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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
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ゲームで語られない話~裏切り者~

アーデル「似た者同士ね」

キャス「アーデルもエリーに似てますからね」

アーデル「!?」

「ララさん!」

「イデリー伯爵令嬢……」

「あなたは何をやっているのですか!」


 私は本当に激怒していた、ララに詰め寄り説教しようとわざわざ待ち構えていた。

 本当に何を考えているのか、エリーたちは静観をするというが貴族が舐められるというのになぜ静観するのか!婚約破棄するつもりは分かる、もはや行く所まで来ている。

 ここまで第2王子に露骨に近づいてエリーはなぜ動かないのか!このままでは反公爵閥が調子に乗って劣勢に立つことになる!


「この1年で……あなたは何をしているのですか!」

「まぁまぁ、キャスリーン嬢」

「モー・ネルソン辺境伯子息……あなたもですか」

「いや、一応言っておくが私の婚約者は君だけだよキャスリーン嬢」

「どうだか、わざわざ介入してきて……私が来た理由もわからないのですか?」

「もちろん分かるよ、貸し切っている部屋に行こうか。皆待ってるからね」


 ここでついて行ったのが一番の間違いだったと思ったのは終わった後、時を戻せるのならこの時に戻って立ち去ればよかった。


「みんな、キャスリーン嬢がいらっしゃったぞ!」

「おお」

「これで勝った!」

「キャスリーン嬢、よく来てくれた」

「第2王子殿下……」


 あなたが余計なことをしなければこうもこじれなかったのに、あなたは何がしたいんですか?

 どこまでああなたは王家を……王国を軽んじるのですか?平民と交流を持っても現実が見えていないのですか……?あなたの兄はこの国のためにどれだけ働いていると思ってるのですか?


「ふん、宰相の娘が今までいないことがおかしかった、友情より王家を取った程度でそうはしゃぐな。それで、情報は?」

「近衛騎士団長子息……あなたに伝えることなど何もありません」


 バカのダニエル、近衛騎士団が最上と周りに吹き込み他人を下に見るクズ。取り巻きが気遣い負けてやってるだけの腕もよろしくない小物。

 騎士団に入っても近衛騎士団に入れないでしょう、騎士団長はあなたの婚約者の父親ですよ。騎士団も娘も軽んじる人間を重用するわけがない。破棄もしますしね。


「なんだと!」

「ダニエル!その態度は良くないよ!たしかに君のお父上は地位があるが君には地位がないよ、同格なんだからさ」

ポート伯爵子息(アホ)……」


 やんわりと私が宰相の娘というだけで威張れないことを釘を差してきましたね、他人を下に見るか自分のもとに落とすのだけはお上手だこと。

 なんの才能もない努力もしない男。軍務省に入るからと癒着を防ぐため軍人を遠ざけてるといってるが軍人から接するだけ時間の無駄と避けられている、そもそも職務上ある程度の関係は必要なのだが……脳みそ種無しピーマン男。

 それを言ったらここで私より立場が上の人間などそうはいないでしょう。


「俺は騎士団に入るんだぞ!」

「それを言ったらキャスリーン嬢も出仕するけど……」

「グリンド侯爵子息」


 耳障りの良い言葉に流されるだけの愚物、流行に流されないと婚約者が偽名で書いた本すら読んでいないが、男性向けの流行本だけは抑えている。

 俗に言うミーハーというやつですね。本が好きと言いながら女性向けは読まず、えり好みをして流行り本を読んで上から目線で論評をするだけの男。趣味が合わなければ読んでる本も人格も批判するので図書室の人間から忌み嫌われている。。


「もういいよ、別に。」

モンタギュー子爵子息(クズ)


 ジーナの婚約者、ただただ最低な男、正直ジーナの婚約が破棄されることだけは喜べる。

 父親とに使わなすぎて托卵された可能性が貴族でも囁かれるまごうことなきクズ。

 他に言うことないし時間も使いたくない。


「そうですね、今ここにいることが大事なんですから!」

「マルバッハ男爵令嬢」


 ララの友人、ララが王太子夫妻に近隣の反乱を注進したことで男爵家の取り潰しが既のところで回避されたから味方している。まぁ立場上仕方がない。


「これで私の働きも無駄にならなかった」

「タボット子爵……」


 マルバッハ男爵令嬢の婚約者、夜会で活躍して商売がうまくいってるらしい。

 あまり人間的には好きではない。


「これで断罪は為る、頼むぞキャスリーン嬢」


 正気か?本当に私がコイツらに味方すると思っているのか。アーデルの弟のドゥエインもいる。馬鹿げている、本当に……。


「さぁ楽しもう、来週にはすべてが終わる、悪女と公爵家に鉄槌を!」

「鉄槌を!」


 この馬鹿げた歌劇の参加者に私がなってしまったというの……?

