お片付けですわー!
「まぁ……いいですわ……ワタクシが砂吐きながらアーデルハイドに会ってた話は……」
「だから個別以外じゃ会わなかったんか?内定後はアーデルハイドは王宮にいるほうが多かったやろ?」
「なんか煽られてる気がして……イラッとしましたわ。性格が悪いんですのアーデルハイドは」
「「「「「……」」」」」
あら?なんですのその目は?
まぁ亡くなった方にこんな事言うのはよくありませんものね、確かにこれはワタクシが悪いですわ。反省反省。
「死人を悪く言うのはよくありませんでしたわね、謝罪しますわ」
「いや、これは……」
「アン……話が長くなるから……」
「辞めたほうがいいっす」
「ああ、うむ……」
「まぁ、話し戻そうか、第1王子侍従長って亡くなったんやっけ?」
「そうですの?」
「そういえば……どうだったかな?」
「覚えてませんね」
「亡くなったっす」
「うん……」
あら?そうですの?まぁ、お爺ちゃんって言ってましたし……。これだけ騒動が起きればポックリ逝っても……。
「2人が……事故死したときの御者……だった……」
「それは……」
「だから掃除課は……統率者がいなくなったんだと思う……他の侍従に任せてたとは思えないし……」
「ではなんで上が辞め……ああ、そうですわね……」
よりによって次のトップがバカ王子じゃあ先真っ暗ですものね、第2王子は宰相の差配で侍従長がいないですし、今でもいませんし……。直属がバカ王子じゃ……無茶な命令も誰もすり合わせていただけないでしょうし、聞く耳持つような人間じゃないですし。
沈む船から逃げることを誰が責められるのでしょう?裏切りはそれなりにやり返しますが、見限られたらのなら仕方がないことですわー。
それは器の問題、自己責任、それでもなお離れないという人望がない方が悪いのですわ。それでも後ろ足で砂を変えたら別ですわ、アーデルハイドの葬儀でブランケット侯爵家の儀仗をせず逃げた連中は死にましたし。
第1王子なら今すぐに墓から蘇ったとしても王家を立て直すかもしれませんからね。流石にこの情勢は厳しいかしら?
ワタクシなら粛清、挙兵一択ですわね。王家の株は下がりっぱなしだしこれ以上非難されても無視して実行してふんぞり返って黙らせたほうがいいですわね。まぁ私は絶対に逃げ切ってカウンター攻撃しますけど。
まぁ、なんにせよアーデルハイドも連れず戻ってきたら棺桶に蹴落としてやりますわー!
「つまり、指揮官不在になった部隊が次期司令官が素人の挙げ句意見も聞かない愚物だから逃散したと」
「愚王は掃除課がどのような組織かわかっていましたの?」
「掃除課自分から言い出すまで動いてないから第1王子も報告してなかったのでしょう」
「息子にも見限られてましたわー!まったく笑えませんわね……」
「現状で笑えてるのなら多分恐怖でしょう、父ですら見限りましたよ」
「民衆からしたら新しい大臣を認めないから前大臣の遺体引っ張ってきて棺桶開けて会議に参加させるとかもう乱心してるようにしか見えんやろ」
「そんな認識されてますの?」
「他にどんな判断できんねん、顧客から国王がネクロマンサーか真面目に聞かれたで?」
取引先からそういえば、国王陛下ってネクロマンサーなんですか?とか真面目に聞かれるのめっちゃ面白いですわね……。
はい、ネクロマンサーなんですとか言ったらどんな反応するんでしょう?じゃあなぜ第1王子を復活させないんですかって絶対返されますわね……。商人からも前と違ってケチくさいってこの1年は評判悪いですわよ。
「ネクロマンサー……第1王子復活させればいいのに……」
「ネクロマンサーとしても無能でしたの?」
「いや、そもそもできんやろ……おとぎ話じゃあるまいし」
「国家が死んだら蘇らせてくれるだろう」
「すぐ滅びそう……」
「おとぎ話の愚王そのものではありますけどね、この期に及んで内務大臣閣下を解任しようとしたところでどうにもならないのですが……父も優位に経とうとはしても失脚までさせるつもりはありませんでしたしね」
「そうでしたの?殺す気まんまんかと思ってましたわ」
執拗に攻撃していたからてっきり……もう屈したからキャスにそう伝えるように言ったのかしら?
