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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
司法省制圧ですわー

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円満解決ですわね!

アレクシア「あーだから呼ばれたんですね」

 あら?本家のゲルラッハ伯爵令嬢は反応しませんわね?


「分家とはいえ、ゲルラッハ『伯爵』は偉大な人物でした、私もそう思います。今は違いますが」

「ええ、ゲルラッハ『子爵』は使えませんからね」

「ゲルラッハ伯爵は……!真面目な方です!」

「あら?そうでしょう、最高裁判所の長官ですもの不真面目な方では務まりません」

「父を褒められると嬉しいものですね……」


 ワタクシたちの、もとい今の貴族の中ではゲルラッハ伯爵は分家の先代と当代だけ、その程度の認識は持っていてほしいですわね。元から箸にも棒にもかからない程度でしたけど……超法規的措置の裁判で存在も権威も家名も地に落ちましたわよ?


「違います!検察次長検事のゲルラッハ伯爵です!」

「あら?まだ伯爵を自称しておりましたか?検察次長検事としての実績が超法規的措置事件以外ろくにない……しかもそれであのざまで終わらせる無能な方が?実際の裁判では部下に変わりに立たせて逃げるような臆病者が?」

「実際に伯爵です!」

「誰が認めたんですか?」

「王家が認めました!」

「それが?スペンサー男爵家は男爵ですけど公爵家も含めて敬意を持ってます。男爵家だからだとおもいますか?貴族の階級で最下層の男爵家だから最上位の公爵家から尊敬を勝手に得られると?」

「……しかし、実際爵位は!」

「先代で陞爵した理由は何でしたか?」

「それは……」

「先程言ったはずですが?ああ、直接お名前を出してませんでしたわね。国王の機密漏洩を立件してその職務熱心さと真面目さに心打たれた先代国王陛下が絶賛して陞爵なさったゲルラッハ子爵、いいえゲルラッハ伯爵。それで当代の『子爵』のしたことは?」

「……」


 はっきり言って検察以外あれを伯爵と認めてませんわ、いえ後は愚王くらいですわね。

 あの超法規的措置裁判の後でゲルラッハ『子爵』を事あるごとに裁判で謀反人を見事に追い詰めたなどとのたまえば誰だって反吐が出るでしょう。

 実際に事件を発覚させて捕らえた挙げ句、関係者だからと重要裁判なのに最高裁判所の案件からも外されたゲルラッハ伯爵家は怒髪天を衝く勢いで怒っていておかしくはないと思わなかったのかしら?

 自分が正義の化身だと思ってるバカほど救えないやつはいませんわね。

 ワタクシが正義の化身なのにたかだか検察程度がそう喚いて……偽物が多くて困りますわ。


 はっきりいえばワタクシが煽りはしましたけど王都の民もあれだけ真面目に疑っている時点で王家は愛想を尽かされてますわ。

 まぁ一番悪かったのは捜査指揮をわざわざ取った挙げ句、裁判では部下に丸投げして褒められるときだけ出てくるゲルラッハ『子爵』でしょうね。

 多分あなたたちが思っているより検察内部には亀裂が入ってますわ。


「先ほども言いましたが、必要なことだったと思います」

「ご立派です、では司法大臣暗殺未遂の主犯としてシュテッチ子爵を捕らえます」

「そんな!横暴です!父は無関係です!」

「無関係?超法規的措置を見て見ぬふりをした時点で敵です。死んで当然、殺されて当然ではないですか?自分が殺そうとした人間がやり返したらひどいとのたまうのですか?それは貴族でもゴロツキでもありません、被害者ぶったゴロツキ以下のクズです。腐敗した検察を嘆いて父親の死を見届けなさい」

「そもそもなぜ主犯なのですか!当家には司法大臣を暗殺する理由がありません!超法規的措置を突き詰められなかったのは検察次長検事です!裁判資料の時点で口は出しませんでしたが、黙認したことは認めます!ですが暗殺事件は別です!再度立件されれば超法規的措置では動きます!」

「あら?今度は動くのですか?どうしてかしら?ねぇお二人はわかりますか?」

「法という権威にズタズタに傷をつけましたからね、当たりが強いのでしょう」

「警察が介入できなかったら直接民衆から恨まれているんだろう、理解してないが風当たりが強いから立件できたら王家の責任は置いといて公爵家に賠償をするような方に持っていく証拠を見つけてやり直そうとでも思っているのだろう」

「それは……そうですが……」

「でしょうね、だって司法大臣室の資料紛失に紛失書類がなにか知らないと知らんぷりしてますからね」

「司法大臣室の資料紛失?それは父から聞いてませんが……」


 あら?まぁどうでもいいといえばどうでもいい話ですしね。娘に付け届け貰っていいか?いいよ!って認可の書類を司法大臣室から盗まれたとか言いませんわよね?なにか紛失したけど何かわからないで改めて出すのはちょっとあれですし、なんなら発覚前に書いて金額より多めに貰てバレたらすっとぼける可能性がありますわ。

 マッセマー商会自体ワタクシ達側なんで筒抜けですけど。


「マッセマー商会が検察に付け届けをしている書類です、大したことはありませんけど今表に出たら検察が総じて叩かれる材料になるから知らないふりをしているのでしょう?」

「その程度のものなら直接司法大臣に改めて再度提出し……なおせ……」


 あら?気が付きましたわね?


