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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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エセル敗走記19

 広場に向かわされればまさに見世物。

 ロンドニの市民は私が殺されるのかとワクワクしているようにも思える。

 先ほど協力演説をしたばかりで?短絡的だな。

 いや、学のない一般市民なんてこんなものか。


「これより、エセル・ロバツ国王陛下とエリーゼ・ライヒベルク王太女騎士長の手合わせを行う!」


 歓声が上がる中で見世者にされる気分は最悪だ。

 負けるとわかって戦うのも最悪だ。手合わせと言っても見せしめではないか。

 小奴らは哀れみや情もないのか?


「手合わせです、殺し合いではありません。私は素手あなたは木剣、見世物です、せいぜい長引かせましょう」


 慢心、油断、本来なら勝機の一つでもありそうな態度に言った相手が負けるようなセリフだが全くそれが見えない。


「先手をどうぞ」

「胸をお借りしよう」


 飛びかかるように斬りかかればすっと避けるように躱す。

 そこから木剣を返して横薙ぎに振るがまたもすっと下がることで躱す。

 まったくもっと不可解だ、イノシシの突撃を躱すだけのような動きに少しだけ苛立つものの限界はある。

 すぐ躱したあとで大きく動けば躱すほうが足の負担が大きいはずだ。


「せせこましいですね、まぁ作戦なので結構です」


 読まれてはいるがそれでどうにかできるわけではない、素手では限度がある、リーチはこちらにあるから懐に入りこまれなければ。

 と言いたいが、蹴りも使えるからな。剣技だけと言うわけではないのは向こうが素手での時点でない。


「どうしました?もう疲れましたか?」


 突きを放つもまた紙一重でかわされる。

 刃を横にして一気に振り抜くもまた後ろに下がる。

 良いように扱われてるな。


 木剣を振った先ではエリーゼ・ライヒベルクがつまらなそうに眺めているのが見える。

 本当に腹ただしい主従だ。


「もう5分あげましょう、どうぞ?」


 一気にかがんで膝のあたりを一気に切り払う。

 が、飛んでかわされる。

 でも、斜めに切り上げればかわせないだろう?


「もう少し早ければ私も慌てたんですがね」


 すでに足を地をつかせていたキサルピナ騎士長はまたスッとそれて躱していた。


「いいのですか?ああ、言い忘れましたね……。私は5分間手を出しませんからチャンスですよ」

「一撃でも当てたらなにかもらえるのか?」

「ただの手合わせで?あなたは子どもですか……。では劇場にご招待しましょう、もちろん料金は私持ちです。嬉しいでしょう?」


 完全に舐められてるな、まさに子供扱いだ。

 無礼千万だ。普通なら外交問題待ったなしの暴言だが手合わせの最中だしな、相手の感情を荒立たせるためとか言い訳自体はなんとでもなる。

 実は苦戦していたので盤外戦術です、それで文句を言うなんて器が大きいと思っていたので以外ですなど宣うのだろうな。


「そうですね、どうでしょう?ロバツの滅亡という脚本ができた招待いたしますよ」

「それはそれは……滅亡する予定があるのですか?」

「さぁ?私は一介の騎士、国家のことなどわかりませんね」


 お前のような一介の騎士がいるか!


「そうですね、配役は我が主が王太女殿下、ロバツ国王は私が演じましょう。どうぞ二階席のボックスででお楽しみください」

「演技もできるのか?」

「剣より得意ですね」

「……!?」


 そんなわけあるか!

 動揺を誘うためか、クソッ!あまりにも意味のわからんことを言いやがったからこのざまだ!どうもキレが悪くなり何度切りかかっても容易に躱される。


「先程から剣先が動揺していますね、どうしました?あなたの前に立つ小娘は素手ですよ?」


 手を大きく広げて挑発するようにありもしな巨大なスカートでカーテシーをするように頭を軽く下げる。


「おや、私より若かったのかな?」

「ええ、生き遅れの17歳ですわ」


 女性的な口調で煽り倒してくる、本当に主従そっくりだ。


「…………同い年だ」

「陛下も行き遅れですのね?」


 煽りおるではないか、そもそも貴様らの国のせいでもあるのだがな。

 まぁ王位についた以上はどうとでもなる、スカケルの子どもでもいいからな。


「相手はいくらでもいるがな!」


 上段からの振り下ろし。

 隙があるが相手が攻撃してこないのならまぁいいだろうさ。


「地位でしか選ばれないのはそれはとても悲しいことですの」

「選ぶのはこちらだ」


 躱されたがまだ問題ない。それより煽りのほうが腹ただしいくらいだ。

 どうせ力量では劣るのだからな。


「選ばれた方もこのような相手では哀れですわね」

「お前のとこの王子よりマシだろうさ」


 詰め寄り、斬るふりをして蹴りを放つがあっさりと一歩動くだけで躱される。


「認めましたね、じゃあどうです?あのゴキブリと婚姻するのは?」


 拳を打ち込むもののまたも紙一重。

 それどころか左半身にピッタリとくっつきにっこり微笑まれる始末。


「残念だが性病にかかってそうな伴侶は御免被る」

「健康ですよ、残念ですが」

「そうかな?梅毒で頭がオカシイのではないか?」

「なるほど、もう潜伏期間ならわかりませんものね。いがいとあるかもしれませんね。で?婚姻しますか?お似合いですよ」


 心底腹が立つな。


「どのあたりが?」

「あちらは体しか求めませんし、あなたは子どもしか求めないでしょう?」

「知った風に言う」

「偉い貴族も王族もそんなものでしょう?」

「まぁそうだな」


 会話のさなかも斬りかかるがギリギリで躱すかスウェーで隙を見せて躱し、追撃するとまた紙一重でかわしながら冷めた目で見ている。


「はい、5分。ではいきましょう。あくまで手合わせですから」

ジーナ「あっち公爵令嬢にしよう(小声)」

ベス「そうだね……」

エリー「……」

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