「そしたら危険人物が王家に兵を挙げるじゃないですか」
「確かに」
「絶対やるっすね」
「王国の安定のために……内乱したら……意味がない……」
「お母様が外国から兵を連れて王国を攻めるかと言われたらしそうですわね、外患誘致した挙げ句協力した国の軍隊を金や情報で黙らせて王位につく、やるかやらないかならやりますわ。でも人の親を危険人物とは失礼じゃありませんこと?」
「エリーのことですよ」
「何処が危険人物ですの!」
「そういうとこだぞ」
「せや」
「すべて……?」
「ノーコメントっす……」
あれ?私の信頼なさすぎませんこと?でも父親を殺されたり失脚させられたら出るとこ出ますわよね?ね?
「言いたいことはなんとなくわかりますけど……失脚で即時に兵を挙げる貴族はそういません」
「弱いからですわよね?」
「いや、倫理的な問題だと思うが……?」
「じゃああなた達は冤罪で親が失脚させられたら泣き寝入りしますの!?」
「せぇへんよ、商人の力見せつけるわ」
「ですわよね!」
「貴族と商人を同じにするな……王国軍総司令官代理の我が家が兵を挙げても総司令官が止めて終わりだ」
「今でも?」
「どうだろうな……割と愛想を尽かしている。少なくとも第2王子になったら命令を聞くとは思えない、それでも国王の命令なら止まるかもしれないが……」
「言い切れない時点で終わってますわね」
「…………」
「我が家はしないでしょう」
「まぁ宰相がそれだったら……もっと早く終わってるでしょう」
「ないっすね、殺しにでも来たら別っすけど」
「同じく……」
あれ?意外と皆さん穏健派なんですのね?
「そろそろ、マーグの私兵と騎士団総出の制圧も終わるだろう。個別の家を潰すだけだ。尋問は?待つか?行くか?明日に報告するか?」
「真っ先にジーナに伝えてくださいまし」
「いいの……?」
「やられっぱなしで黙ってるような司法大臣ではありませんでしょう?しばらくは王家の影……下っ端?手先?まぁ王家関係の秘密組織は潰されるでしょう。お片付けですわー!虎の尾を踏んでダンスするようなバカはそういませんわ、相手が虎だと気がつかず尾を踏んでダンスするバカだっただけのことですわー!」
「踏んだ後襲いかかる虎を殴り飛ばすやつがいるからな」
「そんなおかしな……バカ王子ですわね」
「いや、まぁやりそうだが……あっちは勝てないだろ、立派な自称淑女だ」
「アーデルハイドならやりますし勝ちますわね、確かに……私にした惚気攻撃はそれと同じですわー!本当に思いだしてきたらげんなりしてきましたわ……」
「自分が虎だって認めるんか……」
「あえて言うならワタクシは獅子ですわ」
「ちなみに……同じ状況だとエリーは……?」
「踏まれたらですの?」
「さすがに踏む側であってくれ……」
「踏まれても文句言えないように躾けて踏みますわ」
「そこまで躾けたら踏まないほうがいいでしょう、知らない虎だという前提でですよ」
「踏んで襲いかかってきたら躾けるか敷物にしますわ」
「聞いた私が悪かった……」
なんでですの!?虎の敷物かっこいいでしょう!?蛮族にも高く売れますわよ!虎の頭を被って蛮族に行けば勝手にひれ伏す便利グッズですわよ!
獅子でもいいみたいですわよ!いずれ被っていくことになりますわよ!覚えておきなさい!
公爵「妻と娘のどっちがやばいか?…………考えたくない」
虎皮エリー「ワタクシが狩りましたわー!」
蛮族「(素手で狩ったんだろうなぁ……化け物には頭を下げておこう)」




