか?王家も司法も私の味方をしない……」
「公爵家の陰謀では?ヘス伯爵家は先代の時に……」
「だったら死んでる、公爵家を舐めるな!父はそれで死んだのだ!…………私は公爵家に頭を垂れる」
「ヘス伯爵!」
「王宮典範問題一つでこの仕打ちか?フリッツ殿下が蛮族地域に出兵する際もしものことがあっては困ると王家が言うから働きかけたのではないか!事が起こったら司法大臣を通さなかったこととだと!なるほどな、先代公爵が怒るわけだ……先代公爵が王家を討てばよかったのだ!」
「ヘス伯爵!それ以上は!」
「ふん、聞かせてやれ!暗殺者の10人くらい勝てなくてどうする!君は軍政寄りだったな。戦場経験も少ない。まぁあればどうとでもなるわけでもないさ」
「…………」
「未だに王家は蛮族関連の報奨も保証も公爵家に支払っていない、支払う気もない。いずれ詰むぞ、職務の引き継ぎは誰かに聞いてくれ。いまだ王家寄りの君のために骨なぞおりたくない。引き継ぎは当事者じゃなくてもいいからな」
「……わかりました」
「ああ、そうだ!王家を信頼するのはやめておけよ!彼奴等は自分たちのためなら誰でも切り捨てるし、身を削って当然だと思っているからな!長年に渡り国家と王家を支え続け、後ろ暗いこともやらせて責任を被り続けた私にこの仕打ち……家ごと切り捨ておったわ!次の職の斡旋も慰労金も労いの言葉も形ばかりの慰留もなしでだ!フリッツ……いいや、フリードリヒ第1王子の出兵計画はすべて中止だ。書類はすべてそこで焼いている、もう知ったことか!俺は領地に行く。王都なぞ二度とくるものか!」
アルデナー・ヘス伯爵はこれより公爵派閥に参加し、焼け落ちて職務が消えた軍務省部署の人間の引き入れに協力していく。
そしてチャールズ・ポート伯爵は未来でこの時の話を真剣に聞いて対応しておけばよかったと後悔することになる。
そしてこの事件により、先代が公爵家に謀殺された後も2代の公爵と渡り合ったヘス伯爵家と派閥、もとい長年国家の重鎮であったアルデナー・ヘス伯爵を失った軍務省は近衛騎士団と騎士団に対する臨時指揮権、戦場指揮権を喪失し、王国軍総司令官代理の権利拡大を招き両騎士団へ介入手段を失った。
ヘス伯爵「王家嫌い、足引っ張り続けるね……」
マッセマー商会「領地支援しまーす」
公爵家「いっぱい支援しま-す」
ヘス伯爵家「うおおお領地が富んでいくぅ!お前たちも勝ち組領主にならないか!?」
軍人系貴族「じゃ、じゃあ……俺達も……」
マッセマー商会・公爵家「「いらっしゃいませー!」」