 近衛騎士もいる、ここで断れば消すということか……。近衛騎士もこれを諌めぬほど腐っているのですね……。




「と、いうことです」


 父に告げると大きくため息を付き腰掛けた椅子をずらして空を見つめた。


「馬鹿者が……」

「私は断るつもりです、あのくだらない……」

「だめだ、バカ側に参加せよ」

「お父様!」

「バカの巣窟に自ら足を突っ込むやつがあるか……終わりだ……」


 それは否定できない、あそこで断ったら死んでいたかもしれないとはいえ……。


「私は……くだらない芝居の後は皆と共に旅に出ようと思っています」

「それもやめよ、引き込んだはずのお前が裏切って消えれば彼奴等は探し出そうと躍起になる、エリーゼ公女の足を引っ張るな。一緒にいるとわかればどんな邪魔をしてくるかわからん、いや……お前を使い潰すから放置するかもしれんが……何にせよやめておけ」

「エリーゼ、公女……」


 お父様がエリーをそんなふうに言うなんて……。


「終わりだ、彼女なくして王国は立て直せない。此度のことで王都の民は、愚民は無責任に貴族への勝利を喧伝し貴族を貶める。そしてバカ貴族は調子に乗り平民に悪の貴族を倒したなど喚いて誇るだろう。平民が貴族を倒した?バカ王子と取り巻きに股を開いただけで勝利とはな。誰が、どの家が蛮族を抑えているかも知らずに……。エリーゼ公女の思惑通りだろうか……バカどもはいずれ報いを受ける……エリーゼ公女はお前に静観と伝えなかったのか?伝えなかったのなら……」

「伝えました」

「馬鹿者が!お前はどうしてそう短慮なのだ!」

「貴族のメンツが……」

「貴族のメンツ?誰のだ?お前か?」

「エリーの……」

「だからお前はバカなのだ!」

「しかし貴族としてのルールというものが」

「時と場合によるわ!貴族が全員ルールを守っていたら司法大臣すら失脚しているぞ!貴族全員にルールを遵守させたら王宮には誰一人として残らん!国王なぞ真っ先に消えるわ!どうしてお前はルールに固執するのだ!貴族がルールを守るか!あのバカどもがルールを守っているのか!」


 こうまで怒る父を私は見たことがなかった。

 父がここまでエリーを評価していたことも……知らなかった。


「お前が土壇場で裏切っても公爵令嬢がスパイとして親友を送り込んだと悪い噂が立つ、本当に寝返っても人望がないということになる、もっともエリーゼ公女はこの国を捨てるから問題はないだろうがな」

「それは……」

「この1年……何度もエリーゼ公女にも内務大臣にも忠告した。答えは無用の心配だと、エリーゼ公女はこの国は捨てるから大丈夫だと、はっきりといった」


 計画を漏らしたの!でもそんな話を聞いてお父様は!


「どうした、私が内務大臣を失職させようとでも思っていたのか?」

「はい……」

「内務大臣がいなくなったら誰が内務を司るんだ?内務大臣の権力が大きいのだからバランス上少しだけ私が有利に立つ必要があっただけだ。あの職に他に適任はいない。エリーゼ公女を除いてな」


 父は内務大臣が公爵家ものでも良かったの!?


「私がエリーゼ公女の能力を否定したことがあったか?第2王子と結婚した後は宰相に押し込みたかったよ、そうすればどうとでもなったのに……」

「お父様は……この国の……」

「ああ、王家の血筋は残すつもりだったよ、第1王子ではもう手に余る。事が起これば大臣たちは仕事をボイコットするしミスも出すが辞任はすまい、提出書類をギリギリに出し続け婚約破棄で療養してる娘の見舞いに行くと仕事を停滞させる。騎士団長は部下を連れて辞めるかもしれんな。業務が回らなければどうにもならん」

「でも第1王子は……」

「たとえ裏で話がついていようがそのような暴挙を見過ごしただけで良識派は去る、必死に止めても王家への不信は残る。結局、エリーゼ公女の整えた舞台で踊るしかない。婚約破棄を成功させるためのな。お前は公女の同情論で良識派や反宰相派が統一できたことを邪魔したのだ」

「わ、私は……」

「お前に出来ることはエリーゼ公女を糾弾して、来たるべき破滅の時にアーデルハイド王太子妃に寄り添うことだけだ。裏切り者としてな。もっとも王太子妃のご友人たちがお前に優しいかは知らん。反公爵派のルーデンドルフ侯爵令嬢とてお前を軽蔑するだろう」

「私は他人に軽蔑されることは平気です、ただ友情を捨てたと思われるのだけを恐れます」

「ならば友人の言う通り静観するべきだったと思うが?」

「……」

「お前が静観すれば公爵派閥は一枚岩で彼女たちが去っても盤石だったであろうよ、お前がすべて台無しにしたのだ。思慮深さを身に着けろといつも言っただろう、ルールを遵守するときとそうでないときを見極めろと。壊れかけの吊り橋の上で悪口を言いながら踊るバカに抗議するために吊り橋を渡る必要はない。吊り橋の縄を切ればいいだけの話だ」


 なんて言い草だろう、考えがエリーと同じだ。本質的に2人は同じなんだろうか?