「エ、エリーゼ様?なぜその程度のことを話題に出したのですか?」

「簡単なことですわ、暗殺犯が超法規的措置の案件とその資料の紛失調査から手を引くようにわざわざ伝えてくれたからですわ。司法大臣が直接捜査している最優先事項の2つのことを」

「最優先事項……?検察の商会の付け届け……担当者は……」

「今月の納品はマッセマー商会は2日後に行う予定ですわ、今までと差異があるか気になりますわね?」


 調査が進めば紛失資料がそれだと気が付く、探してる時期に知らないと言っていたのに元の書類で決まった金額より多めに貰っていたら大変ですわね?

 付け届けを増やすために超法規的措置を盾に司法大臣を暗殺しようとしたと言われたら否定できるかしら?その場合検事総長が不在で臨時で指揮を取るのは誰かしら?国家的な事件だとまっ先に証拠を上司の机に放り投げるはだれかしら?司法大臣が動いても証拠は全部検事総長の周辺にあったら?司法大臣のジーナが直接動いたとしても証拠を放り投げるだけ、あるいはもう検事総長室のファイルの間にでも隠してあるかもしれませんわね?


「…………なるほど、ゲルラッハ『子爵』と言われる理由がわかりました。くだらない陰謀での失脚合戦は検察にはふさわしくないですね……」

「おわかりいただけたようで何より」

「何をお望みですか?」

「検察の可視化を内務大臣か司法大臣の手で実行してほしいですわね」

「ええ、わかりました……今すぐ父に家に戻るように手紙を出します……」

「それと次長検事の席ですけど……ルーデンドルフ侯爵をお願いいたします、警察の経験もありますし……検察と共同で仕事をした経験もあります。もちろん先代ゲルラッハ『伯爵』ともね」

「元警察官僚が検事になることは珍しくもありませんし、元長官ならある程度のノウハウもありますし反対もないでしょう……」

「エリーゼ様、ありがとうございます……この御恩は忘れません……」

「派閥に仕事を割り振っただけですわ、たまたまそこに優秀な方がいらっしゃっただけのこと」

「父ももっと早くエリーゼ様に付けばよかったと言うでしょう」

「あくまで派閥の長はお父様なのですが……」

「あら?そうでしたわね、でもルーデンドルフ侯爵家はエリーゼ様に感謝しますわ」

「ありがたく受け取っておきますわ」


 失望と怒りといろんなものを噛み締めたエロイーズさんは帰りたいのかソワソワしていますわね。

 まぁ先程まで庇ってた相手が自分の家を蹴落として検事総長を狙ってたなんて腹ただしいことこの上ないでしょうし、早く連絡して手を打たないと没落か断絶の2択ですからね。


「それではお開きにしましょうか」

「ええ、良い茶会でした。本当に」

「ええ、天も昇る心地でした」

「はい、命がつながる瞬間を目撃できました……」


 そういえば気になってたんですけど聞けませんでしたわね。


「エロイーズ様、扇子を開くのが怖いとは結局何だったのですか?」

「あっ……ああ……それは……」

「それですか……昔エリーゼ様が会話の前に扇子をパッと開くのはお前を家を没落させる、殺すという合図だと教わったので……覚悟を決めて舌戦することにしたのです、あれがなければこうも戦えなかったでしょう」


 ワタクシ自分で面倒なルート通ってましたのー!普通に令嬢の皮被ったまま話していたらすぐ終わったんじゃなくって!?

 やっぱ皆は先祖が元がゴロツキですからね、吐け!殺すぞのほうが早いですわね……。


「それ、嘘ですわよ……」

「本当ですか……?」

「もちろん、一応聞いておきますけどどなたから?」

「故アーデルハイド・ブランケット侯爵令嬢です」


 アーデルハイドォ!

アーデルハイド「扇子が痛むからそのやり方で開くのやめなさい」

エリー「嫌ですわー!かっこいいですわー!」

アーデルハイド「…………」


アーデルハイド「エリーが扇子パッと開いた逃げなさい、殺されるわよ」

貴族令嬢たち「ヒィィ!」

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