「……違うぞ?本質的に貴族がそう言うものなのだ、バカ貴族を除いてな」

「そうですか……」


 宮中でエリーの大軍が練り歩く姿を想像し嫌な気持ちになる。


「お前は失敗したのだ、エリーゼ公女の取り巻きの中で参謀のような立ち位置にいたから勘違いしたのだろうが……今回のことを考えてもお前は賢くはない。私はくだらん第2王子のワンマンショーの後逃げてくる使えん公爵派閥の連中の相手をせねばならない。その後のお前はバカどもからは土壇場で寝返った日和見と言われ友情を売って地位を築いたと言われ、良識派や中立派、公爵派閥からは裏切り者と言われ続ける。お前の浅はかさの結果だ」

「わ、私は……」

「お前とエリ-ゼ公女たちを引き裂いたのは派閥でも私でもない、お前の愚かさだ」


 私は返す言葉もなく父の私室をあとにしようとした。


「エリーゼ公女はどこの国に行くのだ?公爵夫人のいる国か?」


 エリーは蛮族の領域を制圧していることを父は知らないのだな……。そうなのか……。


「候補はいくつかありました。くだらぬ劇次第だと」

「そうか……」






 断罪の後、私は愚か者共が騒ぐ中、片隅に立っていた。


「あら?まだいたの?私にあなたほどの図太さがあれば飲み物をあなたの頭からかけて差し上げるんですけど」

「ルーデンドルフ侯爵令嬢……」

「名前を呼ばないのはいいですね、あなたのような人に名前を言われたら反吐が出ます。人でなしに名前を呼ばれたら人でなしになりそうで」


 これが私の評価、宰相派でもあり反公爵家の令嬢から堂々と罵倒される。


「あなたが協力した相手、あなたには話しかけてこないわね?友情を売って味方からも相手にされない哀れな方……」


 私でもこんなやつは相手にしないだろう。友情より保身を取るクズなど……用済みで処分するだろう。

 それでも……。


「私、確実な味方や友人だけは絶対に売らないと決めてますわ、だからそれをする人間はどの地位でも大嫌いです」

「いいのですか?第2王子殿下と取り巻きを批判などして、確実な味方に難癖つけて婚約破棄してましたけど?あのくだらない証拠が本当に婚約破棄に値すると思ってるとは……ルーデンドルフ家は安泰ですね、警察の信用も上がりましょう。ルーデンドルフ警部補」

「!!?」

「まぁ友人が少ないあなたはそうなのでしょうが……検事総長の娘と家の関係以外の友達はいらっしゃるので」

「いないわけがないでしょう」

「そうですか、壊れないといいですね。友情」

「そっくりそのまま返してあげるわ」

「ご親切にどうも……私と皆との友情は崩れませんよ」

「都合の良い友情ね」

「私達は今でも友人です、あなたごときが口を出してよい話ではありませんので失礼」


 私は彼女たちの友人……親友なのだ!




 くだらぬ祝勝パーティーの場から去る。話しかけるものはいない、あれだけ断罪前はプレッシャーを掛け、おだて、褒めておいて事が終わったら用済みだ。

 今頃私のおかげで勝てたなどといいつつ私を蔑んでいるのだろう。

 私は裏切り者だ、重要であっても事が終われば重用されることはない、連中の態度がそれを表している。

 馬鹿な連中、わざわざ私をフリーハンドにするなんて


 2年後、あなた方の褒めて蔑む裏切り者の感情を恨みの感情で裏切り者と言わせて差し上げましょう。

 時間はある、信用は失った、それでも友人たちのため……この終わった国を生かすため……貴方たちバカ共が好きな裏切り者になりましょう。

 その時に言ってやります、あなたの味方になった覚えはないと、報奨を貰った覚えもないと。


 せいぜい後2年を楽しむがいい。

 お前たちに教えてもらったのだ。私はこの程度の扱い……耐えられるぞ?

警部補アレクシア・ルーデンドルフ


エロイーズ「やっぱり相手にもうひとつだけって質問し続けるんですか?」

アレクシア「んっふっふ……しませぇ~ん、捕まえて殴って吐かせます、大体現行犯なので」

エロイーズ「ちなみにその喋り方は?」

アレクシア「捜査一課のベテラン警部補が何故かこの喋り方なので皆口調が伝染るんですぅ~」

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